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「なんで?」と問う実母にハンマー一撃 両親にカネ無心され…おとなしい男を凶行に走らせた家族の呪縛
生活費はわずか月3万円
公判では、崔被告の姉が証人尋問に立った。
姉は「ご遺族には悪いけれど」とした上で、崔被告に殺害された男性から「家に金を入れろ」などと言われたことを明かした。実母についても「親を子供が助けるのは当たり前」などと金を要求されていたと振り返った。
金がなかったり、無視したりしても、しつこく電話をかけてくるなどしたため、持っている限りの金を渡すしかなかったという。
崔被告も姉と同様だったようだ。
被告人質問などによると、崔被告は平成21年、同市左京区で鉄板焼きの店を開店した。だが、店の売上金は実母ら2人が管理しており、結婚して家族3人を養っていた崔被告にわたった生活費は月3万円ほどだった。開店準備のための借金の大半は、2人の生活費に消えていた。
「被告人は、抵抗すると理不尽な扱いがさらに続くという思いから、そのような扱いに抵抗するでもなく、ただただやり過ごしてきた」(判決文)という生活。1年ほどで店の経営が行き詰まると、1千万円以上の借金を背負い込むことになった。
ハンマーで殴打「もう戻れない」
やがて妻とも離婚し、昨年7月から、「自分には行動力がないし、逃げても追いかけてくると思った」などとして、左京区の実家に戻り、実母ら2人と継続的に暮らすようになった崔被告。被告人質問では、「2人が寝静まるまでコンビニエンスストアなどで時間をつぶすようになった」と生活の息苦しさを強調した。そして事件当日の8月3日も、同じようにコンビニで時間をつぶしていた。