【侍ジャパン】代表1号の大谷、テイクバック小さく“WBC打法”の成果いきなり
◆侍ジャパン強化試合 日本9x―8オランダ=延長10回タイブレーク=(12日・東京ドーム)
侍ジャパンが、オランダと強化試合を行い「6番・DH」で2戦連続スタメン出場した大谷が、1―5の5回、侍ジャパン1号となる特大弾を右中間席へ放り込んだ。3番に入った坂本も5回2死満塁から走者一掃の同点二塁打を放ち貢献した。試合は9回を終えて8―8となり、10回から小久保ジャパン初体験のタイブレイクに突入。10回1死満塁から大野が右前にサヨナラ打を放ち、強化試合を2勝1敗とした。
破壊力満点の弾丸ライナーだった。大谷は走るスピードを緩め、右中間最深部へ伸びていく打球に酔いしれた。推定140メートルの、侍ジャパン1号ソロ。代表9打席目で飛び出した。「打った瞬間。よかったです。本塁打はたまたまです」とクールに振り返った。
4点を追う5回先頭だった。マウンドには右腕ジャージェンス。ブレーブス時代に3度の2ケタ勝利をマークするなど、メジャー通算53勝を誇る。フルカウントから、内角低めへの137キロ直球を強振。打った瞬間にそれと分かる一発で、侍打線を勢いに乗せた。4回まで2安打1得点と湿りがちだった侍打線がこの回だけで5安打6得点で一時逆転。火を付けたのは間違いなく22歳の二刀流だった。
“WBC打法”がハマった。日本シリーズ終了後、ツーシームなど微妙に動く球の多い異国との対決に備え、テイクバックを小さくする打撃フォームにチェンジ。「稲葉さん(打撃コーチ)に『(動く球は)体で覚えていくしかない』と。なるべくコンパクトに無駄のない動きにした。思い切って試してみようと思った」。「3番・DH」で出場した前夜は2安打2四球3得点と躍動し、この日は指揮官が侍打線のカギに挙げる「6番」に入った。8回1死の左翼フェンス直撃二塁打と合わせて2試合連続マルチ安打をマークした。タイブレイクとなった延長10回無死一、二塁では「最悪走者を進められれば」と三ゴロを放ち、大野のサヨナラ打を呼び込んだ。
敵将もビックリの一撃だ。試合前。現役時代にロッテ、ヤクルトでもプレーし、現在ジャイアンツで打撃コーチを務めるオランダ代表・ミューレン監督は、早期の投手専念を促していた。
「メジャーへ行くなら私は投手を選択する方がいいと思う。(DH制のない)ナ・リーグに入った方がいい。メジャーの野手にはパワーのあるスターがたくさんいる」。そんな評価も覆すような一撃。試合後の敵将は「100マイル(約161キロ)を投げ、大きい本塁打も打てる。彼は野球エリート」とうなるしかなかった。
WBC本番では侍エースと期待される。小久保監督は「日程が決まっているので負担のかからない起用法を考えたい」と頭を悩ませた。今や打者・OHTANIは世界一奪回へ欠かせないピースとなっている。(小谷 真弥)