東京都内と神奈川県南部を結ぶ京浜急行電鉄が、遅延対策で存在感を示している。複数社の相互乗り入れの拡大で、ダイヤ乱れの影響が広がりやすくなるなか、遅延回数は1週間当たり0.25回にとどまる。同業他社でIT(情報技術)の導入が進むなか、あえて人の手による作業にこだわり、遅延トラブルの発生に臨機応変に取り組んでいる。
「都営地下鉄に迷惑をかけるな。京急のプライドを見せろ」。
台風が関東地方に上陸した8月22日、運行管理を手掛ける運輸司令に大号令がかかった。同社は最も早い快特列車を10分に1本走らせている。そのうち半分が泉岳寺駅で都営浅草線に20分間隔で乗り入れる。大荒れの天気のなか、通常の本数を走らせると車間が詰まってしまう懸念があった。
そこで相互直通しない車両を運休させ、浅草線を走る列車のダイヤを守った。都営浅草線内から列車が定時に戻ってくるため、結果として京急線内のダイヤ乱れが最小限に抑えられた。
国土交通省のワーキンググループが2014年9~12月の平日朝に実施した調査では、京急で10分以上の遅延が発生した回数は、1週間当たり0.25回以下。相互直通運転をしている首都圏23路線で最少だった。