選定へ客観数値 北陸新幹線3ルート調査結果
北陸新幹線敦賀以西ルートについて、国土交通省が11日公表した3ルートの調査結果は、建設費や費用対効果、所要時間・運賃など3ルートそれぞれの特徴を客観的なデータとして初めて示した。ルート選定をめぐり各地域の思惑が交錯する中、年内のルート絞り込みに向けたせめぎ合いが激しくなりそうだ。
【概算建設費】
建設延長約190キロの小浜舞鶴京都(舞鶴)ルートが2兆5千億円で最も高く、同約140キロの小浜京都ルートが2兆700億円で続いた。
いずれも延長が長い上、敦賀―京都間の大半を山間部が占め、地上での建設が困難な京都市内も含めほぼトンネル区間となる。小浜市と舞鶴市は地上駅、京都、新大阪両駅は地下駅の設置を見込んでいる。
米原ルートは5900億円。延長約50キロと短く、トンネル区間も一部に限られるため最も安く、工期も10年と最短だった。滋賀県の独自試算では工期5年、建設費4040億円としており、いずれも国の調査結果の方が上回った。
【費用対効果】
移動時間の短縮で利用者が受ける金銭的価値やJRの収益などの総便益を、建設費や維持管理費などの総費用で割った数値。総便益には沿線の経済波及効果などは加味されていない。
舞鶴ルートの総便益は7100億円で、総費用9700億円を大幅に下回り、費用対効果の数値は投資に見合わないとされる0・7にとどまった。同ルートを支持する西田昌司参院議員(京都選挙区)は「(根拠となった)中身について具体的な数字を求めていく」と話している。
小浜京都ルートは総便益8600億円が総費用8千億円をやや上回り1・1。米原ルートの総便益は5300億円で最少だったが、総費用2400億円を2倍以上上回る2・2だった。
【所要時間・運賃】
敦賀-新大阪間の所要時間は、米原ルートが約1時間7分で最長。米原駅で必要となる東海道新幹線への乗り換え時間が15分見込まれた。
これに対し、上野賢一郎衆院議員(滋賀2区)は「リニアが完成すれば現行の過密ダイヤが解消され(乗り換え不必要な)乗り入れもでき、時間は大幅に短縮できる」と指摘する。
乗り換えに伴い、運賃もJR東海の運賃体系が適用されることから6560円と最高額となった。舞鶴ルートは所要時間約1時間、運賃は6460円とほぼ同程度だった。
小浜京都ルートは所要時間約43分、運賃5380円だった。小浜市を選挙区に持ち、「小浜京都」を主張する高木毅前復興相(福井2区)は「費用対効果や乗り換えの有無を含めた利便性など、いろいろな要素を勘案すべきだ」と訴える。
【 2016年11月12日 09時14分 】