ぼくがこの病院に入院してから1ヶ月が過ぎようとしていた。
ほぼ毎日のように僕たち7人の小人はDeney'sに入り浸っているか、あるいは食堂でだべっているか、あるときにはボーリングまでいった。さすがにこの時は疲れたけど。
そして診察日、ぼくは担当のK先生に聞かれた。「調子はどうですか?眠れるようになりました?」
ぼくは答えた。「はい。睡眠薬の量も半分で大丈夫になりましたし。」とはいっても五、六錠はまだ服用していたが。
「それは良かった。規則正しい生活ができている証拠ですね。」
その時ぼくは知った。そう、開放病棟がこんなに自由なのは患者に規則正しい生活をおくらせて睡眠のリズムを確保させるためだったのだ。朝6時に起床し、それから夜9時に就寝するまでの間、患者が起きて活動できる環境を提供することで患者の病状を改善させることが目的だったのだ。
きっとK先生はぼくたちが毎日のように外出してファミレスに通っていることを見て見ぬふりをしているのだろう。しかしこれがぼくの病気にはいい方向に働くと思っているに違いない。
うつ病の改善にまず必要なこと。それは運動でもなく瞑想でもなく、
「規則正しい生活をおくる」
ということなのかもしれない。