稲田防衛相、トランプ氏「米軍駐留経費払え」にNO!「十分負担している」
稲田朋美防衛相(57)は11日の記者会見で、ドナルド・トランプ次期米大統領(70)が選挙戦において在日米軍の駐留経費の負担増を要求していたことに関し「十分だ」とし、現状以上の負担は必要ないとの見解を示した。トランプ氏は、日本が経費を全額負担しなければ、米軍の撤退もいとわないと発言していたが、これに真っ向から対立する形。トランプ氏は当選後、強硬路線から対話路線への一部変更を見せているが、稲田氏の態度にどのような反応を見せるかが注目される。
稲田氏がトランプ氏に「NO」をたたき付けた。在日米軍の経費負担増要求についての意見を聞かれると「十分だと考えている。現状で負担すべきものは負担している」。これ以上、負担額を増やす必要はないと言い切った。
今年度、日本は全国に79か所ある在日米軍の施設・区域の駐留経費として約1920億円を負担。一方、米国は約5860億円を支払っている。これに対しトランプ氏は「誰かが日本を攻撃したら、我々は救援に駆け付けなくてはならない。でも、我々が攻撃を受けても日本は助けに来なくていい。こんな取り決めは割に合うだろうか」と発言。従来の日米同盟に疑問を呈すると同時に、「日本は米軍の駐留経費を全額払うべき」と選挙戦で何度も訴え、それに応じない場合は「米軍を撤退すべき」としていた。
万が一、米軍が撤退するとなると、アジアのパワーバランスが揺らぐと同時に、日本は大幅な軍備増強が必要になる。その場合、現在5兆円の防衛費の負担が跳ね上がるだけに、稲田氏は「日米同盟は、安全保障の基軸だ。駐留する米軍のプレゼンスは、わが国の防衛だけでなく、アジア太平洋地域の平和と安定、法の支配の意味でも重要だ」。在日米軍の駐留継続が望ましいとの認識を示したが、負担増は否定。追加負担を求められた場合の対応については「仮定のことで、答える立場にない」と話すにとどめた。
日本時間10日にトランプ氏と電話会談を行った安倍晋三首相(62)は「日米同盟を一層強固なものとしていくことは、トランプ氏と確認し合った。日米関係は(日本の)外交・安全保障と経済の基軸だ」と改めて強調。17日には会談を行う予定となっており、融和の方向に進む中での稲田氏の発言は、トランプ氏の考えにどのような影響を与えるだろうか。