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小池「政治塾」 安易な候補探しは困る

 小池百合子東京都知事が主宰する政治塾「希望の塾」がきょう開講する。応募者は小池氏らの当初予想を大きく上回る4500人以上に上ったという。今の「小池人気」を物語るものだろう。政治に関心を持った人たちが集まって学ぶ場ができるのは歓迎すべき話である。

     ただし小池氏には来夏の都議選を控え、独自に候補を擁立するための候補者発掘の場としたいとの狙いもあるようだ。

     過去にも政治家がこうした塾を設立した例はあるが、成功しているとは言い難い。国会、地方議会ともに議員の「質の劣化」が指摘されて久しい。安易な候補探しは禁物だ。

     政治塾は第1期として来年3月まで6回開講し、受講料は男性5万円、女性4万円、学生3万円。都政改革や待機児童問題などをテーマに学び、調査や討議を通じて実際の政策立案に携わる機会も設けるという。募集要項には政治家を志す人は個別にサポートすると記載しているから「小池新党の布石」との見方が出るのは当然だろう。

     小池氏は自民党の方針に反して都知事選に出馬し当選した。ところが自民党は先の衆院東京10区補選では「小池人気にはかなわない」と見て、都知事選で小池氏を応援した若狭勝氏を公認。若狭氏が当選を果たしたことから、小池氏と自民党本部との関係は修復されつつあるようだ。

     だが、小池氏と都議会や自民党都連とはなお、ぎくしゃくしている。このため今後、自民党が小池都政に協力しないなら来夏の都議選で、自民党都議の選挙区に独自に候補者を立てて対決する--。政治塾の開講が、そんな駆け引きの材料になっている印象は否めない。

     政治家による塾といえば、2001年にできた自由党の小沢一郎共同代表が塾長を務める政治塾や、大阪市長だった橋下徹氏を中心とする大阪維新の会が12年に作った「維新政治塾」などの例がある。

     維新の塾も当時の「橋下人気」を背景に2000人を超える塾生を集めて話題を呼んだ。実際に塾生出身の議員は国会、地方議会通じて少なくない。しかし現実には、一時的な風に乗り、あるいは風を利用して当選しても、後に不祥事を起こして党を除名になった議員もいる。

     依然、世襲議員が多い日本の政治風土の中で、政治家志望の有能な人材を、どう発掘し、育てていくかは、確かに大きな課題だ。

     小池氏は「政治に関わる方を増やしていくことが政治の質の向上にもつながる」と言う。その通りだろう。何よりも重要なのは、「数」より政治家の「質」の向上だ。それを最優先してもらいたい。

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