トランプ氏勝利で白人労働者層の現状描いた本に関心

トランプ氏勝利で白人労働者層の現状描いた本に関心
k10010766011_201611120610_201611120612.mp4
アメリカの次期大統領にトランプ氏が選ばれたことを受けて、東京都内の書店にはトランプ氏の支持層とされる白人労働者層の現状を描きアメリカでベストセラーになった回顧録が並べられ関心を集めています。
回顧録はオハイオ州の白人労働者の家庭で育ち、現在、IT企業を経営するJ.D.ヴァンスさんが半生をつづったもので、ことしアメリカでベストセラーになり、都内の洋書を扱う書店にも並べられています。
タイトルは「ヒルビリー・エレジー」、日本語で「田舎者の哀歌」という意味で、ヴァンスさんが貧しい暮らしや両親の離婚などを乗り越えて名門大学を卒業し、起業するまでを、失業や貧困にあえぐ地方の白人たちの現状とともに描いています。
回顧録では、大学に合格したヴァンスさんに対し父親が、合格するために「願書で黒人かリベラルのふりをしたのか?」と尋ねるエピソードが紹介されるなど、マイノリティーだけが優遇されているとして、疎外感や不満をつのらせる白人たちの姿が描かれています。
ボストン在住のエッセイストで、大統領選挙を取材した渡辺由佳里さんは「白人労働者層は、自分たちだけが社会から取り残されていると不満を抱き、トランプ氏に投票したのではないか。回顧録は今回浮き彫りになった対立構造を理解しようとするアメリカ人の間で多く読まれている。日本人にもここで描かれた世界もアメリカの一面なのだと知ってほしい」と話しています。
回顧録は日本語には翻訳されていませんが、この書店では今後、国内でも注目される可能性があるとして、追加発注を決めたほか、ほかの書店でも取り寄せる動きが出ているということです。