FA交渉の席につく阪神・金本監督らとオリックス・糸井=大阪市内のホテル(現場代表)【拡大】
愛の矢がズキュンと胸に突き刺さった。阪神との初交渉を終えた糸井が、直後の会見で思わずニヤケた。鉄人の口説き文句に、超人がウットリ。気持ちはグラリ。虎入りへ一歩前進だ。
「必要な戦力ということと『初めての恋人や』と言われました」
アツアツのセリフを明かすと、聞いた直後の気持ちを問われて、目尻をさらに下げた。
「へへへへッ…。やっぱり、選手としては、そういう言葉はすごくうれしく思います」
1メートル88のムキムキの体を斜めに傾け、照れ笑いで告白の瞬間を振り返った。
約1時間の初交渉。1492試合連続フルイニング出場や歴代10位の476本塁打など、現役時代数々の勲章を手にした金本監督がテーブルの向こうにいた。
「僕の中ですごい選手というイメージがあるので、ムチャクチャ緊張しました」と話したが、ファーストコンタクトは好感触で間違いなし。会見の最初から最後まで明るい表情だった。
糸井側から口説き文句が明らかになってしまった金本監督は「もう恋人以上に思っていますので」とまるで入団を確信しているようだった。今季35歳で53盗塁をマークし、盗塁王を獲得。打率・306、17本塁打、70打点をマーク。「自分が35歳の時と比べても、おそらく彼の方が体は若くて、強いんじゃないかという印象を受けました。選手として非の打ち所がない」とゾッコン。交渉のため、秋季キャンプ地の高知・安芸から一時的に帰阪した甲斐があったというものだ。