司会者「今回はインタビューじゃないんですよね」
レジー「はい。前回ちょっと書いた通り、少し前から仕込んでた話をやりたいなと。世の中の90年代ブームの中でちゃんと自分なりに90年代という時代を振り返っておきたいなと思って、「レジーが見た90年代プロジェクト」という企画を準備しました。まずは基本的な考え方をまとめたのでこちらをどうぞ」
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<前口上>
世間は「90年代音楽ブーム」ということで、その時代に関する論考(メディアでのまとまった特集から個人の感想まで)が多数飛び交っています。でも、そのどれにもどうにもノレない。ピンとこない。わくわくしない。この違和感は何なんだろうと思っていたところ、「結局のところ、自分が体験した“90年代という時代”と全く同じ時間を過ごしている人は誰一人としていない」という当たり前の事実に思い当たりました。
僕にとって90年代とは、人生における10代の時間そのものであるとともに(81年生まれなので91年で10歳、2001年で20歳)、音楽に出会ってはまっていくプロセスそのものでもあります。その期間は自分にとってあまりにもビビッドすぎて、誰かが書いた客観的な(もしくは客観性を装っただけの主観的な)文章に接するとどうしても拒否反応を起こしてしまう、というのが「90年代とは◯◯であった」的言説に触れた時に感じるぞわぞわっとしたものの正体のようです。
そもそも僕が「レジーのブログ」を始めたきっかけ(そして続けている理由)は、「自分が読みたいものがない、だったら自分でそれを書こう」というものでした。それならば、自分にとって大事な90年代という時代についてもその姿勢で臨んでみては?という気持ちでスタートしたのが、この「レジーが見た90年代プロジェクト」です。
「レジーが見た90年代プロジェクト」は、僕なりに選んだこの時代における日本のポップスのアルバム50枚リストと、90年代の日本の音楽シーンにおけるトピックやそれに対するリスナーとしての自分の行動・気持ちなどに関する40,000字弱のエッセイから構成されています。この中に「客観性」というものはありません。あくまでも自分が見て、聴いて、体験してきたことについてひたすらに独りよがりな話が並んでいます。「時代の総括」の体裁をとる情報は客観性が求められがちですが(そして本来そうあるべきなのかもしれませんが)、今回は一つの主観を提示することに徹底して振り切りました(おそらくその「客観性」というものだって、数多の、もしくは声のデカい少数派の「主観」が積みあがったものにすぎないはずです)。
なので、ここに示される情報には、同世代の方のあるあるや若い世代の方の新たな発見だけでなく、「いや、そんなことはないはず」という感想を持つものも含まれているかもしれません。そこはあくまでも「主観の相違」ということで何とぞご勘弁いただければ(リリースタイミングなど解釈のしようのないファクトについての誤認はないように細心の注意を払ってはいるつもりです)。何かを代表する情報を提示しているわけではないので、その相違自体も楽しんでいただきながらご自身の90年代観を深めていただくトリガーになれば幸いです。
後述する理由で今回のプロジェクトの一部は有料での公開となっております。ご興味を持っていただき、かつ多少のお金を投じていただける方と、あの時代のリアルな息吹を共有できればと思っております。
<価格設定>
「レジーが見た90年代プロジェクト」は、下記の値段で販売します。
①
90年代の私的50枚リスト 無料(レジーのブログLDBにて11月16日22時公開予定)
②
エッセイ「部屋とYシャツと90年代 Welcome
to my utopia」 400円(noteにて11月19日22時公開予定)
今回のこの取り組みは非常にパーソナルな内容を多数含んでいることもあり、単純にウェブの大海に放流するのは何となく気がひける部分がありました。一方で、特に50枚のリストについては「自分の好きなもの」としてオープンに共有したいというのも正直なところ。そんなことを踏まえて、50枚のリストはいつも通りブログで公開、エッセイについてはnoteを使ってクローズドでの公開という形をとらせていただきます。
この値付けを高いと感じるか安いと感じるかは個人の感覚次第だと思いますが、前向きな気持ちでお金を支払っていただいた方には相応の価値を提供できるのではないかなと思っております。何とぞご理解のほどをお願いいたします。読んでみたいけどnoteアカウントがないという方、登録簡単ですのでもしそんな方がいらっしゃったらこちらのページからどうぞ。
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司会者「90年代のマイベスト50枚と、90年代に関する40,000字エッセイを公開すると」
レジー「何とか年内に公開できる運びになってよかった。今年はあらゆるところで90年代の話がされてるけど、自分にとってリアルな90年代の話がとことん少ない感じがしてたから何か投げ込みたいと思っていました。特に今書き換えられつつある90年代の歴史にはミスチルもチャゲアスもビーイングも出てこないし、下手すればドラゴンアッシュすら出てこなかったりもするじゃないですか。自分は90年代に中学生とか高校生で、音楽大好きだったけどどちらかというと普通にメディアで流れているJ-POPや今でいう「ロキノン」「邦ロック」的な音楽を聴いて育ってきたから、そういうところで感じてた印象と音楽有識者っぽい人たちが編纂している90年代の風景にはすごくギャップがあるなあと」
司会者「そういう文化、J-POPど真ん中の空気を真正面から感じて育った人たちがあまり語り部になってないってことですよね」
レジー「結局そういうことなんだろうなと。で、前段の文章と重複するけど、だったら自分にフィットするものをまとめてみよう、と思い立って早4か月くらいかな。いろんなものの合間に進めてたんですが、想定してたより時間がかかってしまった。そろそろウェブ上の音楽好き界隈は年間ベストアルバムで盛り上がり始めるころだと思うけど、そのタイミングになる前に2016年のトピックの一つでもあった「90年代振り返りモード」を締めくくれればと思っています。アップスケジュールはさっき書いた通りですが、エッセイについては目次をここで公開しておきます」
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【エッセイ「部屋とYシャツと90年代 Welcome to my utopia」】
1. はじめに~バックグラウンド
●「自己防衛」「イメージ戦略」のために小5で音楽の道へ、そしてはまる
●初めて買ったCD
●小6のカセットテープ(一番偏見のなかった時代)
●「メジャー」「歌とメロディ」を重視する嗜好はいつ生まれたのか
2. 歌謡曲からJ-POPへ
●チャゲアスとサザンの明暗
●どかんとミスチル、じわじわスピッツ
●今(あえて)ビーイングを再評価した結果www
●プロデューサーに憧れて
●僕たちはいつの間にジュディマリを好きになったのか
●ビジュアル系との付き合い方
●『無罪モラトリアム』と『FIRST
LOVE』、衝撃的だったのは・・・
3. メディア
●スタートはTOKYO FM
●HEY!HEY!HEY!とうたばん
●「メジャーじゃない音楽」を知る喜び ①ミュージックスクエア
●「メジャーじゃない音楽」を知る喜び ②ミュートマジャパン
●マイオリジナルVHSを作る
●ワッツイン→ミュージックマガジン→ロッキングオン
●偉大なるBUZZ
●J-ROCK magazineで勉強したジャンルの名前
●「アナログブーム」に上辺だけ突っ込む
4. 男子校と思春期
●インターネットと音楽と女の子を巡る思い出(17歳なりたて)
●ハイスタに教わった新しい「ポップ」の形とリア充カルチャー
●ゆずという存在のデカさ
●「アイドル」を一手に背負った広末涼子の歌
5. アイドル(的なもの)
●『R』『H』と『AmiGo』
●「アイドル」と「アーティスト」の狭間で ①SPEED
●「アイドル」と「アーティスト」の狭間で ②川本真琴
●マイルーツとしてのASAYAN(音楽の話)
●マイルーツとしてのASAYAN(音楽の話ではない)
●「SMAPの歌ってかっこよくない?」というスノッブの作法
6. 渋谷系など
●誰がどこでフリッパーズギター/フィッシュマンズを聴いていたんだろう?
●J-POPスターとしての小沢健二
●もう一つの「渋谷系」 -- シャ乱Qと鈴木蘭々
●「フォーキー」にかぶれる ①サニーデイからはっぴいえんどへ
●「フォーキー」にかぶれる ②かせきさいだぁとソウルセット
7. 日本のロックの夜明け
●1997年のSWEET
LOVE SHOWER
●「俺たちがニッポンのミッシェルガンエレファントだ!」
●「洋楽ナイズ」された耳(と態度)に刺さった97/98世代
●「ポストミスチル」からの鮮やかな転身 GRAPEVINE
●「Raspberry」よりも「ロケットに乗って」 TRICERATOPS
●本当にスターだった Dragon Ash
●スーパーカー、くるり、ナンバーガールと高校3年生~大学生
8. おわりに
●わたしのゼロ年代 ①一足お先に「コンテンツよりコミュニケーション」を体験
●わたしのゼロ年代 ②ひたちなかエンドレス地獄
●90年代ブームと世代断絶
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司会者「このテキストはnoteで販売すると」
レジー「たまにnoteで有料ゾーン設けてたけど、ボリュームあるやつに値段つけるのは初めてですね。読みたい人だけどうぞ。というわけで予告はここまでです。次回タイミングで50枚のリストをアップします」
司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
レジー「と言いつつ、アップ予定日は11/16と書いた通りですね。あと数日お待ちください」