大手ゼネコン4社の2016年9月中間決算が11日出そろい、全社が過去最高益を更新した。バブル期を超える活況に沸き、利益を一段と伸ばした。採算の良い工事に絞って受注したことに加え、人件費と資材費の値上がりが和らいだことも追い風になった。

 各社の利益を押し上げたのは、収入の7割ほどを占めるビルなどの建築事業。東京五輪がある20年に向け、都心では大型再開発が相次ぐ。人手不足を背景に、各社は採算の良い工事を選んで受注。大成建設の桜井滋之専務は「競争環境は緩んでいる。みなさん(受注残が)山積み」と話す。売上高は伸び悩んだり減ったりしたが、工事1件当たりのもうけが大きく利益が跳ね上がった。営業利益、純利益ともに前年同期の2倍超となった鹿島は、「資材費、労務費の落ち着いた動きが続いた」(幹部)ことも利益増の要因に挙げる。建築資材費は円高で割安になり、東日本大震災の復旧工事が一段落して、人件費の高騰にも歯止めがかかりつつある。

 ただ、業界内では「都心開発のピークは五輪直前まで」(大手幹部)との見方が多く、活況がどこまで続くかは不透明だ。(石井潤一郎)

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