面白いもので、あんなに嫌われていたドナルド・トランプも、当選のニュース以降、株式市場が堅調なのを見て「彼もレーガンみたいな素晴らしい大統領になるのでは?」という礼賛論が聞かれ始めています。

おまいら、本当に軽いな。www

株式市場の歴史を紐解けば、当選直後の株価の反応と、その1年後の株価の動きは、真逆になっていることの方が多い(笑)

そのジンクスを当てはめれば、一年後の株価は、いまよりずっと下がっているかもしれないんだぜ!

冷静になれよwww

一例として1932年にフランクリン・ルーズベルトが大統領に当選した翌日、ダウ工業株価平均指数は-4.5%も暴落しました。

翌1933年3月3日にルーズベルトが大統領に就任すると、ルーズベルトは周囲の意見を無視し、ただちに銀行休業宣言し、3月15日まで株式市場も休場を決めました。

ところが株式市場は専門家の予想の真逆に動き、大相場を演じます。

結局、1933年のダウ工業株価平均指数の年間パフォーマンスは+66.7%でした。つまり当選時の悲観とは真逆のことが起きたのです。

1948年にハリー・トルーマンが当選したときもダウ工業株価平均指数は-3.8%下がりました。市場関係者は「トルーマンは重工業支持者(smoke-stack man)ではない」と考えたからです。しかし1949年から1952年にかけては4年間に渡る強気相場が起きました。

もっと近年では2008年にバラク・オバマが大統領に当選した日、ダウ工業株価平均指数は-5.3%暴落しています。しかしその後の2期にわたるオバマ政権では米国株式市場は強気相場を経験しました。

一方、大統領当選後、株価が上昇したケースでは、1年後、株価は下がっている場合が多いです。

このように当選直後の株価の動きは、その後の株価を占う先行指標としては、まったくアテにならないのです。

トランプをレーガンと結びつける議論も、馬鹿げているのを通り越して滑稽です。

トランプは「ガンガン財投をやる!」と高らかに宣言しています。だから米国債が毎日、売られているんです。それは「小さな政府」を標榜したレーガンの美意識とは相容れないものです。

次に、レーガン時代(1981年~89年)、政策金利は右肩下がりでした。

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金利低下は、色白と同じで、百難を隠します。

でもトランプ政権では、そうなる可能性はゼロだと思います。むしろ政策金利はこれからどんどん上がってゆくでしょう。

レーガンが昔、俳優であり、トランプもテレビのリアリティー・ショーのホストだから、両者は共通している! というのは、あまりにも表層的な見方です。

レーガンは大統領になるまえ、カリフォルニア州知事という大事なポストを立派に勤め上げており、大統領になったときには十分な政治経験がありました。

トランプの場合、ほんとうに政治は素人です。

トランプのインフラ投資の話に戻ると、肝心の財源は? というと全くメドが立っていません。

いや、正確に言えば、この映画の結末は、見える人たちにはもう見えている。

それはつまり米国債がギリシャ危機風に「強姦される」ということ。

債券が毎日下げているのに、株が騰がり続けるはずない。

そこんとこ、くれぐれもよろしく。