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| 中原 恋次の場合 | 294 :天秤 [sage] :2007/10/07(日) 00:37:48 ID:AreITkIC |
| 真っ暗な闇の中、僕は一人で広い道を歩く。車も通らず、街頭も点いていない道をただ歩く。 | 真っ暗な闇の中、僕は一人道路を歩く。車も通らず、街頭も着いていない道路をただ歩く。 |
| 兄の名を呼びながら。母の名を呼びながら。 | 兄の名を、呼びながら。母の名を、呼びながら。 |
| 義母の名を呼びながら。義姉の名を呼びながら。 | 義母の名を、呼びながら。義姉の名を、呼びながら。 |
| 父の名を呼びながら。あの子の名を呼びながら。 | 父の名を、呼びながら。あの子の名を、呼びながら。 |
| 最愛の彼女の名を呼びながら。 | 彼女の名を、呼びながら。 |
| ああ、これはいつもの夢だ。もう見飽きるほど見た夢。遠い過去とほんの少し先に訪れるであろう未来の夢。 | ―――ああ、いつもの夢だ。もう見飽きるほど見た夢。遠い過去と少し先の未来の夢。 |
| 夢だと自覚してから、少しずつ世界がひらけてくる。現実の暗闇の中、よく知った天井が見えてくる。 | うっすらと、少しずつ世界がひらけてくる。現実の暗闇の中、よく知った天井が見えてくる。 |
| 視線を左に動かせば、寝室のクローゼットが見える。 | 視線を左に動かせば、よく知ったクローゼットが見える。 |
| 右に動かせば、そこに彼女がいる。 | 視線を右に動かせば……そこに彼女がいる。 |
| 穏やかな寝息と、甘い匂いを感じながら僕は彼女の綺麗な髪に指を通す。 | 穏やかな吐息と、甘い匂いを感じながら僕は彼女のきれいな髪に指を通す。 |
| 整った顔立ち、スレンダーだけど均等の取れたプロポーション、鴉の濡れ羽色のような艶やかな髪。 | 整った顔立ち、スレンダーだけど均等の取れたプロポーション、絹のようなやわらかい髪。 |
| 本当に、彼女は美しい。僕とはまるで違う、生きている次元の違う女性。 | 本当に、彼女は美しい。 |
| 僕とはまるで違う、生き物…… | |
| 彼女、沢原 深雪さわはらみゆきと僕、中原 恋次なかはられんじが出会ってからどれ位の時が過ぎただろうか。 | 彼女―――三島葵に僕―――風間真樹が出会ってからどのくらいの時が過ぎただろうか。 |
| 正確な年月日は覚えていない。 | 正確な時間はわからない。 |
| ただ、彼女の書く小説の担当者として関わり始めた時、彼女の小説を読んだ時から僕は彼女に惹かれていた。 | ただ、担当者として彼女の書く小説に携わり始めた時、彼女の小説を読んだときからきっと僕は彼女に惹かれていた。 |
| 彼女が書く小説は不思議な魅力で満ち溢れていた。文体も話も平凡なものであるはずなのに何故か惹かれてしまう。登場人物に感情移入してしまう。 | 彼女が書く小説は不思議な魅力で満ち溢れていた。文体も話も平凡なものであるはずなのになぜか惹かれてしまう。 |
| 読者はその魅力の正体が分からず余計に小説にのめりこむ。正体不明の麻薬のような魔性の魅力が彼女の小説にはあった。 | 読者はその魅力の正体がわからず余計に小説にのめりこむ。正体不明の麻薬のような魔性の魅力が彼女の小説にはあった。 |
| そしてその魅力は彼女自身のものでもあった。 | そしてその魅力は彼女自身のものでもあった。 |
| 彼女は不思議な女性だった。明るく、社交的に見えて、実はとても内向的で。冷たいように感じるけど、実はとても情に篤く涙もろくて。 | 彼女は不思議な女性だった。明るく、社交的に見えて、実はとても内向的で。冷たいようにみえるけど、実はとても涙もろくて。 |
| 彼女の不思議な二面性からあの不思議な魅力を持つ小説が生み出されているのだろうか。いや違う。これは本当の彼女を隠すためのカモフラージュなんじゃないか? | 彼女の不思議な二面性からあの魔の魅力を持つ小説が生み出されているのだろうか。いや違う。 |
| これは本当の彼女を隠すためのカモフラージュなんじゃないか。 | |
| 僕は彼女の魅力の正体が知りたくなり、とにかく色々な話をし、手助けをし、彼女と関わりあった。 | 僕は彼女が知りたくなり、どんどん彼女の魔の魅力に取り付かれていった。 |
| 彼女と話をし、彼女の手助けをし、とにかく彼女と関わりあった。 | |
| 今にして思えば最初の頃の彼女はよく僕の事を迷惑がっていた。でも、付き合いが長くなるにつれ、僕の事を話すにつれて彼女は僕を信頼してくれるようになった。 | 今にして思えば彼女もまた僕に似たような理由で惹かれてたのかもしれない。 |
| いつしか仕事だけでの相棒だった僕達は次第にプライベートでも関わり合う様になった。 | 仕事での相棒だった僕達は次第にプライベートでも関わり合う様になった。 |
| そんな日々が続いたある時、彼女の作品を読んでいた僕は気づいてしまった。彼女の魅力の正体がわかってしまった。 | そんな日々が続いたあるとき、彼女の作品を読んでいた僕は気づいた。 |
| 彼女の魅力の正体がわかってしまった。 | |
| 彼女の作品には愛や情が無いのだ。あるにはあるが、それは一方通行の想い。決して報われることのない想い。 | 彼女の作品には愛や情がない。あったとしてもそれは一方通行の想い。決して敵わない想い。 |
| 物語は絶対にハッピーエンドにならない。けれどそれでいて登場人物達が機械的になることもない。 | 物語は絶対にハッピーエンドにならない。けどそれでいて登場人物達が機械的になることもない。 |
| それは彼女の技術と才能のなせる業なのかもしれないけれど、でもとても悲しいことだと思った。 | それは彼女の技術と才能のなせるものなのかもしれないけれど、でもとても悲しいことだと思った。 |
| 彼女は愛されたことがないのだ。だから思いは常に一方通行。 | 彼女は愛されたことがないのだ。だから思いは常に一方通行。 |
| 愛に飢えた悲しい人。 | 愛に飢えた人。悲しい人。 |
| その時になってようやく気づいた。だから僕は無意識の内に彼女に惹かれたのだ。 | そのときようやく気づいた。だから僕は彼女に惹かれたのだ。 |
| 僕もそうだから。孤独だから。 | 僕もそうだから。孤独だから。 |
| 愛されることの意味が分からないから。 | 愛されることの意味がわからないから。 |
| 295 :天秤 [sage] :2007/10/07(日) 00:38:31 ID:AreITkIC | |
| 似たもの同士の二人は似たような想いで自然と繋がった。 | ―――似たもの同士の二人は似たような想いで自然と繋がった。 |
| それが傷の舐めあいでしかなくても、それが僕らにとっては正しいことだった。 | それが傷の舐めあいでしかなくてもそれが僕らにとって正しいことだった。 |
| 彼女の髪からゆっくりと手を離しベッドを降りる。彼女が起きないよう、なるべく音を立てないように。 | 彼女の髪からゆっくりと手を離しベッドを降りる。彼女が起きないよう、なるべく音を立てないように。 |
| 寝室を出て顔を洗うとすぐに台所に向かい、冷蔵庫から昼食の材料を取り出す。 | 寝室を出るとそのまま台所に向かい、冷蔵庫から昼食の材料を取り出す。 |
| コンロに火を点けいつものように調理を始める。もう何百回と繰り返してきた行為。 | コンロに火をつけいつものように調理を始める。もう何百回と繰り返してきた行為。 |
| それでも僕が彼女にしてあげられる数少ないことだから絶対に手は抜かない。 | でもそれでも僕が彼女にしてあげられる数少ないことだから、決して手は抜かない。 |
| このマンションは台所から寝室までかなり離れているので思い切って音をたたても大丈夫だ。 | このマンションは台所から寝室までずいぶんと離れているので思い切って音をたたてもだいじょうぶ。 |
| 調理が終わったらいつものように食器に盛り付け、いつものようにラップにつつみ冷蔵庫に入れておく。 | 調理が終わったらいつものように食器に盛り付け、いつものようにラップにつつみ冷蔵庫にいれておく。 |
| 書置きをテーブルに残し、その後再び洗面所に向かう。 | 書置きをテーブルに残し、その後洗面所に向かう。 |
| 相変わらず不機嫌そうな自分の顔とにらめっこをつづけながら仕事に行くための準備を済ませていく。 | 相変わらず不健康そうな自分の顔とにらめっこをつづけながら外にでるための準備をすませていく。 |
| この生き難い社会で生きていく為に偽りの自分を演じるための仮装を施していく。 | 偽りの自分を演じるための仮装を施していく。 |
| 全ての準備が終わってから彼女の様子を見るために再び寝室に赴く。これもいつものこと。 | すべての準備が終わってから彼女の様子を見るために再び寝室に赴く。これもいつものことだ。 |
| 安らかに寝息をたてる彼女にむかって聞こえないであろう一言を言って部屋を出る。 | 安らかに吐息をたてる彼女にむかってきっと聞こえないであろう一言を言って部屋を出る。 |
| 玄関に向かい開けたくないドアを開け、重い足をひきずって外に出る。 | 玄関に向かい開けたくないドアを開け、重い足をひきずって外に出る。 |
| 後ろを振り返り、ドアノブに鍵を差し込み施錠。 | 後ろを振り返り、ドアノブに鍵を差し込む。鍵をまわす。 |
| そしてゆっくりとドアから離れる。ここにまた帰ってこれるように、自分の居場所がありますようにと祈りながら。 | ゆっくりと、ドアから離れる。ここにまた帰ってこれるように祈りながら。 |
| これが僕の日常。これからも続いていくであろう僕の幸せ。 | これが僕の日常。これからも続いていくであろう、僕の幸せ。 |
| 彼女の仕事を手伝い、彼女の世話をさせてもらう。それだけで生きていると感じる。 | 彼女の仕事を手伝い、彼女の世話をさせてもらう。それだけで生きているって感じる。 |
| 彼女の為に尽くせる事が僕の何よりの幸せ。 | 僕が彼女の役にたってるって感じる…… |
| 296 :天秤 [sage] :2007/10/07(日) 00:39:19 ID:AreITkIC | |
| 彼女の過去に何があったのか、詳しい話は聞いていない。 | 彼女の過去になにがあったのか、くわしい話は聞いていない。 |
| でもポツリ、ポツリと時々話をしてくれることがある。 | でもポツリ、ポツリと時々話をしてくれることがある。 |
| 父に暴力を受けていたこと、それを母が見てみぬふりを続けていたこと。 | 父に暴力を受けていたこと、母が見てみぬふりを続けていたこと。 |
| 親友と思っていた人に恋人を奪われ、その恋人にも酷い目に合わされたこと。 | 親友と思っていた人に裏切られたこと、恋人に酷い目に合わされたこと。 |
| 僕の人生と同じ。大事にしていた人を失い、裏切られ、守りたいと思った存在に虐げられ見捨てられる。 | 僕の人生とほとんど同じ。大事にしていた人に裏切られて、見捨てられる。 |
| 本当に似たもの同士。似たような人生を送ってきている。 | 本当に似たもの同士。似たような人生を送ってきてる。 |
| だから二人で支えあって生きている。傷を舐めあうようにして逢瀬を重ねる。 | だからふたりで支えあって、生きている。傷を舐めあうようにして逢瀬を重ねる。 |
| でも本当は僕には分かっている。似ているのはそこだけ。そこから先はまるで違う。 | ……でも本当は僕にはわかってるんだ。似ているのはそこだけ。そこから先はまるでちがうもの。 |
| 彼女は全てを持っている。外見的な美貌も、富も、名声も、才能も、未来も、人望も。 | 彼女はすべてを持っている。外見的な美貌も、富も、才能も、未来も。人望も。 |
| 本人は分かっていないと思うけれど彼女は凄く周りに愛されている。 | きっと本人は分かっていないと思うけれど彼女はすごく周りに愛されている。 |
| 人に傷つけられた分、人に優しく出来ているから。周りの人を愛そうとしているから。 | 人に傷つけられた分、他人に優しくできている。周りの人を愛そうとしてる。 |
| 彼女は自分が愛されたいからそうしてるというけれど、きっと彼女の本質がそうさせているんだと思う。 | 彼女は自分が愛されたいからそうしてるっていうけれど、きっと彼女の性格がそうさせてるんだと思う。 |
| だって同じような境遇の僕にはそれが出来ていない。イメージが湧いてしまから。裏切られるイメージが。 | だって同じような境遇の僕にはできてない。イメージが沸いてしまから。裏切られるイメージが。 |
| だから怖くて出来ない。同じような体験をしている彼女に対しては出来ているのかもしれないけれど、周りの人達を愛する事が出来ない。 | だから怖くてできない。同じような体験をしている彼女に対してはできているのかもしれないけれど、 |
| 人がみんな僕らみたいな不幸な境遇であるわけがない。多少は経験していてもそれは程度が全然違う。 | 人間がみんな僕らみたいな人であるわけがない。多少は経験していてもそれは規模が全然ちがう。 |
| でも彼女はそんなこと気にしていない。どんな人にも優しく出来ている。慈しみを持てる人なのだ。 | でも彼女はそんなこと気にしてない。どんな人にも優しくできてる。慈しみを持てる人なんだ。 |
| 彼女は光輝く人。僕じゃ決して手の届かないはずの高嶺の花。 | 彼女は光輝く人。僕じゃ決して届かない人。 |
| いつか彼女はそのことに気づくだろう。僕が彼女に相応しく無いことに。いや、すでに気づいているのかもしれない。 | いつか彼女はそのことに気づくだろう。いやもう気づいているのかもしれない。 |
| 気付いた時こそ、彼女と僕の別れのとき。彼女が「向こう側の人」になってしまうとき。 | そのときこそ、彼女と僕の別れのとき。彼女が「向こう側の人」になるとき。 |
| その時がきたら僕はきっと泣くだろう。みっともなく懇願するかもしれない。でもきっと、止められない。 | そのときがきたら僕はきっと泣くだろう。懇願するかもしれない。でもきっと、とめられない。 |
| 仕方のないことだから。それが本来あるべき姿だから。彼女に相応しい男性が必ずいるから。 | 仕方のないことだから。それがあるべき姿だから。彼女にふさわしい男が他に必ずいるから。 |
| 僕はただその時を待つだけ。怯えながら、恐怖しながら、でもどこかで喜びながら待ちわびる。 | 僕はただそのときを待つだけ。怯えながら、恐怖しながら、でもどこかで喜びながら。 |
| 彼女は光輝く人。幸せになるべき人。僕の愛する人。 | 彼女は光輝く人。幸せになるべき人。僕の愛する人。 |
| だからせめて踏み台になる。僕を切り捨てることで彼女が更に前に進めるように。更に光輝けるように。今までの辛い過去が幸せで塗り替えられるように。 | だからせめて踏み台になる。僕を捨てることで彼女が前に進めるように。 |
| それが僕の"愛する"ということ。 | それが僕の「愛する」ってこと。 |
| 沢原 深雪の場合 | 297 :天秤 [sage] :2007/10/07(日) 00:40:09 ID:AreITkIC |
| 真っ暗な闇の中、私は"彼"と手をつないで広い道を歩く。 | 真っ暗な闇の中、私は「彼」と手をつないで道路を歩く。 |
| 車も通らず、街頭も点いていない道をただ歩く。 | 車も通らず、街頭も着いていない道路をただ歩く。 |
| でも少しも怖くない。"彼"が隣にいるから。どこまでも歩ける。少しも辛くない。 | でも少しも怖くない。「彼」が隣にいるから。どこまでも歩ける。少しもつらくない。 |
| 歩き続ける。どこまでも歩き続ける。 | 歩き続ける。どこまでも歩き続ける。 |
| ふと気がつくと、いつの間にか確かに隣にあった暖かい感触がなくなっている。 | 気がつくと、いつのまにか左手にたしかにあった暖かい感触がなくなっている。 |
| 私は周りを見回し必死に"彼"を探す。 | 私は当たりを見回し必死に「彼」を探す。 |
| すると急に光が見えてそこに"彼"が立っている。 | すると急に光が見えてそこに「彼」が立っている。 |
| 私は大声で"彼"を呼ぶけれど、"彼"は私に全く気づかず、そのまま光の先へ進んでしまう。 | 私は大声で「彼」を呼ぶのだけれど、「彼」は私に全く気づかず、そのまま光の先へ進んでしまう。 |
| 私は大急ぎで"彼"を追うのだけれど、決して追いつけない。 | 私は大急ぎで「彼」を追うのだけれど、決して追いつけない。 |
| "彼"はそのまま私に気づかず光の先にいる"私でない誰か"の元へ行ってしまう…… | 「彼」はそのまま私に気づかず光の先にいる「私でない誰か」の元へ行ってしまう…… |
| 「くあっ……はぁっ……はぁっ」 | 「くあっ……はぁ……はぁ」 |
| またこの夢だ。見たくもない最低の夢。何度も何度も見る嫌な夢。 | またあの夢だ。見たくもない最低の夢。何度も何度も見る嫌な夢。 |
| "彼"が、恋次がいなくなる夢。私の側を離れ、他の女のところに行ってしまう夢。 | 「彼」が真樹がいなくなる夢。私のそばを離れ、他の女のところにいってしまう夢。 |
| そんなことあるはずないのに。恋次はあいつらとは違うのに…。 | そんなことあるわけないのに。真樹はあいつらとは違うのに・・・ |
| 瞼を開けるとそこはよく見知った部屋。 | 瞼を開けるとそこはよく見知った部屋。 |
| 恋次の匂いのする、私にとってこの世で唯一、安心の出来る場所。 | 真樹の匂いのする、私にとってこの世でただひとつ、安心のできる場所。 |
| 今は暗くて殆どなにも見えない部屋だけれど、左隣に確かに愛しい気配を感じる。 | 今は暗くてなにもほとんどなにも見えない部屋だけれど、左隣にたしかに気配を感じる。 |
| 「恋次……」 | 「真樹……」 |
| 身体を起こし、私の隣で死んだように眠る恋次の顔をじっくりと覗き込む。 | 身体を起こし、私の隣で死んだように眠る真樹の顔をゆっくりと覗き込む。 |
| 恋次はいつもこうだ。まるで本当に死んでいるんじゃないのかってくらい静かに眠る。どこまでも透き通った、余計な感情を取り除いた美しい寝顔。 | 真樹はいつもこうだ。まるで本当に死んでいるんじゃないかってくらい無表情で眠る。 |
| 一応いつものように耳を済ませて恋次の微かな呼吸音を探る。 | 一応いつものように耳を済ませて真樹の呼吸音を探る。 |
| 「すぅー……すぅー……」 | 「スゥー……スゥー……」 |
| 「はぁ……良かった…」 | 「はぁ……よかった」 |
| 安心した私はそっと恋次の頬に触れる。これもいつものこと。 | 安心した私はそっと真樹の頬に触れる。これもいつものこと。 |
| どんな夢を見ているんだろう?私の夢だと嬉しい。 | どんな夢を見ているんだろう・・私の夢だといいな。 |
| 顔の輪郭をなぞりながら、徐々に指を下へ下へと下ろしていく。 | 顔の輪郭をなぞりながら、徐々に指を下へ下へとおろしてゆく。 |
| 夢……そう、あの悪夢を見るのも…… | 夢……そう、あの悪夢をみるのも…… |
| 「いつものこと……なんだよね」 | 「いつものこと……なんだよね。」 |
| 298 :天秤 [sage] :2007/10/07(日) 00:40:55 ID:AreITkIC | |
| 恋次は私にとってこの世で唯一自分と同じ傷みと想いを感じあうことのできる男性だ。 | 真樹は私にとってこの世で唯一自分と同じ傷みと想いを感じあうことのできる男性だ。 |
| 同じように人に裏切られ、同じように愛する人に捨てられた。 | 同じように人に裏切られ、同じように愛する人に捨てられた。 |
| 恋次は人に捨てられる苦しみを知っている。人に裏切られる怒りと悲しみを知っている。 | 真樹は人に捨てられる苦しみを知っている。人に裏切られる怒りと悲しみを知っている。 |
| だから恋次が私を捨てるはずない。私の側からいなくなるわけがない。 | だから真樹が私を捨てるはずない。私のそばからいなくなるわけがない。 |
| 私達は本当の意味で愛し合っているんだから。それだけじゃない、有象無象のカップルとは違って深く理解しあってもいる。 | 私達は「愛し合っている」んだから。それだけじゃない。 |
| 他のカップルとは違って「理解しあって」もいる。 | |
| 深い深いところで繋がっている。絶対に離れることなんてない。 | 深い深いところで繋がっている。絶対に離れることなんてない。 |
| それはわかっている。だからあんな夢、ただの夢だ。 | それはわかっている。だからあんな夢、ただの夢だ。 |
| でも……でももし恋次が他の女を選んだら?私じゃない他の誰かのところに走ったら? | でも……でももし真樹が他の女を選んだら?私じゃない他の誰かのところに走ったら? |
| もし私に飽きたら?私のことがいらなくなったら? | もし私に飽きたら?私のことがいらなくなったら? |
| 「やだ……そんなの絶対嫌だ……」 | 「やだ……そんなの絶対やだ……」 |
| 両手の指は首にまでかかっている。その指に少しずつ、ほんの少しずつ、力をこめていく。 | 両手の指は首にまでかかっている。その指に少しずつ、少しずつ、力をこめていく。 |
| 「誰かに奪われるくらいなら……他の誰かと歩く恋次を見るくらいなら……」 | 誰かに取られるくらいなら……他の誰かと歩く真樹を見るくらいなら…… |
| どんどん力が強くなる。 | どんどん力が強くなる。ここで真樹をこの手で……そうれば真樹は永遠に私の…… |
| 「ここで恋次を私の手で……そうなれば恋次は永遠に私の……」 | |
| 「うっ……ぐっ…うぐぐぐ」 | 「うっ……ぐっぐぐぐぐ」 |
| 恋次の苦しそうな声が聞こえてくる。はっ、として慌てて手を恋次の首から離す。これもいつものこと。 | 真樹の苦しい声が聞こえてくる。はっ、として慌てて手を真樹の首から離す。これもいつものこと。 |
| あの夢を見て、恋次の首を絞めて我に返る。全く成長しない私。 | あの夢を見て、真樹の首を絞めて、我にかえる。成長しない私。 |
| 「ごめんね……恋次。もうしないから許して……」 | 「ごめんね……真樹。もうしないから許して……」 |
| これもいつものこと。どうせまたあの夢をみたらやってしまう最低な私。 | これもいつものこと。どうせまたあの夢をみたらやってしまう。最低な私。 |
| 恋次を失うのが怖い。他のものなんていらないから神様、どうか恋次だけは奪わないで。 | 真樹を失うのが怖い。他のものなんていらないから神様、真樹だけは奪わないで。 |
| 「もう失いたくない、裏切られたくない……」 | もう失いたくない、裏切られたくない…… |
| 濡れてきてしまった目尻をぬぐい、横になり、恋次の手を握る。これだけで安心する。 | 濡れてきてしまった目尻をぬぐい、横になり、真樹の手を握る。これだけで安心する。 |
| 昂った心と身体が、ゆっくりと落ち着いていく。 | 高ぶった心と身体が、ゆっくりと落ち着いていく。 |
| 再び意識が暗い闇の底に沈んでいく。 | 再び意識が暗い闇の底に沈んでいく――― |
| 次は恋次と笑って歩いている夢がみたいな…… | 次は真樹と笑って歩いている夢がみたいな…… |
| 299 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/10/07(日) 00:41:52 ID:AreITkIC | |
| 自然に、ゆっくりと瞼がひらいていく。どんな夢をみたのか、全然覚えていない。 | ―――自然に、ゆっくりと瞼がひらいていく。どんな夢をみたのか、全然覚えていない。 |
| 見知った部屋、見知った匂い。でも左隣りの気配がない。 | 見知った部屋、見知った匂い。でも左隣りの気配がない。 |
| 「恋次っ!?」 | 「真樹!」 |
| 掛け布団を思いっきり蹴り飛ばし恋次の姿を探す。 | 掛け布団を思いっきり投げ出し、真樹の姿を探す。 |
| 「恋次どこ?恋次!?恋次ぃぃ‼」 | 「真樹どこ!真樹!真樹ぃぃ!」 |
| 胸の鼓動がどんどん速くなっている。 | 胸の鼓動がどんどん早くなってるのがわかる。まさか・・・まさか! |
| 「まさか……まさかそんな!」 | |
| 寝室からリビングに出て台所を見渡す。 | 寝室からリビングに出、台所を見渡す。 |
| いつも二人で食事をしているテーブルの上に紙が置いてあるのが見えた。 | いつも二人で食事をしているテーブルの上に紙がおいてあるのが見えた。 |
| 急いでテーブルに向かい食い入るように読みこむ。 | 急いでテーブルに向かいむざぼるように読みこむ。 |
| そこにある恋次の匂いを感じられるようにじっくりとゆっくりと。 | そこにある真樹のにおいを感じられるようにじっくりとゆっくりと。 |
| 『食事は冷蔵庫の中にあるから暖めて食べてね』 | 「食事は冷蔵庫の中にあるから暖めて食べてください。」 |
| たった一行だけれどそれだけで心が安らいでくる。と同時に頭も冴えてくる。 | たった一行だけれどそれだけで心が安らいでくる。と同時に頭も冴えてくる。 |
| 「そうだ…、恋次は仕事に行ったんだ」 | そうだ、真樹は今日は出勤だったんだ。 |
| ふっと気が抜けて思わずへたりこんでしまった。 | ふっと気が抜けて思わずへたりこんでしまった。 |
| 昨日そう言ってたばかりじゃないか。何をしてるんだ私は。 | 昨日そう言ってたばかりじゃないか。なにをしてるんだ私は。 |
| ボサボサのままの髪をかきあげながら、冷蔵庫から恋次が作ってくれた食事を取り出す。 | ボサボサのままの髪をかきあげながら、冷蔵庫から真樹がつくってくれた食事を取り出す。 |
| オムライスだ。朝から食べるものではないが、時計の針はもう午後2時を回っている。 | オムライスだ。朝から食べるものじゃないが、時計の針はもう午後2時を回っている。 |
| 恋次は私がこの時間に起きることをちゃんと分かっていたらしい。 朝に起きれば基本的に和食が用意されている。昼過ぎになれば今日みたいな私の好きな洋食系。私の生活サイクルは完全に把握されている。 | 真樹は私がこの時間におきること、わかってたのかな。 |
| お昼過ぎのくだらない内容のテレビを見ながらオムライスをほおばる。 | お昼過ぎのくだらない内容のテレビをみながらオムライスをほおばる。 |
| 恋次の料理は美味しいけれど、恋次がいないとなんだか味が薄い気がする。 きっと気のせいじゃない。 | 真樹の料理はおいしいけれど、真樹がいないとなんだか味がうすいきがする。 |
| きっと気のせいじゃない。真樹がいないとおいしくない・・・ | |
| 「恋次がいないと美味しくない……」 | |
| 恋次と会うまで一人で食事を摂ることなんてまるで苦じゃなかった。 | 真樹と会うまで一人で食事をとることなんてまるで苦じゃなかったのに。 |
| でも今は恋次がいないとダメだ。何もかもが。 | でも今は真樹がいないとダメだ。苦しい。心も身体も、苦しい・・・ |
| 苦しい。心も身体も苦しい。 | |
| つまらない食事を終え、食器を洗うと私はそのまま書斎へ向かう。 | つまらない食事を終え、食器を洗うと、私はそのまま書斎へ向かう。 |
| 私の仕事場。ここは唯一、恋次の匂いがあまりしない場所だ。 | 私の仕事場。ここは唯一この部屋で真樹の匂いがあまりしない場所だ。 |
| この部屋は私が仕事場として購入したマンションだけれど、いつの間にか恋次と二人でここに入り浸りになった。 | この部屋は私が仕事場として購入したマンションだけれど、いつのまにか真樹と二人でここに入り浸りになった。。 |
| 私はあまりこの部屋には私物を置かず、恋次の好きなようにインテリアを任せることにしていた。 | 私はあまりこの部屋には私物を置かず、真樹の好きなようにインテリアを任せることにしていた。 |
| そうすればずっと恋次の匂いで包まれていられるから。 | そうすればずっと真樹の匂いで包まれていられるから…… |
| だけど、この書斎には恋次が気を利かせたのか、まるで物が置かれていない。 | だけど、この書斎には真樹が気を利かせたのか、まるで物が置かれていない。 |
| 単純なデザインの机と、本のびっしり入った本棚。それだけ。 | 単純なデザインの机と、本のびっしり入った本棚。それだけ。 |
| でも、ここには私の宝物が隠れている。恋次にも見せていない大切な宝物。 | でも、ここには私の宝物が隠れている。真樹にも見せていない大切な宝物。 |
| 本棚を開け、一番下の棚の左から2番目の本から小さな銀色の鍵を抜き取る。 | 本棚を開け、一番下の棚の左から2番目の本から小さな銀色の鍵を抜き取る。 |
| この本は全然読んでいないけれど、確か航空力学か宇宙工学かなにかの本だった気がする。 | この本は全然読んでいないけれど、確か宇宙工学かなにかの本だった気がする。 |
| その鍵を使い、下から2番目の棚、右端の一角にある隠し扉にかかったロックをはずし、宝物達を取り出す。 | 鍵を使い、本棚の裏ににかかったロックをはずし、宝物達を取り出す。 |
| 恋次を隠し撮った写真のアルバム。 | 真樹を隠し撮った写真のアルバム。 |
| 恋次を隠し取ったビデオ。 | 真樹を隠し取ったビデオ。 |
| 恋次の着た服や恋次の使った食器はここで暮らすようになってから大量に手に入るからいいけれど、こういうものは流石に自分で作らないといけない。 | 真樹の着た服や真樹の使った食器はここで暮らすようになってから大量に手に入るからいいけれど、 |
| こういうものはさすがに自分で作らなきゃいけない。 | |
| 一緒に暮らしてるのだから止めようと何度も思ったけれど、なかなか辞められる趣味じゃない。 | 一緒に暮らしてるんだから辞めようと何度も思ったけれど、やっぱりなかなか辞められる趣味じゃない。 |
| 彼のいないときはこうして彼のビデオと写真で恋次の温もりを感じる。 | 彼のいないときはこうして彼のビデオと写真で自分を慰める。 |
| 恋次がこんな私を知ったら、どう思うかな? | 真樹がこんな私を知ったら、どう思うかな。 |
| 300 :天秤 [sage] :2007/10/07(日) 00:42:33 ID:AreITkIC | |
| 恋次と最初に出会ったとき、つまり恋次が私の担当になったとき、正直に言うと嫌で仕方なかった。 | 真樹と最初に出会ったとき、つまり真樹が私の担当になったとき、正直嫌で仕方なかった。 |
| 男が好きじゃなかったのもあるけど前の担当と違って若くてあまり役に立ちそうになかったからだ。 | 男が好きじゃなかったのもあるけど私の前の担当と違って若くてあまり役に立ちそうになかったからだ。 |
| いつものようにニコニコ笑って周りに仲のいいところをアピールするだけでいいやくらいにしか、考えてなかった。 | いつものようにニコニコ笑って周りに仲のいいところアピールするだけでいいやくらいにしか、考えてなかった。 |
| でも恋次は、そんな私の心情を知ってか知らずか、いやに私に絡んできた。 | でも真樹は、そんな私の心情を知ってか知らずか、いやに私に絡んできた。 |
| 一生懸命私の世話を焼こうとするし、私の為にいろんなところを駈けずりまわってくれたりした。 | 一生懸命私の世話を焼こうとするし、私のためにいろんなところを駈けずりまわってくれたりした。 |
| 私にやたら話しかけてくる恋次に困惑と不快な気持ちを抱かなかったといえば嘘になるが、でも何故か拒絶する気になれなかった。 | 私にやたら話しかけてくる真樹に不審と不快の気持ちを抱かなかったといえば嘘になるが、でもなぜか拒否する気になれなかった。 |
| 他人が自分の生活に入ってくるのを何よりも嫌がる私だったはずなのに、何故か恋次のことだけは許せたのだ。 | 他人が自分の生活に入ってくるのを嫌がる私だったはずなのに、なぜか真樹の侵入は許せたのだ。 |
| 恋次と過ごす日々。だんだんそれは仕事だけじゃなくて、日常的な生活にも及んでいく。 | 真樹と過ごす日々。だんだんそれは仕事だけじゃなくて、日常的な生活にも及んでいく。 |
| 恋次が私の部屋に来て掃除してくれたり、食事を作ってくれる。逆に私が恋次の部屋に行って仕事をしたり。本当は色々してあげたいけど、残念ながら私はあまり家事が得意じゃない。 | 真樹が私の部屋に来たり、私が真樹の部屋に行ったり。 |
| 恋次が少しずつ、私の人生に染み渡っていく。 | 真樹が少しずつ、私の人生に染み渡っていく。 |
| 私はいつのまにか恋次に惹かれるようになっていた。いや、もしかしたら最初からそうだったのかもしれない。 | 私はいつのまにか真樹に惹かれるようになっていた。いやもしかしたら最初からそうだったのかもしれない。 |
| いつしか恋次は私の人生になくてはならないものになっていた。 | 真樹は私の人生になくてはならないものになっていた。 |
| ある日、恋次は昔話をしてくれた。あまり触れようとしなかった自分の人生の歩み。 | ある日、真樹は昔話をしてくれた。あまり触れようとしなかった自分の人生の歩み。 |
| その話を聞いたとき、なぜ恋次に私が惹かれたのか、その理由がようやくわかった。 | その話を聞いたとき、なぜ真樹に私が惹かれたのか、その理由がようやくわかった。 |
| 恋次は私と同じだったのだ…… | 真樹は私と同じだったのだ…… |
| ゆっくり、ゆっくりと恋次は語る。自分の過去を。 | ゆっくり、ゆっくり真樹は語る。自分の過去を。 |
| 優秀で優しかった自慢の兄の死、そこからくる母との別離。仕事にしか興味のない父との確執。 | 兄の死、そこからくる母との別離、再婚した父との確執。 |
| 新しい家族の義姉と義母からは奴隷の様にこき使われ、罵詈雑言と暴力の限りを尽くされる地獄の日々。 | 新しい家族だったはずの義姉と義母からのひどい仕打ち。 |
| ようやく出来た理解者に裏切られ、全てを奪われる深い絶望。 | ようやくできた理解者に裏切られる絶望。 |
| そして愛した人にゴミの様に捨てられた悲しみ。 | 愛した人たちに捨てられ続ける悲しみ…… |
| そこにはもう一人の私がいた。愛されることの意味を知らない悲しい人。 | そこにはもうひとりの私がいた。愛されることの意味のわからない人間。 |
| 似たもの同士の私達。だから私は受け入れられたんだ。 | 似たもの同士の私達。だから私は受け入れられたんだ。 |
| 私達は惹かれあった。お互いの傷を舐めあうように。 | 私達は惹かれあった。お互いの傷をうめるように、舐めあうように。 |
| お互いの考えていることがよく分かる。お互いの求めているものがよくわかる。 | 互いの考えていることがよくわかる。互いの求めているものがよくわかる。 |
| 私達は恋人同士で、理解者でもあった。 | 私達は恋人同士で、理解者でもあった。 |
| 恋次は自覚してないけど、彼はとても気配りが出来る。私に限らず周りの人達の為に一生懸命行動する。 | |
| それは虐げられ、見捨てられた経験があるから。だから彼は周りの人達に自然と手を差し伸べる。人の辛さも背負おうとする。絶対に見捨てない。 | |
| 誰よりも辛い人生を歩んできたのに、それを感じさせない慈愛に満ちている。 | |
| 恋次は否定するけれど、周りの人達もみんな恋次を慕っている。信頼している。 | |
| そして気付いてないけど、恋次は沢山のものを持っている。端正な顔立ち、あらゆる事をそつなくこなす器用さ、信頼と人望。そして本当の優しさ。 | |
| 周りを見渡せば私のような歪んだ女より素敵な女性も沢山いる。 | |
| 私達は支えあい生きる。これからの人生を手をつなぎながら歩く。 | 私達は支えあい、生きる。人生を、手をつなぎながら歩く。 |
| でも、私はどこかで分かっている。信じたくないけど理解している。 | ……でも私はどこかでわかっている。信じたくないけど理解してる。 |
| いつか恋次は私を置いて一人で行ってしまう。私の手を離してしまう。私じゃ決して敵わない素敵な女性と幸せになる。 | いつか真樹は私を置いて一人で行ってしまう。私の手を離してしまう…… |
| (そんなこと我慢できない!そんなこと絶対させない!) | そんなの……我慢できない!そんなこと絶対させない……! |
| 私達は一緒に幸せになる。一緒な幸せになるべき人間なんだから! | 私達は一緒に幸せになる。幸せになるべき人間なんだから! |
| ずっとずっと、二人が死ぬまで、来世でさえも一緒にいるべき。一緒にいないといけない。 | ずっと、ずっと一緒にいるべき。 |
| 私を理解できるのは恋次だけ。恋次を理解出来るのも私だけ。 | 私を理解できるのは真樹だけ。真樹を理解できるのも私だけ。 |
| 恋次は私に本当の愛を教えてくれた。だから今度は私が恋次に本当の愛を教えてあげる。愛される幸せを教えてあげる。 | 真樹は私に愛を教えてくれた。だから今度は私が真樹に愛を教えてあげる。 |
| 愛しい恋次。私を本当に理解してくれる唯一の人。 | 愛しい真樹。私を本当にわかってくれる唯一の人。 |
| 絶対に離さない。縛り付けてでも、殺してでも自分の側に繋ぎ止める。 | 絶対に離さない。それが私の「愛する」ってこと。 |
| それが私の"愛する"ということ。 | |
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文字数: 7282 空白数: 292 空白込み文字数: 7574 改行数: 288 改行込み文字数: 7862 単語数: 221 |
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