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[FT]トランプ氏の「米国第一」、退廃と衰退の始まり

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2016/11/11 3:30
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 ドナルド・トランプ氏が次期米大統領に決まったのは11月9日朝、ベルリンの壁崩壊からちょうど丸27年後だったことは何とも皮肉だ。壁の崩壊は米国のリーダーシップが勝利した瞬間だった――そして楽観主義と、リベラルで民主的な理念が世界中に広がる時代を招き入れた。トランプ氏の勝利で、その時代は決定的に終止符を打たれた。

勝利のうたげの後、トランプ氏は米国をどこへ連れて行くのか(9日、ニューヨーク)=ロイター
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勝利のうたげの後、トランプ氏は米国をどこへ連れて行くのか(9日、ニューヨーク)=ロイター

 扇動的に人種差別発言を繰り返す同氏の当選は、第2次世界大戦が終わった1945年以降、米国が国内外で推進してきた民主主義への手痛い打撃となる。

 この米国の関与の姿勢を最も雄弁かつ感動的に表したのは1961年のジョン・F・ケネディ元大統領による言葉だ。「我が国に好意を抱こうと悪意を抱こうと、すべての国に知らせよう。我々は自由の存続と成功を確保するためには、いかなる代償も払い、あらゆる重荷をいとわず、どんな困難とも対峙し、あらゆる友人を助け、いかなる敵とも対決する決意であることを」

■ケネディのビジョンとの悲しいコントラスト

 ケネディのビジョンの寛大さと広大さ、力強さはトランプ氏の宣言――我々の計画は米国が最優先となり、グローバリズムではなくアメリカニズムが信条となる――の狭量な国家主義との悲しいコントラストを描く。この2つのビジョンの違いは計り知れないほど大きく、不吉だ。米国の戦後世代が世界中の自由を守ると固く誓うようになったのは、理想主義からだけではなかった。ケネディが述べたように、この世代は「戦争によって鍛えられ、つらく苦い平和によって自制心を培った」。トランプ氏に投票した世代と好対照を成す。すなわちファストフードによって太らされ、テレビのリアリティー番組によって幼稚化された世代だ。

 ケネディ世代は大恐慌と第2次世界大戦から厳しい教訓を学んだ。あの世代は「アメリカ・ファースト(米国第一)」――米国を広い世界の問題から隔絶しようとする政策――が最終的に、経済と政治の大惨事につながったことを知っている。だから1945年以降、共和党、民主党双方の新世代の指導者たちは世界のために経済と安全保障の構造を築いた。米国のリーダーシップと、北大西洋条約機構(NATO)、国連、世界銀行といった国際機関、同盟関係を軸とする構造である。

「トランプ阻止で団結しよう」と書かれた段ボールの壁をつくり、選挙前投票を米国人に呼びかけるドイツの団体。ベルリンの壁が崩れて丸27年後の同じ日、くしくもトランプ氏が当選した=ロイター
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「トランプ阻止で団結しよう」と書かれた段ボールの壁をつくり、選挙前投票を米国人に呼びかけるドイツの団体。ベルリンの壁が崩れて丸27年後の同じ日、くしくもトランプ氏が当選した=ロイター

 かつて知っていたとしても、トランプ氏は1930年代の経験から引き出された教訓を忘れてしまった。同氏が抱く嫌悪感は、米国自体の機関に対してよりも国際機関に対して深いように見える。トランプ氏の提案する政策は、何十年にもわたって米国が支え守ってきたリベラルな世界秩序をひっくり返す恐れがある。

 とりわけ、世界に米国が向き合うときの2つの超党派的な大原則に、同氏は異論を唱えた。1つ目は、開かれた国際的貿易体制への支持。2つ目は、世界の安全保障を支える米国主導の同盟関係への関与だ。

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