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紀子
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子どもって大きくなると、だんだん親から離れてゆくのじゃないかしら。お姉様ぐらいになると、もうお父様やお母様とは別のお姉様だけの生活ってものがあるのよ。誰だってみんな自分の生活が一番大事になってくるのよ。 |
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紀子
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わたくし、いつまでもこのままじゃいられないような気もするんです。このままこうして一人でいたら、一体どうなるんだろうなんて、夜中にふと考えたりすることがあるんです。一日一日が何事もなくすぎてゆくのがとっても寂しいんです。どこか心の隅で何かを待ってるんです。ずるいんです。 |
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周吉 |
いやー、ずるーはない。 |
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紀子
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いいえ、ずるいんです。そういうこと、お母様には申し上げられなかったんです。 |
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周吉
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ええんじゃよ、それで。やっぱり、あんたはええ人じゃ、正直で。 |
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紀子 |
とんでもない。 |
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