米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏は「米国第一主義」を掲げており…[続きを読む]
政治、外交経験のないトランプ氏の大統領当選で、日米関係は試練のときを迎…
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政治、外交経験のないトランプ氏の大統領当選で、日米関係は試練のときを迎えている。
何を言い出すか予測不能。日本との人脈も乏しい。アジア太平洋地域と世界の安定のために日米関係が果たしてきた役割への理解も不足している。
日米関係を基軸としてきた日本外交の先行きは、不確実性を増している。
それでも、戸惑ってばかりはいられない。腰を落として冷静に対処するしかない。
安倍首相は17日にニューヨークでトランプ氏と会談する方向だ。まずは日米関係の重要性を改めて確認し、共有する機会としてほしい。
そのうえで、来年1月の大統領就任までの期間を生かして人脈を築き、相互理解を広げる努力を重ねる必要がある。
選挙戦でトランプ氏は、日本など同盟国の負担増を求めてきた。負担を増やさなければ米軍を撤退させるという主張だ。
だが、同盟国がただ乗りしているような議論は誤りだ。同盟国の存在は、米国自身の安全保障にとっても重要である。
日本の核保有を容認するかのような発言もあったが、認めることはできない。唯一の戦争被爆国である日本が非核三原則を堅持する。そのことが地域の安定に寄与してきた現実は、米国の大統領として最低限、踏まえるべきである。
民主主義、法の支配などの価値観で結ばれた日米関係が地域安定の基礎となる。その利益は米国も享受している。
中国は南シナ海などで強引な海洋進出を重ね、北朝鮮の核・ミサイル開発も止まらない。
こうしたなかで、トランプ氏が内向きの発想や場当たり的な交渉で外交・安全保障政策を展開すれば、地域の秩序が崩れかねない。そのことは米国自身の国益にも反する。
17日の会談で安倍首相には、こうした現実をトランプ氏に十分に説明してもらいたい。
米国と関係の深い国ほど、日本と同じ不安を感じているだろう。日本が率先して、東南アジア諸国連合(ASEAN)や豪州、韓国などとの連携を強めることも考えてはどうか。
一方、不安だからと防衛力の強化ばかりを急ぐことは、地域の安定を崩しかねない。
軍事に偏ることなく、外交や経済、文化も含め日米の多層的な関係を深め、地域の平和と安定に向けた「公共財」としての役割を着実に果たしていく。
トランプ大統領の登場を、あるべき日米関係の姿を構想し、考え直す機会とすべきだ。