今までいろんな色を試してきたがことごとく似合わず、私は口紅をしてはいけない女だと思っていた。
初めて口紅を使ったのは十代後半の頃、母親の真っ赤な口紅を借りて撃沈。
原色は危険だと知った私は、次に薄めのピンクを選んだ。が、これもオバケのQちゃんみたいになる。
それならば無難なベージュだ、黄色人種ならベージュ選んどきゃ間違いない…と思っていたが、しっくりこない。おまけに唇より濃い色のはずなのに何故か白っぽくなる。
やけくそでオレンジ系も試して見たがこれが一番だめだった。カレー食べた人みたいになった。
結局二十代は必要な時だけうっす〜いピンクとベージュの間みたいな色をしぶしぶ使っていた。
そして三十代になり、そろそろ口紅も似合う年齢になったかな?と思い、ドラッグストアに寄るたびにテスターで色々試しまくった。
ある日、どうせ失敗しても家帰るだけだし…と今まで試したことのない色に挑戦した。
テスターの口紅を綿棒に取り、備え付けられた鏡を見ながら唇に乗せた瞬間、世界が変わった。
殴られたあとの痣みたいな色の口紅が、何故かきれいな赤に見えるのだ。
フリーザ様にはならなかった。
肌の色が明るくなった。
死人が息を吹き返したように頰に赤みがさした。
瞳の色が黒く輝いた。
これだったのだ。私が探し求めていたのは。
誰かに教えて欲しかった。
だって口紅といったら赤かピンクじゃん。ベージュが無難だと思うじゃん。紫入ってる色なんてめちゃくちゃ勇気いるじゃん…。
でもまあ、貴重な二十代は潰してしまったが、これから楽しもうと思う。
おしまい。
自分の血色との相性ってもんがあるから