【連載】

うだまのレシピ

1 昔話に出てくるご馳走「白い米の飯」を作って食ってみた

 
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皆さん、子供のころよく昔話をしてもらったかと思います。その中に、こんな話があるのをご存知でしょうか? 「三合めし四合だご」というお話です。

三合めし四合だご

衝撃的なラスト

こんな感じのお話です。宮崎に残る民話なので、地元だという方はご存知かもしれません。最後のナレーションで、つい「そっちが教訓!?」と叫んでしまいました。取り乱してしまいすみません。

この時代では、米を作っても作ってもみんな年貢で取られてしまいます。百姓の手元に残るのは、腹もちの悪い粟や稗ばかり……。ひだりぃどんは毎夜、米の飯を腹いっぱい食う夢を見ます。

「一度でいいから、米ん飯ば腹いっぺぇ食うてみてぇもんじゃのう」とつぶやくひだりぃどん。ついに彼は、隠し田を作ってしまいます。隠し田とは、取れた米を税として納めずに、全部自分のものにしてしまえる田んぼのことです。これがお上に見つかったら、打ち首になってしまうほどの重罪です。

毎晩毎晩、昼の田んぼ仕事が終わった後、夜も眠らずひだりぃどんは隠し田で稲を育てます。ついに念願が叶い、一升ばかりの米をこしらえたひだりぃどん。真夜中に、旨い米の飯を炊いて、がむしゃらにむさぼり食います。しかし、夢を叶えた後、ひだりぃどんは、ニカっと笑った笑顔のまま、息絶えてしまいます。

かわいそうに思った村人たちは、ひだりぃどんの冥福を祈って、彼の作った隠し田で毎年稲を作り、米の飯をお供えしたということです。

ひだりぃどんが食べた米の飯がどれほど旨かったか……再現してみる

人によって感想は様々だと思います。子供だったころに読んだお話で、一緒にいた兄弟は「救いようがない」ともらしてましたし、また別の兄弟はひだりぃどんがあまりに旨そうに米の飯を食うので「具なしの白米だけの握り飯が食いたい」と言ってました。

過労がたたり、ひだりぃどんは死んではしまいますが、最後に、夢にまで見た米の飯が食えて本当によかったと、私は子供ながらに思いました。

最後に食べたあの白い米の飯。さぞ旨かったろうと思います。今回は、そんなことを思いながら、実際にひだりぃどんが食べた米の飯を再現してみようと思います。

使うのはコレ!!

使うのはこちら。去年友人からもらった猫のお鍋です。ひだりぃどんが使っていた釜なんかうちにはないので、これで代用。

猫の耳がちゃっかりついていて、大変かわいいのです。

お米も買ってきた!!

さて、ひだりぃどんの民話が伝わるのは現在の宮崎県。せっかくなので宮崎のお米を買ってこようと思ったのですが……。近所のスーパーには売ってなかったので、個人的に好きな銘柄「ゆめぴりか」を買ってきました。

炊けたー!!

お米炊けました!!緊張の一瞬です。開けてみようと思います。

蓋に手をかけ……

ゆっくりと……

持ち上げる……

旨そうな米のにおいがふき上げてきます。亡くなる直前に、うれしそうな顔をしてお米を炊いていたひだりぃどん。少しだけ気持ちがわかるかもしれません。夢にまで見た、あの、白い米の飯。炊き上がった瞬間のひだりぃどんの気持ちを思うとちょいと涙が出ます。本当に嬉しかっただろうなぁって。

できたー!!

そして完成しました。私特製、「昔話百姓飯(むかしばなしひゃくしょうめし)」。別名ひだりぃどん定食です。今、名前つけました。

せっかくなので、豆腐とネギのお味噌汁も。これも昔はご馳走だったんだろうなぁ。

畑仕事で疲れた時には、やっぱりコレでしょう。そう、お漬物です。あったかいお茶と一緒にいただくともうたまりません。

ご飯は、かなりこんもりと高く盛り付けました。ひだりぃどんも、これくらい高く盛り付けていたので真似してみました。

これだけ高さがあると、食べごたえも満載ですね。

ちなみに猫には無視されました

ひだりぃどん定食のお写真を撮っていると、うちの猫がやってきました。昔話の中では、猫も白米を食べたりしますが……。

うちの子は完全スルーしてました。

神の食べ物

ひだりぃどんの気持ちを味わいたかったので、前日の昼飯と晩飯を抜いた状態で挑戦した今回のひだりぃどん定食(ただ単に食べる時間がなかっただけです泣)。非常に、非常に旨かったです。

米の飯を食べる夢を見る時、ひだりぃどんは必ず「やっぱり米の飯はうまかぁ~」と言っていました。同じせりふを言いながら、しみじみとお米の美味しさを味わいます。

ごちそうさまでした

白米、漬物、味噌汁。一見、たった三品の貧しい食卓に見えるかもしれませんが、ひだりぃどんのことを思うと、本当に、本当に心から「旨い」と思えるご馳走でした。

オマケ

そういえば昔、こんな1コマ漫画を描いたことがあります。

実はこれ、ひだりぃどんの民話に影響されてやっていたことです(笑)。この設定で食べると本当に何でも美味しくなります。オススメです。

<作者プロフィール>
うだま
猫好きの人妻アラサー。猫の漫画や日常の漫画をよく書く。
猫ブログ「ツンギレ猫の日常-Number40」は毎朝7時30分に更新している。
ツイッターでは常に猫への愛を叫び続けている。下ネタツイートは最近控えるようにしている。

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インデックス

連載目次
第6回 バター醤油は悪魔の味
第5回 田舎の母の舌をうならせたレシピ「あのなんか美味しいやつ」
第4回 寒い日にぴったりなホットチョコレートを作る
第3回 漫画家の締め切り前一週間のメシの変遷を晒す
第2回 サーモンの漬け丼は何故旨いのか
第1回 昔話に出てくるご馳走「白い米の飯」を作って食ってみた

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