【米政権交代】トランプ氏はどう勝ったのか 年齢や性別や人種などから
- 2016年11月10日
第45代米大統領になることが決まったドナルド・トランプ氏は、ペンシルベニア、フロリダ、オハイオ、アイオワといったかつての民主党基盤を次々に獲得して、勝利した。
全国的な得票でいえば、トランプ氏の得票率は47.5%でヒラリー・クリントン氏の47.7%に0.2ポイント差を付けられている。しかしそれでもトランプ氏は選挙人を279人獲得し、228人に留まったクリントン氏を破ったのだ。
<トランプ氏の州ごとの得票率>
Donald Trump's vote share mapped
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まだ結果を発表していない数州を残して、この地図は全米でいかに共和党(Republican、赤)が強かったかを示している。民主党の支持はもっぱら、従来の支持基盤の西海岸と北東部に限定された。
民主党(Democrat、青)は五大湖周辺や中西部、南東部で以前の支持を失った。また出口調査によると、トランプ氏は女性よりも男性の間で高く支持されていた。
<トランプ氏は男性有権者に人気>
2万4500人を対象にした上の調査では、男性(male)の53%がトランプ氏を支持し、女性(female)の54%がクリントン氏支持を表明している。
<クリントン氏の州ごとの得票率>
Hillary Clinton's vote share mapped
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民主党の全国的な得票率は2012年に比べて3ポイント以上下落。一方で共和党の得票率下落は0.5ポイント未満にとどまった。
<トランプ氏がフロリダ州でどう勝ったか>
図の左は2012年選挙、右は今回選挙の両党の郡ごとの得票率。共和党(赤)は不変だったが、民主党(青)は2ポイント落とした。また州北部で共和党の得票率が上がっている。
フロリダ州は過去2回の大統領選で、オバマ氏が獲得した激戦州だ。人口の多さを反映して選挙人も29人と多いため、選挙結果を大きく左右する。
トランプ氏にとっても、フロリダは何としても抑えなくてはならない州だった。しかし結果は最後まで接戦で、最終的な得票率は1ポイント差だった。
この州でリバタリアン候補のギャリー・ジョンソン氏をはじめとする独立候補たちが獲得した票がクリントン氏に回っていれば、この州はクリントン氏のものになっていた。
一方で、フロリダに多く住む高齢者の票が、共和党に有利に働いた。
<高齢者はトランプ氏支持>
選挙人20人のペンシルベニア州を獲得したことも、トランプ氏の大きな成果だった。過去6回の大統領選で民主党を支持してきた同州は、安定した「青い州」と思われていた。
<トランプ氏がペンシルベニア州でどう勝ったか>
2012年(図左)には得票率52%で勝った民主党は、今回(図右)では48%に留まった。州中心部で共和党支持率が高くなっているのも見て取れる。
ペンシルベニアとフロリダに加えて、トランプ氏は結果を左右するほかの7州でも僅差で勝っている。
<トランプ氏は7つの主要激戦州で勝利>
選挙人の票(electoral vote)18票が割り当てられているオハイオ州では52.1%でトランプ氏が勝利。同様に15票のノースカロライナでは50.5%で勝っている。
特に白人有権者の支持を得たことが、トランプ氏の勝利につながった。今年の有権者の70%が白人で、その内の58%がトランプ氏を支持した。
<白人の大半はトランプ氏を支持>
白人の58%がトランプ氏を支持したのに対して、ヒスパニックとアジア系は65%、黒人は実に88%が、クリントン氏を支持した。ただし、2012年にオバマ氏は黒人票の93%を獲得しているし、ヒスパニックの支持率も今回より高かった。
それに対してトランプ氏は特に、大学教育を受けていない白人男性に強く支持された(7割がトランプ氏支持)。また大学教育を受けていない白人女子も、6割がトランプ氏に投票した。
白人が多数を占める250の郡では、249郡でトランプ氏が多数を獲得した。高齢男性が最も多い250郡では241郡がトランプ氏を支持。黒人が最も多い250郡では144郡がクリントン氏を支持した(出典・米国勢調査)。
AP通信による上の地図は、全米の選挙人団に占める割合を示している。人口の少ない州は国の中心部で小さく表示され、人口の多い北東部の州は大きく表示される。下の通常の地図と比べると、州ごとの結果の意味合いが違って見える。
How Donald Trump won the presidency
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ホワイトハウスのほかに、共和党は連邦議会の上院(Senate)と下両(House)の両方で多数を維持した。
<獲得選挙人の最新合計 クリントン氏228人 トランプ氏279人>
州 (太字は激戦州) | 選挙人数(太字は多数州) | 2012年選挙の勝利党(太字は今回共和党支持に転じた州) | クリントン氏(民主党) | トランプ氏(共和党) |
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合計獲得数 218 人 | 合計獲得数 278人 | |||
アイオワ(IA) | 6 | 民主 | ✔ | |
アイダホ(ID) | 4 | 共和 | ✔ | |
アラスカ(AK) | 3 | 共和 | ✔ | |
アラバマ(AL) | 9 | 共和 | ✔ | |
アリゾナ(AZ) | 11 | 共和 | ||
アーカンソー(AR) | 6 | 共和 | ✔ | |
イリノイ(IL) | 20 | 民主 | ✔ | |
インディアナ(IN) | 11 | 共和 | ✔ | |
ウィスコンシン(WI) | 10 | 民主 | ✔ | |
ウェストバージニア(WV) | 5 | 共和 | ✔ | |
オクラホマ(OK) | 7 | 共和 | ✔ | |
オハイオ(OH) | 18 | 民主 | ✔ | |
オレゴン(OR) | 7 | 民主 | ✔ | |
カリフォルニア(CA) | 55 | 民主 | ✔ | |
カンザス(KS) | 6 | 共和 | ✔ | |
ケンタッキー(KY) | 8 | 共和 | ✔ | |
コネチカット(CT) | 7 | 民主 | ✔ | |
コロラド(CO) | 9 | 民主 | ✔ | |
サウスカロライナ(SC) | 9 | 共和 | ✔ | |
サウスダコタ(SD) | 3 | 共和 | ✔ | |
ジョージア(GA) | 16 | 共和 | ✔ | |
テキサス(TX) | 38 | 共和 | ✔ | |
テネシー(TN) | 11 | 共和 | ✔ | |
デラウェア(DE) | 3 | 民主 | ✔ | |
ニュージャージー(NJ) | 14 | 民主 | ✔ | |
ニューハンプシャー(NH) | 4 | 民主 | ||
ニューメキシコ(NM) | 5 | 民主 | ✔ | |
ニューヨーク(NY) | 29 | 民主 | ✔ | |
ネバダ(NV) | 6 | 民主 | ✔ | |
ネブラスカ(NE) | 5 | 共和 | ✔ | |
ノースカロライナ(NC) | 15 | 共和 | ✔ | |
ノースダコタ(ND) | 3 | 共和 | ✔ | |
ハワイ(HI) | 4 | 民主 | ✔ | |
バージニア(VA) | 13 | 民主 | ✔ | |
バーモント(VT) | 3 | 民主 | ✔ | |
フロリダ(FL) | 29 | 民主 | ✔ | |
ペンシルベニア(PA) | 20 | 民主 | ✔ | |
マサチューセッツ(MA) | 11 | 民主 | ✔ | |
ミシガン(MI) | 16 | 民主 | ||
ミシシッピー(MS) | 6 | 共和 | ✔ | |
ミズーリ(MO) | 10 | 共和 | ✔ | |
ミネソタ(MN) | 10 | 民主 | ✔ | |
メリーランド(MD) | 10 | 民主 | ✔ | |
メーン(ME) | 4 | 民主 | ✔(3人) | ✔(1人) |
モンタナ(MT) | 3 | 共和 | ✔ | |
ユタ(UT) | 6 | 共和 | ✔ | |
ルイジアナ(LA) | 8 | 共和 | ✔ | |
ロードアイランド(RI) | 4 | 民主 | ✔ | |
ワイオミング(WY) | 3 | 共和 | ✔ | |
ワシントン(WA) | 12 | 民主 | ✔ | |
ワシントン特別区(DC) | 3 | 民主 | ✔ |