【ワシントン聯合ニュース】米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)で韓国を担当するビクター・チャ氏は9日(米東部時間)、次期米大統領のドナルド・トランプ氏が朝鮮半島有事の際の作戦統制権を早期に韓米連合軍司令官(在韓米軍司令官兼務)から韓国軍へ移管する可能性があるとの見方を示した。トランプ氏の大統領選勝利が韓国と朝鮮半島をめぐる主要懸案に及ぼす影響を分析した資料で明らかにした。
チャ氏は米国の利益を優先するというトランプ氏の原則から、「トランプ氏が(大統領任期中に)有事作戦統制権の韓国軍への移管を完了し、これに関連する責任をすべて韓国に移す可能性がある」と指摘した。
作戦統制権は2015年12月に移管される予定だったが、両国は14年10月に「条件に基づいた作戦統制権の移管」に合意し、移管の時期を事実上、無期限延期としている。
チャ氏はまた、「トランプ政権で取り上げられる可能性がある同盟関連の最初の具体的な案件は、防衛費分担(在韓米軍駐留経費負担)に関する特別協定(SMA)だ」と言及した。次の交渉は2017年に行われるが、トランプ氏のこれまでの発言から、米国が次の交渉で強気に出るとの見解を示した。
トランプ氏は遊説で、欧州やアジアの同盟国の安全保障「ただ乗り論」を指摘し、韓国については在韓米軍駐留経費を全額負担する必要があるとした。負担増大に応じない同盟国からの米軍撤退もあり得ると明言してきた。
チャ氏はトランプ氏の北朝鮮政策を「最も大きな疑問を感じる問題だ」とした。トランプ氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と喜んで対話すると言う一方で、北朝鮮問題を中国に全面的に委ねるという構想を示したこともあった。一括解決に向けた妥協を持ちかけることもあり得ると、チャ氏は予想した。
韓米自由貿易協定(FTA)については、トランプ氏が「米国の労働者に被害を及ぼしている」と主張していることから、「見直しもあり得る」と述べた。
また、韓国と日本の軍事情報共有を可能にする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に関し、「同盟国がもっと負担すべきとのトランプ氏の考え方を踏まえると、米国の同盟国である韓日の情報共有協定を支持する可能性がある」とした。