「戦極MCBATTLE」は、ほかのMCバトルイベントとは毛色が異なる。その最大の違いは、主人公の数だと思う。表を学べ 裏を知れ 全体を見ろ
善を学べ 悪を知れ 行動を見ろ
先人に学べ 成功を知れ 過程を見ろ
失敗に学べ 過ちを知れ 馬鹿を見ろ 44戒/Shing02(2002)
2015年、ライムベリーのMC MIRIが女性アイドルとしてはじめてMCバトルデビューを飾った時、僕はこのような書き出しからその日のことを綴った。
“MC BATTLEイベントの一夜を書き上げるとしたら主人公は誰でもいい”
2016年11月6日に行われた「戦極MC BATTLE 15章」には65人のMCが参加した。
※64じゃないの?って思った方もいると思うがその辺は割愛させていただきたい
つまり65通りのバトルレポートを書くことができる。さらに誰目線でそれを語るかという一点を追加すると一気にレポートの種類が増える。
65×65通り?そんなもんじゃない。
お客さんやオーガナイザー、DJやスタッフ、在宅でSNSに噛り付いていたバトルファン、数えたらキリがない目線で、レポートは書き上げられる。
僕は計算が苦手なので、全部で何通りのドラマを書き上げられるのか検討もつかない。
だが、そんな計算に意味はない。それは、「戦極MCBATTLE15章」が群像劇 だからだ。
文:ハハノシキュウ 写真:ななみん 編集:ふじきりょうすけ
優勝するために出場した「UMB」
「戦極」との対比のために少しだけ「UMB」(ULTIMATE MC BATTLE)の話をさせてもらう。「UMB」は優勝候補である主人公と、それを阻止する者、つまりライバルの存在がどの大会よりも明確なのが特徴である。
ハハノシキュウ
「UMB東京予選」は紛れもなく僕の青春である。そんな東京予選で、僕ははじめて「優勝しないといけない」という自責の念に駆られ、DOTAMAさんに電話をかけた。
「どうしたら優勝できますか?」この一言だけでDOTAMAさんには全部伝わったと思う。こんな答えが返ってきた。
「『UMB』は、スキルとか試合の出来とかじゃないんだよね、いかに自分がこの物語の主人公だって思い込むかが全てだと思う。
その点、ハハノシキュウは自分をヒールだと思い込んじゃってるから絶対に優勝できない。逆に、自分が主人公だってお客さんに強く印象付ければ絶対に優勝できる!」
この「UMB東京予選」における主人公は誰なのか、エントリー表を見ながら考えた。メンツから考えるに、それはどう考えても黄猿君だった。
黄猿君は2008年の埼玉準予選から8年ものあいだ、周りのラッパーがいくら辞めていっても毎年出場し続けた。そんな彼に順番が回ってきたかのようなエントリー表だった。
黄猿
そんな彼から主人公の座を奪う手段を1週間考えた結果、こんな結論に達した。
「DOTAMAの後釜はハハノシキュウ以外に有り得ない」
『十三月』/DOTAMA×ハハノシキュウと連名でアルバムもリリースしている
結果を言うと、僕は準決勝で黄猿君に敗退した。
彼の「東京を背負わせろ」が、明らかに色濃くフロアーに残っていた。そして、黄猿君は決勝でカクニケンスケを下し、はじめて東京代表という冠を手に入れていた。
東京予選 黄猿の優勝は素直に嬉しかった。2008の埼玉準予選から八年!相当長いよ(笑)。2008のUMBから考えてバトルどころかラップやめた人も随分いる。俺もラッパーとしてはほぼ引退してるわけだしな〜黄猿はラップやめなくて良かったな!おめでとう!by MC正社員
— 戦極MCBATTLE 公式 (@sengokumc) 2016年10月23日
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