アトピー性皮膚炎は大きな悩みの種です。はた目に特徴的な肌質になってしまうこと、強いかゆみを伴うこと、かゆみからかかずにはいられなくて肌を傷めてしまうこと、かいてしまったことに罪悪感を覚えること…など、とても苦しいものです。そんなアトピー性皮膚炎にも、日常生活に取り入れることで改善を促せる方法がいくつかあります。その方法とは?そもそもアトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎を軽くする、または治す方法についてご紹介します。
なお、ここでは日常生活に取り入れるための方法をご紹介します。改善が見られない場合は、専門の病院にて医師の診察を受け指示を仰いでください。
アトピー性皮膚炎とその症状
アトピー性皮膚炎とはどういうものなのでしょう。
アトピー性皮膚炎は、日本皮膚科学会で
「増悪・寛解を繰り返す、かゆみのある湿疹を主病変とする慢性に経過する疾患であり、患者の多くはアトピー素因をもつ」
と定義されています。
つまり、アトピー性皮膚炎とは、
- 耐えがたい強いかゆみを伴う
- かゆみのために皮膚をかき壊してしまう
- 良くなったり、悪くなったりの状態を繰り返す
- アレルギーが原因である
といった特徴をもつ疾患です。
具体的な症状としては、皮膚に継続的に刺激を与えるために起こる、
- 赤み、腫れ
- 皮膚からの出血、かさぶた
- 皮膚が乾燥し、厚く硬くなる
- 色素沈着
などがあります。
かゆみのために皮膚を引っかき、古い傷が治りきる前に、新しい傷が重なった結果できる、肌の症状です。
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アトピー性皮膚炎の原因
こうしたアトピー性皮膚炎の原因とはなんでしょうか。
よくアレルギーが原因、と言われますが厳密には間違いです。アトピー性皮膚炎の原因の1つに、アレルギー反応が皮膚の中で起こったため、はあります。しかしあくまで原因の1つで、アレルギーではないアトピーも存在します。
アトピーは
- 先天的な要素(遺伝)
- 後天的な要素(環境、心理状態、不摂生)
の2つが合わさることで起こると考えられています。
生まれついての要素がなければ、いくらアトピーを引き起こしそうな環境にいても、アトピー性皮膚炎にはなりません。
反対に、先天的な要素を持っていても、環境がアトピーを起こすものでなければ、アトピー性皮膚炎になることはありません。
先天的な要素はどうすることもできません。そのため、後天的な原因は何かを見極めて、それを生活習慣から取り除きます。それが、アトピー性皮膚炎を克服する大きなカギです。
とはいえ、後天的な要素(環境等)はさまざまです。
- 気候
- ダニやほこりといったハウスダスト
- 食生活
- 疲労の蓄積
- 過度のストレスや、ストレスをため込みやすい性格
などが現在その原因として挙げられています。
夏は湿度が高く、冬は極度に乾燥する日本の気候は、弱った肌に負担となります。
ハウスダストのみがその原因とは考え難いですが、こまめに布団を天日干しする習慣は、体にいいです。
習慣的に摂取する食物によるアレルギーも考えられます。体に良かれと思って毎日摂取していた食品が原因となっている場合もあります。
また心因性のアトピーもとても多いです。心に負担がかかることで肌のバリア機能が低下し、アトピー性の症状がで出ることもあります。
このようにアトピー性皮膚炎の原因は多岐にわたっており、特定し改善するには、ご自身の身体の声を聞き続ける努力が必要です。
アトピー性皮膚炎を治すために気をつけたい基本
アトピー性皮膚炎を改善するために、今できることとはなんでしょうか。
清潔に保つ
体が温まるととたんにかゆみが増すアトピーですが、入浴はアトピー改善に有効な方法の1つです。
身体を清潔に保つことで、引っかいてしまった傷からブドウ球菌や連鎖球菌などの化膿菌が感染することを防ぎます。
また布団をこまめに干すなど、ハウスダストやダニを取り除き、身辺を清潔に保つことも大切です。
保湿で保護をする
アトピー性皮膚炎の症状は「重度の敏感肌や乾燥肌」の状態であると言えます。そのため、乾燥肌や敏感肌に対する対処法を応用します。
よく用いられる薬剤としては、
- ワセリン
- ヘパリン類似物質
- 尿素
の3つがあります。
ワセリンは皮膚に乗せることで、角層と呼ばれる肌の最上部の層を保護し、肌から水分が逃げるのを防ぎます。
へパリン類似物質ですが、へパリンとは血液が固まるのを防ぐ薬剤です。その類似物質ですので、血液の循環を良くするとともに、水分をたくさん保持する作用を持っています。最近では傷跡を治す効果にも注目されています。
尿素には、角層の角質を柔らかくし、肌の正常なターンオーバーを促す作用があります。
このようにひとくちに肌に働きかけるとはいえ、効用は異なります。ご自身の状態と目的に合った保湿、保護剤を選ぶことが大切です。
肌への負担を軽減する
肌への見えない刺激の最たるものとして、紫外線が挙げられます。肌細胞が傷つけられ、老化や乾燥を招きます。
内部からケアする
食べ物に気をつけることは、アトピーの改善の大きな要素です。
食べ物の栄養は主に腸で吸収されますが、「腸は第二の脳」と呼ばれるほど、自律した機関です。
腸の中の状態は体全体に影響を及ぼします。
ストレスをためすぎない環境作り
心の状態が原因で身体に不調をきたす、心身症は無視できません。それだけ心と体は密接につながっています。
アトピー性皮膚炎はかくことで悪化し、繰り返します。生真面目な方ですと、無意識に搔かないように、と夜手袋をして寝ます。
確かに、手袋なしに眠ると夜かいてしまい、悪化することもあるかもしれません。しかしそれ以上に、搔いてしまったことで自分を責めたり、かいてはいけないとプレッシャーを負うことのストレスは大きいです。
「かいちゃダメ」と気負いすぎず、「かゆいのだから、かかずにはいられないのは当たり前」と心を軽くもつことも、必要です。
アトピー性皮膚炎の病院治療
日常生活のあれこれを考慮してもなお改善が見られなければ、医療機関にかかりましょう。
アトピーの治療に用いられる代表的な薬、「ステロイド」には賛否両論あります。
肌の炎症を抑える目覚ましい効果がありますが、正しい使用法で使わないとその副作用が懸念されます。
そのため、アトピーへの理解が深く、患部をきちんと診察した上で正しい薬剤の使い方を指導してくれる医師、および病院を選ぶことが、アトピーを治療する上で何よりも大切です。
東京では「東京逓信病院」(東京都千代田区)がアトピー治療に定評があります。
診療は予約制となっています。予約した上で、一度かかってみてはいかがでしょうか。
まとめ
眠れないほどのかゆみ、独特の様相、いつ治るのかという不安。
アトピー性皮膚炎の悩みは尽きません。
しかし、適切な治療や対処により必ずや治る疾患です。ぜひこれらの対処法を試してみてください。
強く美しい肌を手に入れましょう!


