アトピー性皮膚炎といえば子どもの疾患というイメージが強かったのも、今は昔の話。現代ではアトピーは現代病と呼ばれ、子どもだけでなく大人になってからも悩まされている人が多いのが現状です。そんなアトピー性皮膚炎についてまとめました。そもそもアトピー性皮膚炎とは?改善するための対処法は?参考になれば幸いです。
[もくじ]
アトピー性皮膚炎ってどんな症状があるの?
「我慢できないくらいのかゆみがある」「特徴的な湿疹」「治ったと思っても再発を繰り返し、慢性化しやすい」これがアトピー性皮膚炎の主な症状です。
初期症状は肌のちょっとしたカサカサ、乾燥から始まることが多いです。乾燥が原因でかゆみを感じるようになり、掻く刺激によってますます乾燥がひどくなります。そのうちに掻き壊してしまい皮膚が赤みやほてりを持つようになります。
そうしているうちに皮膚がどんどん弱くなっていき、ちょっと引っ掻くだけでじゅくじゅくとした体液がにじみ出てくるように。皮膚がゴワゴワと厚くなることも特徴のひとつです。
アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下している状態なので、原因が外部からの刺激にあるのでは?と考えてしまいがち。ですが、根本的な原因は外的なものでなく、ストレスや生活環境による体調不良など体の中に原因があることが多いのです。
アトピーはどのような人が多くかかっているの?
アトピー性皮膚炎にかかる原因は一つに特定することが難しく、さまざまな原因が絡み合っていると言われています。しかし、アトピー性皮膚炎にかかりやすい人にはある特徴があることもわかっています。
家族がアトピー性皮膚炎の人
家族にアトピー体質の人がいると、そうでない人よりもアトピー性皮膚炎にかかる確率が高いことがわかっています。
両親のうち片方がアトピー体質である場合は約30%、どちらもアトピー体質である場合は約50%の確率で、子どもがアトピー性皮膚炎にかかるといわれているのです。
しかし両親ともアトピー性皮膚炎だからといって、必ずしも子どもにその体質が遺伝するとも限りません。子どもがアトピーを発症する危険性を避けるためには、なるべくアレルギーとなる原因物質に触れさせないようにすることが必要になります。
IgE抗体が生産されやすい体質の人
人の多くはアトピー素因と呼ばれる、アトピー性皮膚炎を発症する原因となる要素を持っていると言われています。
特に体内でIgE抗体が生産されやすい体質の人はアトピー性皮膚炎になりやすく、そういった人達は気管支喘息やアレルギー性鼻炎、結膜炎などを患っている割合が多いのです。
アトピー性皮膚炎の正体は「免疫の過剰反応」です。IgE抗体はアレルギー反応を起こす免疫物質で、体内にアレルゲンが侵入することによって生産されます。
アレルゲンから体を守ろうとする働きがあるのですが、この働きが過剰に反応することが原因でアレルギーを起こします。気管支喘息などのアレルギー疾患を持つ人は、同様にアレルギーが原因で起こる疾患であるアトピー性皮膚炎にもなりやすいといえるでしょう。
アトピー性皮膚炎を発症する原因ってこんなにある!
ダニ・カビ・ハウスダスト
ダニやカビ、ハウスダストなどのアレルゲンがアトピー性皮膚炎の原因となっているケースは多いです。こういったものは目に見えないものなので、なかなか対策しづらいのが難しいところですよね。
たとえば布団に潜むダニの場合、天日干ししたくらいでは完全に死滅させることはできません。ダニを死滅させるには50度~60度以上の高温が必要になります。
普通の環境の中で布団をそんな高温にさらすことはまずありませんから、きちんとした知識を持って対策しなければダニから逃れることはできないというわけです。
カビについても、最近ではピティロスポルム(マラセチア)というものに注目が集まっています。このカビは誰の皮膚にも存在するものですが、最近これに陽性反応を示す人が増えているというのです。
皮膚の乾燥
アトピー性皮膚炎の人は乾燥肌の場合が多いです。アトピー性皮膚炎の初期症状には「肌がカサカサする」というものがあり、これはいわゆる乾燥肌の肌状態と同じですね。
カサカサ肌がかゆみの原因となり、掻くことによってますますアトピー性皮膚炎を悪化させる悪循環が発生します。アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が弱まっている状態ですので、適切なスキンケアをして肌の乾燥をストップさせる必要があるでしょう。
遺伝
上でも述べたように、両親がアトピー性皮膚炎の場合は子どもに遺伝する確率が高くなります。
しかし、親がアトピーなら子どもも必ずアトピーになるとは限りません。子どものアトピー性皮膚炎の発症を抑えるためには、2~3歳までの食べ物には特に注意が必要です。
乳幼児期、消化器官の機能が未熟なうちは大人と比べてアレルゲン物質に対して反応しやすいからです。これは、成長して消化器官の発達とともに落ち着いてきます。
ストレス
アトピー性皮膚炎は皮膚の疾患ですので、外部からの刺激にばかり目が行きがち。ですが、根本的な原因は体の中にあると言われています。その大きな要因の一つがストレスです。
現代はストレス社会といわれ、まったくストレスを抱えずに生活している人はいないでしょう。そのような背景から「少しのストレスくらい……」と軽く考えてしまいがち。
しかし精神的な負荷が大きすぎると、身体的な異常が現れるというのは誰しもご存知のことと思います。ストレスが原因でアトピー性皮膚炎にかかっている人も、決して少なくないのですよ。たかがストレス、と甘く見ないでくださいね。
自身がアレルギー体質だという自覚がある人はもちろん、そうではない人でも突然アトピー性皮膚炎を発症する可能性がゼロではありません。普段からその原因となるものは取り除いておく必要があるでしょう。
かゆみのメカニズムは?ヒスタミンってなに?
アトピー性皮膚炎の症状として代表的なものに「かゆみ」がありますが、そもそもこのかゆみはどうして起こるのでしょうか。これは肌に異物が付着したと感じたときに、それを取り除こうとしている反応だと言われています。
つまり、体内の異物を外に放出しようとして起こるくしゃみや咳などと同じような反応ということですね。その反応が過剰に起こっているのがアトピー性皮膚炎のかゆみです。
アトピー性皮膚炎の治療の際に処方される薬に抗ヒスタミン薬というものがあります。これはかゆみなどを始めとするアレルギー反応を誘発する原因となるヒスタミンの働きを抑えるための薬です。
ヒスタミンは人の体の中に必ず存在し、重要な役割を果たす物質でもありますが、ヒスタミンが過剰に分泌されることによってかゆみなどのさまざまな異常をきたしてしまうのです。
つらいアトピーを改善するには…これを試してみて
アトピー性皮膚炎のつらい症状を抑えるために抗ヒスタミン薬などのかゆみ止めが処方されますが、効果がない場合もあります。かゆみの原因がヒスタミン以外にもあるということなのです。
アトピー性皮膚炎を改善するためには、薬に頼るばかりでなく普段の生活から見直してみることが必要です。
ステロイド治療
アトピー性皮膚炎の治療をする際に、こちらも処方されることの多いステロイド剤。肌の炎症を抑え、かゆみをしずめてくれる効果があります。しかし、少し調子が良くなってきたからという理由で勝手に薬の塗布をやめてしまう人が多いのが実情です。
ステロイド剤は怖い、肌に良くないというイメージからそのような行動に出る人がいるのかもしれませんが、正しく使えば決して怖い薬ではありません。
むしろ、自己判断で薬の使用をストップすることが原因でかえってアトピー性皮膚炎を悪化させてしまうなんてことにもなりかねません。医師に決められた用法用量をきちんと守って使いましょう。
スキンケアを見直す
乾燥肌をはじめ、肌がなんらかのダメージを受けているとアトピー性皮膚炎は悪化しやすくなります。カサカサやかゆみを増幅させる乾燥はご法度です。適度な保湿を心がけましょう。
しかし、保湿を重視するあまりに過剰なケアをすることで、かえって肌トラブルを起こしてしまうケースもあります。大切なのは、自身の肌に合ったスキンケアをすることですよ。
漢方治療
アトピー性皮膚炎の治療に漢方薬を使う人も多いです。漢方医学の考え方は「体全体をみる」というもの。病気の症状そのものに働きかけるだけでなく、病気にかかってしまった原因を根本的に突き止めて解消していきましょうという考え方です。
アトピー性皮膚炎を発症する根本的な原因は体の中にある場合も多く、漢方による体質改善しながらの治療を検討するのもひとつの手でしょう。
ストレスを減らす
ストレスとアレルギーには強い関係があるとお話をしました。多少のストレスは誰しもが抱えているものですが、それが大きくなるとさまざまな病気を引き起こす原因となる非常に怖いものです。
もしあなたが「ストレスが溜まっているなぁ」という自覚があるのなら、それは少し休んだ方が良いという体からのサインかもしれません。ストレスを減らすことで、アトピー性皮膚炎も改善して心身ともに調子が良くなるかもしれませんよ。