こんにちは、えむしです。トランプ氏が大統領選を制しましたね。
今後のトランプ氏をどう見ていけば良いのかを、ふわっとした知識と片寄った視点で書いていきますよ。
報道では様々な情報は出てきますが、それらは事実の断片でしかありません。
点と点をひとつにつなげ、線にした時こそ真の情報が得られるのだと、僕は思っています。
今回は「プロレス」って言葉を軸に、そういった既存の情報のデフラグ化をして行こうかと思います。
はじめに
トランプタワーは有名ですし、以前から彼の名前は知っていました。
ですが、そう言う「名前は知ってる」の域を飛び越えたのが約10年ほど前のWWE(アメリカンプロレス)での彼の出演でした。
日本人の方でもWWEが好きな方だと、彼を応援するかどうかは別として、選挙中の発言なんかは割と理解できたというか、普通に眺められたんじゃ無いでしょうか。
WWEには台本があり、数週間、あるいは数ヶ月掛けてのレスラー同士や運営会社であるWWEとの抗争やストーリーが展開されて行きます。その中では共闘から裏切り、共謀があったりと色々な要素をこれでもかと詰め込んで、そして最後には何かしら大きなオチを持ってきてまとめで終わります。
今回のエントリーではこう言った様々な仕掛けをして場を盛り上げるって事を「プロレス」と呼ぶ事にします。
特にWWEが好きな人ならレッスルマニアのこのエピソードは覚えているでしょう。
ヅラ疑惑のあったトランプ氏とWWEのCEO(ヴィンスマクマホン)の二人が髪の毛を賭けて戦うストーリー展開と試合です。
億万長者なのに、非常にノリのいいおっさんたち。最後は本当にバリカンで刈られちゃうんですよ・・・。
まあこういう体を張った事ができるので、人心を掴むのがうまいんですよね。
ところでWWEは台本があるよって認めていますが、時々台本を無視したりする人がいてガチな雰囲気が出たり、ロック様(現在は俳優として有名なドゥウェイン・ジョンソン)のインタビューみたいにアドリブが許されている人もいてそのギリギリなラインを見るのも面白いです。ヴィンスの一家も試合に参加したりするので何でもありです、本当に。
ちなみにWWEを放送しているアメリカメディアのFOXはゴリゴリのトランプ推しでした。
トランプ氏の選挙陣営刷新、背後に元FOXニュースCEO-関係者 - Bloomberg
いきなり脱線しましたが、ドナルド・トランプはこう言う「プロレス」をする人物だ、という事を前提に見ていくと、彼の言う事は結構分りやすいかもしれませんよ。そこが今回のエントリーのポイントです。
トランプ氏のやりたい事
「もう一度アメリカをすごい国にする」
Make America Great Again
スローガンだったこれが目的です。
ロナルドレーガンも選挙に使った言葉ですが、実にプロレスっぽい言葉だと思いませんか?
Make America Great Again - Wikipedia
既存の勢力から敬遠されてるって意味ではレーガンとトランプ氏は似ていますね。
彼がこう言う言葉を発すると、「エスタブリッシュメント(支配階級の人々)」との戦いが一種のショーにみたいに見えます。
普段投票に行かなかった人がトランプに投じる為に列を成したと言われていますが、こう言う見ていて面白い構図を作り出したところにも勝利を引き寄せる要因があったのではないでしょうか。
トランプ氏はビジネスマン
彼は政治の素人ですが、皆さんご存知の通り基本的にはビジネスマンです。
トランプ氏の意見って、大体が「損するからもうやらない。損するのは嫌」って感じですよね。
だから、彼がお得だって思えば「受け入れない」「廃止する」「撤退する」って言ってた事でもしれっと意見を翻して現状を続けると思うんですよ、WWEのストーリーみたいに。
誰も損なんてしたくありませんから。
トランプ氏の政策
じゃ、具体的に何をどうするの?
トランプ氏の公約はこの五つ
・米中貿易の改革
・退役軍人省の改革
・税制の改革
・武器の所有権利
・移民の改革
過激な発言が目立つトランプ、実際は何をしようとしているのか?より。
これを一つ一つ見ていくのは面倒なので触れたり触れなかったりしながら斜めに見て行きますよ。
トランプ氏は雇用を生み出したい
雇用を外国人、特に中国とかメキシコに奪われているから、それをアメリカに取り戻そうとしています。
上の公約にある「対中貿易」や「移民の改革」がそれに当たりますね。中国に対しては「カネと雇用を奪っている」なんて言っています。日本に対しても「クルマガー」って感じで吠えています。
移民対策でメキシコに壁を作るってのがクローズアップされてますけど、思うにきっとこれも「プロレス」です。
トランプは壁の事を話したーって言ってるけど、実際は話してないようですし壁の建設云々はアメリカ国内向けのパフォーマンスでしょう。
アメリカの大統領だからって、メキシコに壁を作れなんて命令は出来ません。そんなのは百も承知でしょう。
不法移民に職を奪われている現状を変えたいって事を分かりやすくしたのが「壁」発言の真意じゃないかなーって思います。
後は、今大きく出ておいて、後で交渉の材料にするための発言ですね。米軍撤退するぞも交渉材料のための発言で「プロレス」なんでしょう、きっと。
内需を拡大させてアメリカを豊かにしたい、だからTPPからは離脱
トランプ氏はアメリカの経済を守りたいので、オバマケア(国民皆保険っぽいもの)みたいな無駄なバラ撒きをやめてインフラ整備なんかの公共事業にもっと力を入れたいようです。10年で1兆ドルの予定ですよ、大体103兆円。
経済政策の基本方針は国内の産業の保護で、その国内産業を脅かす自由貿易に対しては反対の立場です。つまりTPPを破棄するってのはこの辺りから来る発想です。日本を脅威に感じているんですね(このままいけばTPPで日本が儲かるかもしれない?)。
多くの国では「国際条約」は「法律」より上の扱いで、なんなら「憲法」よりも上の扱いな所だって少なく無いんですが、アメリカは
とまあこんな感じです。
条約は基本守るけど、国益が損なわれるなら今批准しようとしているTPPを無視してくるのは十分あり得るでしょう。
それこそ、彼の「プロレス」でTPPは国際政治ショーになってしまうんじゃ無いかって思いますね。
他にも理由は沢山ありますど、彼の政策は世界経済的にはマイナスの要因(トランプリスク)になるんじゃないかって思われています。
減税し企業を誘致する・低所得者層も無税にする
後は法人税を35%から租税回避地並の15%に引き下げをしたり、低所得者の所得税を控除したり、高所得者からはきっちり税を取ろうと計画中です。それと最低賃金の引き上げも。
ただ財源が必要な事なので、これがどの程度実現できるかは・・・未知数です。
一度にやるのは無理でしょうから順番になりますね、一体どれから手をつけるのでしょう。
この辺はトランプ氏に投票したであろう層を直撃する政策なので、プロレスでしたー、では済まされないんじゃないかって思いますね。
日本はどうなるだろう?
正直全然わかりません。彼の政策の実行性なんて本当に予測がつきませんからね。
機関投資家は不安定な物には投資はしませんので、一旦アメリカからはお金を引き上げるでしょう。ポンドやユーロは色々あったし、そうなると安定性のある円に流れてくるのは自明の理ですね。
事実、9日は一時は101円台まで値段が上がってました、利益確定売りで103円まで下がりましたがそれでも8日と比べて1円以上の値上がりです。
これは短期的な流れで、このような荒い値動きと言うのはすぐに落ち着くと思います。トランプ氏がまだ大統領に就任したわけではありませんから、マーケットの不安感が現れただけです。おそらくbrexitの時と似た値動きをするのでしょう。
ただ、公共事業投資なんかの政策を見るとインフレして行きそうだなーってのは分かりますね。そうなるとドル安で、結果相対的に円高に落ち着くのかも。
下院選挙もあった
今回、日本ではあまり報道がされませんでしたが、下院選挙も行われていました。
こうしてみると、今回の選挙は民主党の完全敗北ですね。
今はあまり仲が良いとは言えませんが、今後共和党とトランプ氏が喧嘩をしなければ、 非常に強い政権になるかも知れません。ただ、トランプ氏が標榜しているのは大きな政府(行政の規模とか権限を拡大しようって流れ、社会主義的な政府とも言えるかも)なので、小さな政府を作りたい共和党とは相容れないかもしれませんね。
議会なんかの様子はまさしく「プロレス」になるでしょうね。僕らのような外野が楽しめそうな要素です。
ちなみに下院議員の任期は2年なので、大統領の就任中にも議会の選挙は行われます。よく聞く中間選挙って言うのがそれですよ。大統領の任期前半の政策がどうだったか、ここで判断されるわけです。
議会については、こちらで詳しく説明されています。
最後に
トランプ氏が大統領が就任するのは来年の1月20日。
それまでも、それからもどんな「プロレス」が展開されるんでしょうねー。
不安はありますが、彼のキャラクターを眺めるのはちょっと楽しみでもあります。
ヒラリー推しでしたけどね。
最初にも書きましたが、彼はビジネスマンです。
当然リアリストでもあるので、突飛な言動はあっても最後は現実的なところで落とし所を探るタイプの人間だと僕は思いますよ、今回は触れませんでしたが軍事面なんかもね。
皆が思ってるよりは、割とまともな政治をするんじゃないかなー?きっと。
今、彼はヒール(悪)ですが、ベビー(善)になるかも知れませんね。
ではでは、また次の記事で・・・。