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オバマ政権とリベラルに対する白人の復讐

2016年11月9日(水)

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勝利集会に向かうトランプ氏(写真=ロイター/アフロ)

 長編の政治リアリティーショーと考えれば、これ以上ない筋書きだったのではないだろうか。

 11月9日午前2時40分。米CNNに短いテロップが流れた。「クリントン候補、電話で負けを認める」。その瞬間、共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏の会見が予定されていたヒルトンホテルの周辺は異常などよめきにつつまれた。純粋にトランプの当選に歓喜した人間もいれば、トランプ大統領が米国と世界に与えるであろう混沌を前にしたおののきもあったに違いない。

 先の読めない展開と終盤のどんでん返しが優れたシナリオの条件だとすれば、今回の大統領選は100点満点がつけられる。

 まず、登場人物の設定が素晴らしい。主人公のトランプ氏は不動産王国を作りあげたビリオネア。メキシコ移民をレイプ魔とののしり、元ミス・ユニバースを公の場で“ミス子豚”と呼ぶなど、大統領候補としてはあまりに粗暴だが、エリートが支配する腐りきったワシントン政治とは無縁のアウトサイダーだ。一方、ライバルのヒラリー・クリントン候補は政策に対する知見も高く、政治家としての実行力も申し分ない。ビル・クリントン元大統領のファーストレディーとしてホワイトハウス入りした後、上院議員、国務長官として権力の階段を駆け上ったザ・エスタブリッシュメントである。

 何より展開がドラマティックだった。

 昨年6月に出馬表明した時点では「メキシコ国境に壁を築く」と荒唐無稽な政策を唱えるだけの泡沫候補に過ぎなかった。だが、歯に衣着せぬ言動やライバルの主流派候補への容赦ない攻撃で、経済的・社会的に劣後感を感じていた白人労働者層からカルト的な支持を獲得。ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事 など並みいる有力者を押さえて支持率トップに躍り出た。

 それでも2月に予備選が始まるまで、多くの専門家はトランプ氏がいずれ失速すると高をくくっていた。だが、予備選が始まると、彼の勢いが本物であると気づき始める。

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「オバマ政権とリベラルに対する白人の復讐」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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