米国社会の底流にマグマのようにくすぶっていた「既成政治」への怒りが、ドナルド・トランプ氏を大統領の座にまで押し上げた。「有権者の反乱」とも言える動きの主役となったのは、政治に置き去りにされ、中流層から落ちこぼれる不安を抱えた白人たちだった。
「今こそ一つに団結した国民になる時だ。分断で広がった傷を修復する時だ」
当選を確実にしたトランプ氏が9日午前3時前(日本時間同日午後5時前)、ニューヨークでの勝利演説で訴えると、白人が多く占めた会場から「USA」コールが沸き起こった。
「分断」を修復すると言うが、選挙戦でその分断をあおったのはトランプ氏本人だった。一部の政治家を「エスタブリッシュメント(既得権層)」と批判。移民や女性、イスラム教徒らマイノリティーへの侮蔑の言葉を吐き続けた。
差別的な暴言は多くの批判を浴び、共和党主流派も離反したが、一方で支持者には「わかりやすい言葉で、本音で語ってくれる」と映った。
鉄鋼業や製造業が廃れた「ラストベルト(さびついた地帯)」にあるオハイオ州トランブル郡で、支援活動を続けてきたデイナ・カズマークさん(38)は9日未明、「昨年6月に応援を始めてから、何度も『勝ち目はない』と笑われた。やっと私たちの声に耳を傾ける大統領が誕生する」と声を震わせた。
ペンシルベニア州レディングに住むリッチ・ハーゾグさん(68)はヒスパニック系移民への敵意を隠さない。街から工場が消えた代わりに移民が増え、人口の6割をヒスパニック系が占めるようになった。ナイフを使った事件が起き、治安が悪くなった。
ハーゾグさんは言う。「米国に…
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朝日新聞国際報道部