NHKの籾井勝人(もみい・かつと)会長は9日の定例記者会見で、前日に開かれた経営委員会に来秋の受信料値下げを提案したことについて、「NHKは収支均衡の組織。金がこれだけ余ったという予算は組めない」と説明した。
籾井会長は、東京・渋谷の放送センター建て替えの計画がまとまり、想定建設費1700億円の積み立ても今年度末に終わることを挙げ、「お金に余剰が出た時は返すとずっと言ってきた。(経営計画の中で)建て替えの計画ができたら資金計画を見直すことになっており、とっぴなことをやろうとしているわけではない」と強調。番組のインターネット上での同時配信の実施に向けた受信料制度の見直しの議論とは、切り離して進める意向を示した。
値下げの提案は来年1月に任期満了を迎える籾井会長の再任に向けた実績づくりとの見方については「任期と関連づけてものを言うことは私の頭には全くない」と反論した。
また、この時点で米大統領選の優勢がすでに伝えられていたドナルド・トランプ氏の歯に衣(きぬ)着せぬ発言ぶりが「会長と似ているのでは」と指摘されると、「ああいう乱暴な言葉遣いはもはやしない」と切り返した。【丸山進】