政府・経済界 トランプ氏の保護主義的な姿勢を懸念

政府・経済界 トランプ氏の保護主義的な姿勢を懸念
アメリカ大統領選挙で勝利したトランプ氏は、自由貿易に後ろ向きな姿勢を見せ、日本に対しても厳しい発言を繰り返していたことから、政府や経済界では、日本経済や日本の企業の海外戦略に大きな影響が出かねないと懸念しています。
アメリカの大統領選挙に勝利したトランプ氏の政策には、減税やインフラ投資の拡大を打ち出すなど経済成長を高める政策が盛り込まれ、日本企業にもよい影響がある可能性もあります。

しかし、選挙戦では保護主義的な発言が目立ち、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に批判的な立場を明らかにしていて、政府内でも、協定の発効を危ぶむ声が聞かれています。

さらに、日本企業の戦略に直接的な影響を及ぼしかねないのは、アメリカがカナダ、メキシコと締結しているNAFTA=北米自由貿易協定についても見直すと発言していることです。
自動車メーカーなど多くの日本企業が、NAFTAを活用してメキシコからアメリカへの輸出を図るため、積極的にメキシコに進出してきたため、NAFTA見直しの行方によっては、海外戦略の見直しを迫られる可能性があります。

また、トランプ氏は、日本の為替政策や日本からの自動車や建設機械の輸出を批判する発言を行っており、政府・産業界ともに警戒感を持っています。仮にトランプ氏が円高をもたらすような発言を行って相場が円高方向に動けば、輸出が減ったり、輸出の採算が悪化したりして、日本企業の業績にも大きな影響を与えるおそれが出てきます。

アメリカで事業を拡大しているサントリーホールディングスの新浪剛史社長はNHKの取材に対し、「トランプ氏は、ビジネスマンなので、きちんと現実を直視して政策を進めてくれると期待しているし、TPPをはじめとした貿易の枠組みも、ぜひ、ご理解いただいて、お互いメリットがあるということを重視してほしい」と述べました。

しかし、アメリカが保護主義的な姿勢を強めれば、世界の貿易が停滞して世界経済の成長を損ないかねないという見方もあり、政府、経済界ともに今後トランプ氏が発信する政策の内容に神経をとがらせることになりそうです。