ニューヨーク・タイムズ
2016年11月9日18時00分
オーストラリアで20年ほど前、誰かがペットの金魚を何匹か小川に捨てた。金魚は成長して川を下り、あちこちに卵を産みつけた。さほど時を置かずして、川は金魚でいっぱいになった。
マードック大学(本部は西オーストラリア州パース)の研究チームは、オーストラリア西南部のバス川に野生化した金魚が侵入した背景を、そう推測する。研究者たちは2003年以来、野生化した金魚を追跡し、捕まえて凍死させたり実験室で分析したりするなど、何とか制御しようとしてきた。だが、そうした取り組みにもかかわらず、バス川で繁殖している金魚は体長16インチ(約40センチ)、重さ4ポンド(約1.8キロ)を超し、2リットル入りのペットボトルほどのサイズにまで巨大化している。
野生化した金魚は世界でもっともやっかいな繁殖型水生生物の一つに数えられ、ここ数年間ではアメリカのネバダ州、コロラド州、カナダのアルバータ州などで激増ぶりが報告されている。しかし、マードック大学の研究チームの代表スティーブン・ビーティによると、バス川の金魚の成長率は、これまで知られている限り世界で最も高い。ビーティの研究チームが野生金魚の制御プロジェクトで成果をあげられれば、オーストラリア以外にも重要な情報を提供できるだろう。
「金魚は、抱きしめたくなるほ…
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朝日新聞国際報道部