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1999年7月に発売された「スレイヤーズ」のDVDボックスには特典として、海外で紹介されたスレイヤーズの映像が現地語のセリフとともに収録されたDVDがついていた。それによると、アメリカは元より、スペイン、イタリア、台湾、香港などでもスレイヤーズが知られていることが分かる。 知られていれば、当然、ファンもいる。ファンが居ればそれなりのアクションがあるのも当たり前で、インターネットで探してみれば、けっこうたくさんのスレイヤーズ関連サイトが見つかる。このレポートでは、そうしたサイトや、海外のスレイヤーズ・ファンとのメール交換を通して知った、「海外におけるスレイヤーズ」について独断と偏見に基づいて述べる。 ■アメリカ 1)TVシリーズ アメリカでスレイヤーズTVシリーズはビデオで紹介された。TVアニメ通称「無印」と「NEXT」「TRY」はソフトウェア・スカルプター(Software Sculptor)社(以下SS社/オフィシャルホームページはこちら)が、字幕版と吹き替え版を出しており、「無印」「NEXT」「TRY」の全てのエピソードがリリースされている。ちなみに、アメリカではビデオ1本の収録話数が日本版とは異なるため、全26話は8巻組になっている。アメリカ版のビデオ・パッケージを見てみたい人は、レゾ中心サイト「レゾ神殿」のオーナーでもあるクイーン・メグミさんが、日本のスレイヤーズ・ファン向けに各キャラの音声データとどもにビデオ・ジャケットを、ローマ字と日本語で紹介している「日本のファンへのページ」がお薦めである。(Thank you Queen Megumi for your making this informative page for us, Japanese fans of Slayers. 日本のファン向けに情報のページを作ってくれたクイーン・メグミさんに感謝!) このSS社の親会社であるセントラル・パーク・メディア(Central Park Media)社(以下CPM社/オフィシャルホームページはこちら)は、無印のDVDボックスを2000年9月19日に、NEXTのDVDボックスを11月7日に、TRYのDVDボックスを2001年4月10日発売したが、日本のような「缶」ではない(DVDの写真はこちら)。中身がDVD4枚というのも、コスト削減なのだろう。しかも、これらの中に英語吹替え版・日本語版・日本語版(英語字幕付き)が入っていると言うから驚きである。特典として4枚目のDVDにパソコンのDVDドライヴで読み出せる(DVD再生機では読めない)資料があり、設定図などが見られる。 ところで、このSS社版スレイヤーズの無印ではビデオ、DVDとも、最終話の最後約1分が欠けていた。これは最初に吹き替え版を作った際、ミスによって欠けたものであり、検閲などによるものではないそうだ。そのため、SS社はCPM社からリリースされたTRYのDVDボックスに、欠けた部分の字幕版を収録した。なお、吹き替え版は声優の都合がつかないため、製作されなかった。 声優の話が出たところで、アメリカでの声優事情に触れよう。アメリカでは「声優」という職業は確立していないそうだ。アメリカ人はアメリカ映画を好むため、英語以外の言語の映画で良い物はかならずアメリカ版が作られるお国柄ゆえか、「言葉だけ」の俳優は一段低く見られるらしい。日本のアニメの吹替え版に登場する声優は、TV俳優か舞台俳優が副業でやっているし、中には自分が声優をやっていることを隠すために、ステージ名とは違う名前で吹替えに参加している者もいるという。ちなみに、アメリカ版スレイヤーズでゼルガディスの声を担当したクリスピン・フリーマンは、2001年6月、約3週間シェークスピアの「真夏の夜の夢」の舞台でデミトリアス役を演じていることからも、現役の舞台俳優であることが分かる。
リナ=インバース……リサ・オーティス ゼルガディス……ダン・クロニン(無印途中まで)/クリスピン・フリーマン(無印途中から・NEXT・TRY) アメリア……ジョディ・ベイカー(無印11話〜14話)/ヴェロニカ・テイラー(無印15話〜26話・NEXT・TRY) ゼロス……デイビッド・ウー マルチナ……レイチェル・リリス FKNは日曜日から金曜日までは毎日午後の2時間、土曜日だけ午前中4時間放送をしている子供向けのチャンネルで、「天空のエスカフローネ」や「ドラゴンボールZ」などを放映してきた。アメリカのTV事情を知らない人には分かりにくいかもしれないが、アメリカでは子供向け番組に関する基準は厳しく、たいていの日本のロボット・アニメは「暴力的である」とみなされて放映には至らないし、極端に短いスカートを着たキャラばかり登場するアニメも不適切とされる。評判の日本アニメのほとんどを、アメリカのファンはビデオの形で手に入れる以外無いのだ。そのような中で、スレイヤーズが放映されるということは、厳しい基準をクリアしていることを意味しているが、それでもなお、アメリカのファンは、このニュースを歓迎できないでいる。 スレイヤーズに関する話題が飛び交う「スレイヤーズ・メーリングリスト(英語版)」やスレイヤーズに関しては随一の情報量を誇るサイト「スレイヤーズ・ユニバース」に寄せられたファンの声によると、FKN版のエスカフローネは、BGMが変えられ、血の流れるシーンはカットされるなどの改変が施されたそうだ。FKN版のエスカフローネは、BGMが変えられ、血の流れるシーンはカットされるなどの改変が施されたそうだ。同じような変更がスレイヤーズに加えられることを、ファンは危惧している。事実、5月に開催されたイベント、アニメ・セントラルでは英語版の声優リサ・オーティスがパネル・ディスカッションに登場し、竜破斬の呪文の「血(blood)」を「川(river)」に吹き替え直す作業中だ、と明かしている。 しかし、当初2月にも放映開始と言われていたFKNでのスレイヤーズ放送だが、7月下旬に「放映棚上げ」の非公式情報がインターネットのニュースグループに流れた。そのニュースグループは2000年11月にFKNでのスレイヤーズの放映情報が一番最初に流れたメディアで、そこで「スレイヤーズのTV放映はどうなっている?」というコメントにいろいろな憶測が連なっていたところ、7月18日にFKNの関係者を名乗る人物(スレイヤーズのFKNでの放映情報を流した人物でもある)が、「スレイヤーズは“棚上げ”された。従って、いつ、どのように放映されるのか、という発表はあり得ない。我々(フォックス・キッズのスタッフ)はこれまでに2話に手を入れたが、現在のところすぐにそれらを放映する計画はない」と発言した。この人物の発言は信頼されているらしく、2日後にはこのニュースがアニメ情報サイトに速報として紹介された。 2)OVAシリーズ・劇場公開映画 TVシリーズと異なり、OVAシリーズ「スレイヤーズすぺしゃる」と劇場公開映画「スレイヤーズ・パーフェクト」は、ADVフィルム社(以下ADV社/オフィシャルホームページはこちら)が配給している。日本では3本のビデオでリリースされた「すぺしゃる」だが、ADV社はなぜだか、「恐怖のリメラ計画」「ジェフリー君の騎士道」を1本にし、「鏡よ鏡」とアメリカ版のメイキングを一緒にした1本の2本だてでリリースしている。しかも、第1巻のタイトルを「Slayers : Dragon Slave」、第2巻のタイトルは「Slayers : Explosion Array」としているのだ。ちなみに「Explosion Array」とは「炸裂陣(ディルブランド)」の漢字を逐語訳した言葉。ADV社は著作権絡みなのか、それともSS社のTVシリーズと差別化しようとしたのか、ほとんどの呪文を漢字の逐語訳で表現している。「烈閃槍(エルメキア・ランス)」はSS社版では「Elmekia Lance」だが、ADV社版では「Flash Lance」であり、「魔族」もSS社版では「Demon」だったり「Monster」だったりと揺れ、ADV社版では「Monster」である。 2000年に入りADV社は、OVAシリーズ「スレイヤーズえくせれんと」と、ほかの劇場公開映画のリリース権を獲得した、と発表されているが具体的なスケジュールはまだ発表されていない。(2001年以降の動きについては「スレイヤーズ事情inUSA」に記載) *非公式ビデオ* 上に書いたように、2000年9月上旬現在、スレイヤーズの映像のうち、アメリカで公式に配給されているものは「無印」と「NEXT」の全話、「TRY」の約半分、「スレイヤーズすぺしゃる」の3話と劇場公開映画「スレイヤーズ・パーフェクト」のみである。 しかし、非公式には去年のうちに、「TRY」の全エピソードが既に入手可能になっていた。これは日本で放映されたものを録画した映像、もしくは公式にリリースされたビデオに、勝手に字幕をつけたり英語でアフレコして売る、といういわば海賊版で、現地では「fansub」と呼ばれている。「sub」とは「subtitled」(字幕付き)の省略で、対して吹き替え版は「dubed version」と呼ばれる。インターネット上にはこのような海賊版を供給するサイトが複数存在し、公式版よりも早い時期に、かなり安くビデオを売っている。 私が聞いた話では、CPM社が「TRY」の権利を獲得する、という情報が事前に流れた段階で、海賊版業者は「TRY」の販売を止めたそうだ。情報が届けば販売を止めるのが、アメリカにおける海賊版の仁義(?)らしい。商売の権利に厳しく、裁判が頻発しているアメリカのこと、アメリカ国内の業者が有する権利への侵害には気を使っているのだろうか?しかし、海賊版を買ったファンが改めてSS社のビデオを買うかどうか、ははなはだ疑問であり、その点でSS社は損害をこうむっている、と言えるだろう。 海賊版についてはビデオのほかに、ネットでアニメをまるごとダウンロード、という手もあるそうだ。いくらかかるのか、は知らないが、この情報を提供してくれた人は、英語字幕付きの「スレイヤーズぐれえと」「スレイヤーズごうじゃす」をネットで鑑賞した、と言っていた。 3)小説・漫画 アメリカでスレイヤーズの小説はいっさい翻訳されていない。漫画は日本でもあらいずみ版と義仲翔子版があるが、あらいずみ版は既に英訳され、義仲版も2001年10月に英訳版がリリースされる予定である。(2001年以降の動きについては「スレイヤーズ事情inUSA」に記載) このあらいずみ版コミックを出版しているのが、TVシリーズの配給権を持っているCPM社だというのが面白い。あらいずみ版のコミックをお持ちの方はご存知だろうが、それには全部で6話のエピソードが収録されている。CPM社はそれらのエピソードをバラバラにし、1冊1冊のペーパーバック(表紙の絵はこちら)にして売っている。1冊3ドル弱(約 300円)だが、6冊全部購入すれば日本版の倍近い値段になってしまう。なお、1999年秋、CPM社は6冊を合冊したものを「Slayers Book One: Medieval Mayhem(スレイヤーズ:中世大騒動)」として、約2ドル割安にして発売した。10月に発売される義仲版がどう扱われるか、分冊されるのかなど興味津々というところだ。(Merci beaucoup, Damien. 漫画の表紙のページへリンクを許可してくれたダミアンさんに感謝!Thank you very much, Damien, for your permitting me to have the direct link to your manga page.) 日本で漫画と言えば右閉じ(セリフを右上から左下に読む)だが、アメリカでは左閉じ(セリフを左上から右下に読む)である。では、英語版「スレイヤーズ」コミックはどうか。これが傑作なことに、日本の漫画を逆版(ページを左右ひっくり返す)にして、アメリカ流にしているのである。つまり、リナはショルダーガードを左右逆に身につけているし、アニメでは左腰に刺しているショート・ソードを右腰に刺している。 CMP社版「Slayers Book One: Medieval Mayhem」の画像はこちら。(Thank you Peggy for your telling me about the images of English Slayers manga. アメリカ版スレイヤーズ・コミックの画像を教えてくれたペギーさんに感謝!) 4)ゲーム、CD ゲームもCDも、日本版がそのまんま輸入されている。つまり、ゲームの画面にあらわれるセリフ、コマンドは当然のこと、CDのライナーノーツも歌詞も全部日本語のまま。それでも外国のファンは、涙ぐましいまでの努力をしてそれらを手に入れ、ゲームをプレイしたり、音楽を楽しんだりしている。個人的にゲームの英訳に挑戦している人もいるし、日本語の歌詞を聞き取ってローマ字で掲載しているホームページも見受けられる。 トレーディングカードも、細々とだが輸入されている。イーベイで出品されているものを見ると、ムービック版TRYのカードが多い。ほとんどが余りカードを売るアメリカ本土のファンの出品だが、時には新品の箱を売るカナダの業者もいるから驚いてしまう。 と、思っていたら、2001年5月になって、アメリカのトレーディングカード会社、コミックイメージズ(以下CI社/オフィシャルホームページはこちら)がスレイヤーズの無印のカードを発売した。全26話のうち、20話分から3つずつ、6話分から2つずつシーンをカード化し、全72枚のカードシリーズである。表はアニメ画像、裏にはリナの一人称でエピソードの解説が書かれている。なぜだか、CI社のHPにあるサンプル画像はNEXTのアイキャッチになっているが、無印以外のシーンのカードはない。これは、私自身がカードを箱単位で個人輸入し、コンプリートして確かめたので間違いない。(一部のカードの画像はこちら) 5)インターネットに見る北米スレイヤーズ事情 インターネットが日本よりも発達しているアメリカでは、好きなアニメのホームページを持つことは当たり前のようになっている。スレイヤーズもサイトの数の多さではベスト10にランク入りするのじゃないか、と思われるほどである。 *スレイヤーズ・リンク 海外のスレイヤーズのサイトを捜したければ、まず「アニメ・ウェッブ・ターンパイク(以下アニパイク)」のスレイヤーズ・リンクを見るのが手っ取り早い。アニパイクは様々なアニメのサイトのリンク集で、ホームページのオーナーたちが登録して初めて掲載される。並みのアニメだと、まずアニメのタイトルをアルファベット順の目次から捜さなければならないが、人気の高い十数本のアニメは専用のセクションを与えられており、スレイヤーズもその一つである。英語のほか、スペイン語、イタリア語、中国語、韓国語のサイトも見つかる。 *リング インターネットでは「リング」というホームページの集団を見かけることがある。これは、同じテーマを持ったサイト同士が、一定のプログラムをサイトに組み込むことで、手を繋いだ輪を形成するというものであり、サイトに表示されているリングのバナーをクリックすることで、リング内のサイトを渡り歩ける、というシステムである。サイト側はこのリングに参加することで、スレイヤーズに興味のある人に見てもらえる、という利点があり、訪問者側は自力で探すよりもずっと楽に好みのサイトにたどり着けるメリットがある。以下に挙げるものは、9月18日にYahoo! Webring で検索した結果から、主にスレイヤーズ中心のリングを抜粋したリストである。 (2004年9月1日、WebringはYahoo!から離脱しているため改めて検索し、その結果存在しないリングは消去し、一方、新たに結成されたリングを掲載した)
The Slayers Anime Web Ring Deathra's slayers ring The Slayers Gang Webring Slayers Romance Ring Slayers Yaoi Slayers Chibis Anonymous Lina Inverse's Webring Webring of Fireball for You The Sorceress and the Swordsman The Z & A Forever Webring Lina and Zelgadis Webring The Inverse Ring The Rezo Fan Shrine Sore Wa Himitsu: The Xelloss Fanclub The Xellos Lovers Ring -Ragna Blade- Lord Rezo's Legacy Nadumia's Slayers Webring Work4nutz Slayers Ring Exa Slayers World Ring Filia's Tea Lovers Only Ring -Giga Slave- -The Lina Inverse Universe- -Dragon Spooker- Zelgadis Ring of Power Dark Star-Crossed Lovers Xelloss Metallium Ring of Secrets Slayers Kawaii Ring of Insanity Slayers Anime Ring The Slayers Webring The Bad Boys Club 1@.Allans Best Slayers Sites on The Internet 電子メールを利用して、同好の士が思いを語り合う場がメーリング・リスト(以下ML)である。通常の電子メールは、いちいち宛先を入力しなければ複数の人間に送ることはできないが、MLは専用プログラムを利用して、誰かがMLにメールを送ると自動的に登録者全員にそのメールが配信される、というシステムである。リングではサイト同士はただ並んで、それぞれに独自のコンテンツを表示しているだけで、内容的な関連は薄い。これに対し、MLは発言の場であるため、それに反応する形で発言が続くことで、参加者の繋がりが非常に強くなる傾向がある一方で、時には論争が感情的になることもある。だが、質問などには誰かが答えてくれるので、情報を掴むのには有効な手段である。 アメリカではスレイヤーズ関係のMLとしてピックアップできたのは一つ。サイトなどで公開募集をせず、スレイヤーズに関する情報を集めたリンク集に紹介されているだけ。スレイヤーズのオフィシャルな情報が英語で手に入るサイトがないため、あらゆる情報が飛び交っているらしい。99年10月初めに、SCFがスレイヤーズを放映する、という情報をもたらしたのはこのMLだった。 The Slayers Mailing List *参加申し込みは「subslay@rochester.rr.com」に「SUBSCRIBE SLAYERS-LIST なお、アニパイクには「Lina Inverse Mailing List」というMLも紹介されているが、試しにメールを送ってみたところ「宛所に尋ね当たらず」で返って来てしまった。恐らく消滅していると思われる。 (Thank you Avatar, Feather Fall, Queen Megumi, and the people in the WWWboard of Slayers Universe or the Slayers mailing list. You helped me a lot to understand about the Slayers in USA. アヴァターさん、羽落ちさん、クイーン・メグミさん、そのほか「スレイヤーズ・ユニバース」の掲示板や英語のスレイヤーズ・メーリングリストの皆さんに感謝します。あなたたちのおかげで私はアメリカにおけるスレイヤーズ事情がよくわかりました。) ■韓国 韓国でも日本のアニメの人気は高い。本来、日本の歌や映画などは禁止されているはずなのに、スレイヤーズを初め、様々なアニメが放映されている。 1)TVシリーズ アメリカと違い、韓国ではスレイヤーズはTVアニメの形で紹介された。しかも、韓国語の吹替え版である。放映したのはSBSというチャンネルとトゥーニバース(Tooniverse、以下T局)の二つのチャンネルで1997年〜98年にかけて放映された。NEXT以降に人気が高まったそうで、TRYは3回以上リピートされたそうである。TVシリーズのビデオは、NEXTしか発売されていない。
リナ=インバース……チョイ・ドゥクフイ(SBS版)/チャン・ミスク(T社版) ガウリイ……ホン・スーンサブ(SBS版)/カン・スジン(T社版) ゼルガディス……キム・スーンジュン(SBS版/T社版) アメリア……ジー・ミアエ(SBS版)/リー・ミュンスン(T社版) ゼロス……グー・ジャヒュン(SBS版)/キム・ミンスク(T社版NEXT)、チョイ・ウォンヒョン(T社版TRY) ヴァルガーヴ……ホン・シホ(SBS版TRY) フィリア……ムーン・スンヒュイ(SBS版TRY) ガーヴ……ハン・サンヒュク(SBS版TRY) フィル王子……キン・ヒュンジク(SBS版TRY) これらは公式には韓国でリリースされていない。しかし、日本やアメリカからの輸入版で見ているファンもいる。 3)小説・漫画 スレイヤーズが初めて韓国に登場したのは、1996年に小説が翻訳された時だという。その後1999年までに13巻までが翻訳されたが、それ以降は翻訳されていない。同じ小説でも「スレイヤーズすぺしゃる」「スレイヤーズでりしゃす」は翻訳されていない。 漫画は、義仲祥子版「超爆魔道伝スレイヤーズ」が6巻まで翻訳されているが、あらいずみ版「スレイヤーズ」は正式には発売されていない。 4)インターネットに見る韓国スレイヤーズ事情 韓国にもスレイヤーズのファン・サイトがたくさんある。。ざっと数えても100はあろうか。ほとんどが韓国語で読めないが、中には英語や日本語のメニューを置いてあるところも見受けられる。前に述べた日本の「スレイヤーズ・ウェッブリング」には11月9日現在、二つの韓国のサイト「混沌の海(The Sea of Chaos, Slayers World)」と「スレイヤーズ闇市(Slayers Blackmarket)」が登録されている。 韓国人の友人からのメールによれば、韓国語で書かれたスレイヤーズのパロディ小説はインターネット上におよそ5000(推定)もあるという、また、同人誌ではないが自作のパロディ小説を発表する集まり(fanfiction club)があり、ほかのアニメ(エヴァンゲリオンなど)と比較してもその規模・質においては韓国随一を誇るらしい。 韓国では日本への関心が高く、日本語学習ブームも手伝って、日本のサイトをサーフィンし、時には掲示板に日本語で書き込みをするファンもいる。その頻度からすれば、韓国のファンは日本のファンよりも国際的だと考えられるかもしれない。やはり「本場物」に触れたい、という気持ちが強いのだろう。 (韓国におけるスレイヤーズ事情について教えてくれたユージンさんに感謝します。Thank you Eugene for your telling me about those situations in Korea. ) ■メキシコ、中南米 メキシコに住むスレイヤーズのファンから、2000年8月中旬にメキシコ及び中南米におけるスレイヤーズ事情を伝えるメールが届いた。以下にその要約を紹介する。 1)TVシリーズ 1999年にメキシコのTVアステカが無印を断続的に26話放映した。それはベネズェラの会社が製作したスペイン語版で、タイトルは「Los Justicieros」、無印のDVD缶で紹介されたスペイン語版とはタイトルが違うことから別物(海賊版)と思われる。メキシコではNEXTの4話まで放映されたところで放送が中断、現在まで再開されていない。どうやらTV局が正式な放映権を獲得しないまま、放映したため中断に追い込まれたらしい。一方、ベネズェラほかいくつかの中南米の国では、無印、NEXT、TRYの全エピソードが放映されたそうである。とはいえ、ビデオまでは販売されていないという。
リナ=インバース……ハイディ・バルボーサ ガウリイ……フアン・カルロス・ヴァルケス ゼルガディス……カルロス・カスティーリョ アメリア……カルメン・オラルテ ゼロス……ルイス・カレーノ マルチナ……クラウディア・ニエト OVAや劇場公開版のスペイン語版(中南米バージョン)はない。 3)小説・漫画 これらもまったく紹介されていない。 メキシコにもスレイヤーズのファンは大勢おり、彼らはいつの日か、TV局が正式に全3シリーズを放映するのを熱望しているそうである。 (Muchas gracias, Paty Mtz. Nava. メキシコと中南米のスレイヤーズ事情について教えてくれたパティさんに感謝します。Thank you very much Paty for your telling me about the Slayers in Mexico and the South America.) ■フランス フランスという国は、独自の文化にこだわる国民性が強く、そのため、長い間日本のアニメは閉め出されて来た。それが変化したのはTV局の大多数が公営化された1977年から1990年で、この間、「キャプテン・ハーロック」「スペース・コブラ」など日本のアニメや、「キャプテン・フューチャー」などアメリカのアニメが数多く放映されたという。しかし、日本のアニメを暴力的と考える団体などから批判を受け、現在は「ドラゴンボール」と「セイラームーン」だけが放映されている。 「ポケモン騒動」はフランスでも大々的に報道され、日本アニメ排除の動きは強まっている。このような状況下、「スレイヤーズ」のフランス語吹替え版が作られ、TVで放映されることはなかった。 しかしインターネットがフランスにも広まるにつれて、1990年までの間に日本のアニメを見た世代が、ネット上でアニメを擁護する活動を繰り広げており、かつて放映されたことのないアニメのビデオも出回るようになった。 1)TVシリーズ 日本アニメ華やかかりし時代に、TV局に日本から輸入したアニメを供給していたのがIDP社(オフィシャルホームページはこちら)である。この会社が、TV版スレイヤーズのビデオ(フランス語字幕版のみ)をリリースしており、無印・NEXTの全エピソードと、TRYの7話までが発売されている。これらは全26話が8巻(1巻・8巻のみ4話、残りは3話収録)で発売されていることから、アメリカのSS社版の字幕を差し替えているのかもしれない。この情報を提供してくれた、「スレイヤーズ・プレザンタシオン(Slayers Presentation)」のダミアンさんによれば、画質も悪いとか。もしかしたらSS社版で使い古したマスターを元にしているのか?正規版で画質が悪いなら悲しいとしかいいようがない。 2)OVAシリーズ・劇場公開映画 フランスで、外国(日本やアメリカ)のアニメビデオの老舗に、AKビデオという会社がある。ここが、「スレイヤーズ:パーフェクト」と「スレイヤーズすぺしゃる」を3巻のビデオに収めたボックスを売っているそうだ。これまたフランス語字幕版のみ。日本版を元にすれば4巻になるはずの組み合わせが3巻になっていることから、これもアメリカのADV社版の字幕を差し替えたものと思われる。 3)小説・漫画 日本の小説を翻訳しても市場が小さいため採算が取れないらしい。したがって、小説は翻訳されていないし、漫画にいたっては目の敵状態である。アニメ関連グッズを扱う店では日本語版の漫画などが並ぶこともあるそうだが、フランス語翻訳版はない。 (Merci beaucoup, Damien. フランスにおける日本アニメを取り巻く状況やスレイヤーズ事情を教えてくれたダミアンさんに感謝します。Thank you Damien for your telling me about the situations of Japanimation and the Slayers in France.) ■スペイン 昨年日本で発売されたスレイヤーズのDVDボックスの特典映像に、スペイン語版の映像があったことからも分かるように、スペインではスレイヤーズは正式な契約に基づいて紹介されていた。そのおまけDVDに表示されたタイトルを見ると、「Slayers」ではなく「Reena y Gaudy」(スペイン語の"y"は英語の"and")になっているが、どうやら「殺戮者たち(Slayers)」という言葉は嫌われたらしい。 1)TVシリーズ スペインでは1998年10月から翌1999年2月まで、無印・NEXT・TRYのスレイヤーズが立て続けに放映された。それも、最初は週末のみの放映だったのが、途中から月曜日から金曜日まで毎日1本ずつ、という放送だったらしい。その後、再放送もあったが、これは1ヶ月ほどで中断された。 意外なのが、これらの3シリーズのオープニングには、すべてNEXTのものを使っていたということである。しかし、スペインのファンはインターネットの情報やCDマガジンで紹介されたりしたもので、3種類のオープニングがあることを知っているそうだ。 スペインでも声優という職業は確立されておらず、さらにアメリカよりも人材不足が深刻らしい。聞いた話では、同じ人が同じアニメで複数のキャラ、それもかなり出番の多いキャラを掛け持ちしてるという。ちなみに、スペイン語版スレイヤーズでは、5人しか声優を使っていないそうだ!結果として、主要なキャラの声を同じ人が担当することになり、たとえばアメリア役はほかにマルチナ、フィリア、フィブリゾを演じているし、ゼルガディス役はガウリイ、フィル王子、魔竜王ガーヴ、ヴァルガーヴをこなしている。 2)OVAシリーズ・劇場公開映画 これはもっぱら海賊版に頼るしかないらしい。スペイン語吹替え版があればいいが、時には英語版、中には日本語版で我慢しているケースもある。いずれにせよ、OVA・劇場公開版を見られるだけ幸運、という状況だという。 3)小説・漫画 小説はやはり翻訳されていないが、漫画はアメリカとは逆で義仲翔子版のみが翻訳され、それもTVアニメとストーリーが重なる1巻から3巻までが出版されている。スペイン語も漫画は左閉じが原則なので、日本の漫画を逆版にして文字を換え、印刷している。 4)グッズ スペインではスレイヤーズのCDが何種類もリリースされている。また画集も出版されていると聞くし、下敷きやラミカードも手に入るという。インターネットを利用したスペイン語のメーリング・リストは中南米のファンも取り込んでいるが、スペインではやはりアニメ・ファン全体が少ないので、スレイヤーズのファンの数は多くはないらしい。 (Muchas gracias, Isabel. スペインのスレイヤーズ事情について教えてくれたイザベルさんに感謝します。Thank you very much Isabel for your telling me about the Slayers in Spain.) ■ドイツ 日本製のマンガやアニメの人気はドイツにも広がっている。英語を第二外国語として学習する制度が根付いているため、英語版を楽しむことができるのも要因だろうと思われる。 1)TVシリーズ ドイツではまだスレイヤーズのビデオは販売されておらず、英語版(SS社版・ADV社版)を入手して楽しんでいるファンが多い。だが、2001年にはドイツの会社がスレイヤーズのTVシリーズをビデオでリリースすることが決まっているそうだ。 2)小説・漫画 小説はドイツ語版は出ていないが、漫画はあらいずみ版も義仲版も翻訳されている。しかも、英語版のようにページを逆版にしたりとか、一話一話を一冊に分けるということもせず、まさに日本語版のスタイルのまま、セリフだけドイツ語になっているそうだ。上記のように、まだアニメのドイツ語版が出ていないため、ドイツのスレイヤーズ・ファンの多くは漫画のファンであり、アニメを見ていない人が多い。しかし、日本漫画やアニメのファンが集うとあるチャットでは、4割近くのメンバーがスレイヤーズのキャラをハンドルネームにしていることもある。それほどポピュラーな存在らしい。 (Danke, Selina!ドイツのスレイヤーズ事情を知らせてくれたセリーナさんに感謝します。Thank you Selina for your telling me about the Slayers in Germany.) ■中国(上海) 「スレイヤーズ」DVD缶の映像特典に収録されていた中国語版には、北京語の台湾バージョンと広東語の香港バージョンがあった。2001年夏、上海のサイトと相互リンクし、そこの管理人や共同製作者とのメールで、台湾バージョンが放映された上海のスレイヤーズ事情を窺うことができた。 1)TVシリーズ 上にも書いた通り、上海では台湾バージョンの無印・NEXT・TRYが正式に放映され、その後、ビデオ化もされた。ただし、安い海賊版も横行している様子。ちなみに、台湾バージョンと香港バージョンでは、言語が違うため、各キャラクターの表記が違うという。 2)OVAシリーズ・劇場公開映画 OVAと劇場公開映画に関しては、TV放映は無く、海賊版ビデオでしか見ることができないらしい。しかも、映画は「Return」「ぐれえと」「ごうじゃす」の3本だけが上海で入手可能だという。OVAは「すぺしゃる」も「えくせれんと」もある。 3)小説・漫画 小説の中国語訳は無く、それは日本が許可をしないから、だという。しかし、ファンが細々と断片的な訳をネットに公開したりしているそうだ。漫画は義仲翔子版が6巻までリリースされており、既に台湾や香港で第7巻が出回っていることから、遠からず上海でも売り出されるだろう、とのこと。 (特別感謝!anditle!上海のスレイヤーズ事情を知らせてくれたアンディトルさんに感謝します。Thank you anditle for your giving me information on Slayers in Shanghai.) ■ポーランド 2001年9月、ポーランドにある五つのTV局のうち、RTL7という局が無印の放映を始めたそうだ。1日に2話ずつのペースで、このままNEXTとTRYも放映される見込みらしい。これを機に盛り上がりたい、というファンが私にメールを送ってくれた。 1)TVシリーズ 9月19日でポーランドのRTL7は無印26話の放映を終了し、20日からNEXTの放送が始まるという。ところで、この番組はもちろんポーランド語に吹替えられているのだが、驚いたことに、オリジナルの日本語の音声も聞き取れるそうだ!まるでバイリンガル放送の主音声と副音声を同時に流しているような状態を想像するが、そういう形で放送されているらしい。 スレイヤーズのような長編アニメを吹替える場合、例えば呪文の名前や詠唱部分の翻訳の統一が計られることが望ましいのだが、なかなかうまく行かないことはSS社が北米で出している英語版スレイヤーズの中で、「魔族」が時には"Monster"となり、時には"Demon"になるなどことからも判る。しかし、ポーランド語版における呪文の名前の不統一はまさに混乱状態と言えるだろう。例えば、重破斬(ギガ・スレイブ)はリナが初めて使ったシーンでは「Giga Smok」となっていた(smokは「竜」)が、コピー・レゾとの戦いの時には「Giga Zaglada」だった(Zagladaは「壊滅・破滅」)。竜破斬(ドラグ・スレイブ)は、一応統一されているらしいが、それは「ドラグ・スレイブ」ではなく「ドラゴン・ボール」という意味のポーランド語だという。いくらRTL7がアニメ「Dragon Ball」を放映中だからといって、これはいただけない。呪文の詠唱も、統一されず、どこかしら違っているらしい。 2)OVAシリーズ・劇場公開映画 OVA「スレイヤーズすぺしゃる」シリーズと、映画に関しては非公式ビデオのみが入手できるらしい。英語字幕版のほかポーランド語字幕版があるという。 3)小説・漫画 原作小説も漫画も、ポーランド語版はなく、あらいずみ版の漫画を英語版で読むか、義仲翔子版の漫画を日本語のまま入手するしかない。日本の漫画を並べる店は少なく、タッチの差で買い逃すことも多いと聞く。この義仲翔子版の漫画に関しては、かつてポーランドの出版会社が「ドラゴンボールとスレイヤーズ、どっちのポーランド語版が欲しい?」と投票を募り、ドラゴンボールが勝ってポーランド語版が出版されることになった、という経緯があるそうだ。もしかしたらスレイヤーズのポーランド語版が将来的には実現するのかもしれない。 4)グッズ 私にメールをくれたアギットさんの住む町には、日本のアニメグッズや漫画を売る店があるそうで、なんと、スレイヤーズふぁいとのカードが買えるという(値段は聞かなかったが)。その他、運がよければ日本語の漫画や画集などを手に入れられるそうだ。 (, Agit!ポーランドのスレイヤーズ事情を知らせてくれたアギットさんに心から感謝します。Thank you Agit for your telling me how Slayers is introduced in Poland.) ********** 以上、偏った観点ではあるが、海外におけるスレイヤーズの受け取られ方について紹介した。スレイヤーズに限らず、日本で制作されるアニメは「ジャパニメーション」と呼ばれるほど認知され、評価もされている。インターネットはそうした世界に繋がる扉だ。一度機会があったら、その扉を開いてみてはいかがだろう。(2001年10月8日改訂) |
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