千葉市中央区の「千葉ポートパーク」を所管する県千葉港湾事務所が、スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」でポケモンを捕まえるアイテムなどを入手できる「ポケストップ」をパーク内から削除するようゲームの運営会社に申し入れ、4日に削除された。同パークは珍しいポケモンも手に入る「聖地」として利用者に知られたが、ごみの散乱や路上駐車も問題となっていた。【信田真由美】
日曜日だった先月30日午後11時半ごろ。タワー近くの広場はスマホ画面を見つめる人でごった返していた。持参した椅子に座り込み熱中する人の姿も。しかし1週間後の今月6日夜。広場に人影はほとんどなかった。
ゲームの配信開始は7月22日。港湾事務所などによると、約28ヘクタールのパーク内にポケストップは13あり、うち四つが広場に集中。「レアなポケモンが捕まえられる」と訪れる人が急増し、夏休みや土日曜などは1000人を超えることもあったという。海に臨んだ緑豊かな公園は様相が一変した。
対応に追われたのが、港湾事務所から同パークの管理を委託されている千葉ポートパーク管理事務所だ。ごみのポイ捨ての急増で清掃の時間や回数を拡大。トイレの利用者増加で水道光熱費は1.5倍になった。県や市などには「公園が占拠されている」「朝から晩まで(パーク内の)駐車場に入れない」といった苦情も相次いだ。
港湾事務所は8月、ポケモンGOの運営会社・米ナイアンティック社にポケストップ削除を申請。4日に同社から削除したとの連絡があった。パーク内のポケストップは広場の1カ所を含む三つに。管理事務所の担当者は「(民間企業の)商売に使われたようなもの」と振り返った。
平穏を取り戻した同パーク。広場近くのイタリア料理店では入り口周辺に人が集まり客が入れなかったり、花壇を踏み荒らされたりすることもあった。従業員の中野伸一さん(53)は「人がいなくなったのは寂しいけど、本来の姿かな」。犬の散歩に訪れていた千葉県東金市の40代の女性会社員は「散歩しやすくなった」と笑顔を見せた。パークには市外からもポケモンGOをやろうと大人や子供が訪れていた。同県船橋市の男性会社員(47)は「また来るかどうか分からない」と話した。