りたくんを救う会

今日は仕事を休むほど体調が優れませんが、書かざるを得ないので残る体力を振り絞り書いてみました。

 

このような記事を書くことは残念でなりませんが、先日厚労省にて記者会見をされた りたくんを救う会 について私なりの所感をつづります。

救う会のあるべき姿より外れている

子供を持つ私としても、ご両親の気持ちは痛いほど分ります。しかし、皆様からの善意の気持ちである「お金」を募るのであればそれ相当の覚悟と責任が伴います。まず救う会のホームページ上にある私の疑問を記してみたいと思います。


ホームページから見る疑問

所在不明

救う会の所在が何処にも記されておりません。また、渡航先国や病院も明らかにされていません。

これでは実在している救う会なのかが分りません。極端な言い方をすれば「救う会」を名乗る詐欺と捕らえる方もいらっしゃることでしょう。

代表や運営体制について

代表者が親族であります。子供を救う会は色々とありますが、親族が代表になることはまずありません。

また、代表だけでなく以下のような役割が発生しますが、明確になっておりません。

  • 事務局長
  • 事務局次長
  • 募金箱管理
  • 会計
  • 運営委員
  • 広報
  • ボランティア管理

今の情報だけでは代表が全てを牛耳っている(代表のさじ加減一つで募金を使える)ように思わざるを得ません。

会計プロセスや余剰金の扱いについて

渡航移植を行う家族への批判が発生する大きな部分ですが。全く記載されていません。簡単に思いつくだけでも下記のようなものがあります。

  • 会計は誰がどのように処理し、どこで会計報告がされるのか?
  • 余ったお金の管理や使途は?

 つまり救う会の規約自体が全く存在しないのです。このような基本的なことが出来ていない状況で記者会見および募金活動を開始することは反対です。


記者会見から見る疑問

記者会見の内容も拝見しました。そこでも多くの疑問を感じざるを得ない内容でした。その内容を下記へつづります。

補助人工心臓については 補助人工心臓とは を参照ください。

小児用補助人工心臓では退院できない

現在は補助人工心臓を装着し、週に一回通院されているとの話がありましたが、辻褄が合わないと感じます。

小児用補助人工心臓は昨年夏頃に保健認可されたEXCORがあります。しかし、大人用の体外式補助人工心臓と同様に退院することはできません。本当に退院して通院されているのであれば、あの大きな機械を素人がどうやって移動して通院するのでしょうか?電源はどう確保するの?

容態管理も含めて「通院」という内容については疑問しか浮かびません。

植込み式補助人工心臓なら退院できる?

確かに私が装着しているように植込み式補助人工心臓なら退院して通院も可能でしょう。しかし、ここでも大きな疑問があります。
小児では植え込むほどの体表面積がありません。また、無理だという身体へどこの病院が植込み手術をするでしょうか?

嘘がある

両者のいずれにしても、記者会見の内容と齟齬があります。なぜそのようなことを口にしたのかは分りません。もしかしたら記者会見で緊張して口にしてしまったのでしょうか?それとも募金を達成するための印象付けとして口にしたのでしょうか?

この当たりは代表ご本人でないと分らないことであるため、私が断言することはできません。

また、上記以外にも沢山言いたいことはありますが、現段階ではココまでに留めておきます。


私からお願したいこと

おそらく救う会の関係者も当ホームページを閲覧されているかと思います。まずは最低限、上記の内容を代表よりメディアを利用して説明することを願います。
それは貴方達だけの問題では無いからです。

過去の実績を無にしてしまう

日本では長らく移植医療がタブー視されてきました。約20年前に関係者の地道な努力により臓器移植法が施行され、徐々にではありますが国内で臓器移植を受けられる環境が整いつつあります。
しかし、十分に整ったわけではありません。それは過去記事 こども達へ移植医療を にも一端を記載しています。そのような事情もあるので「りたくん」も渡航移植を検討されているのでしょう。

 

しかし、現在も多くの組織、医療関係者、ドナーご家族、移植を受けられた方、国内待機の方、個人などが国内での移植医療普及へ努力を続けていることを忘れてはなりません。今回の件はそういった長きに渡り努力されてきた方達の行いが無になってしまうのではないかと懸念してなりません。

今、臓器移植を必要とされている方達の道を塞いでしまう

現在活動中の方達は上記で書いた疑問を明確にされており、誠実に一生懸命努力をしています。ただでさえ海外渡航移植に対しての世間からの風当たりが強いです状況です。世間の偏見が膨らむことで現在頑張られている方達への足かせになってしまわないか心配でなりません。

 

私は補助人工心臓を装着しており、国内で移植待機をしております。移植を受けられるまであと何年かかるか分りませんし、すでに脳内出血などの合併症も生じています。移植待機期間が延びるほどに、生きてゆくのは難しくなるでしょう。

補助人工心臓の秘密 を参照ください。

 

iPS細胞などを利用した心筋シートの開発・研究は始ったばかりであり、実用化にはまだまだ年月がかかると思います。数年程度の話ではないため、私の心臓移植の代わりにはなり得ないでしょう。

今回の一件で臓器提供理解者が0に近づけば国内移植待機者の道も塞がれかねません。


好奇な目はいいが、嫌悪感を持たれたくはない

私は補助人工心臓のコントローラーへVADステッカーを貼り付けております。これは気をつけて欲しいということをアピールするとともに、移植を待つ人がいるという事実とその背景を伝えるために貼り付けています。

 

当然、好奇な視線を受けますが、多くの人にとって未知な医療機器かと思いますので仕方ないと思います。実際、私もその点については特に問題ではありません。しかし、今回の一件のような出来事が発生しまうと「補助人工心臓」そのものに対しての偏見も加速しかねないと思われます。大変悲しいですが、そのような事態になったら私もVADステッカーを外すことになるかもしれません。

補助人工心臓は募金の道具ではない

補助人工心臓についても色々と種類があります。体外式補助人工心臓については心臓移植を前提として利用されるものでもありません。治療の一環として利用されるべきものであり、募金のための道具ではありません。
代表の発言の意図がわかりませんが、第一印象としてそのように思わざるを得ません。

以上です。

書きたいことは山ほどありますが、情報が分らない以上は書けません。

本投稿に対して批判をしても構いません。その内容には出来る限り真摯に向き合うべきかと思います。
また、共感いただける方についてはご自信の思い・考えを付与して本投稿をシェアいただけると幸いです。
今回も多くの方の意見を知りたいです。

にほんブログ村 病気ブログへ にほんブログ村 病気ブログ 心筋症へ


コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    森のクマ (怒り) (水曜日, 09 11月 2016 23:41)

    数時間前りんくんを救う会が偽物だと発表がありました。
     このブログの管理人プチさんが仰るとおりでしたね。
     私も補助人工心臓を装着しているので、共感出来る疑問が多々有ります。
     中でも6歳の小児が補助人工心臓を付けて通院している。って?小児用の補助人工心臓(体外式含む)は退院出来ないだろ!
     ちょっと知識がある者なら、誰でも判るウソつきやがって!
     管理人の言う通り補助人工心臓を私利私欲の為に使いやがって!
     しかも当事者のりん君本人は移植処か拡張型心筋症でもなく元気って?
     しかしながら私が一番心配なのは、今現在本当に募金が必要な子供達が、心臓移植の募金?また詐欺か何かだろう!と思われ今まで以上に募金が集まらなくなってしまう事が心配でたまりません。
     今回の件は、心臓移植待機者、補助人工心臓装着者、拡張型心筋症患者、もっと言えばその他の臓器移植待機者達を愚弄し、その人達の未来である移植手術の門を狭めてしまったと私は感じました。
     また各マスメディアにも責任の有る報道をして欲しいものです。
     管理人プチさんに いいねっ! です。

  • #2

    森のクマ (謝罪) (木曜日, 10 11月 2016 00:19)

    先程りたくんをりんくんと表記していました。申し訳ありませんでした。