トランプフィーバーで、ネットを見ている人は少ないはず。こんな夜は、徒然(つれづれ)なるままに好き勝手に書いてみよう。
今日の文体:ラジオのおっさんDJ風
温泉に行く理由
今夜のお客様はこの方。
私は温泉旅行の楽しみ方が分からないのです。別に他人の趣味を否定するつもりはないのですが、わざわざ遠くに行って、温かいお湯に浸かって、何が楽しいのかなと。温泉はあくまで(登山やドライブなどの)従物であって、主物ではないのです。付属物としての温泉の良さは分かるのですが、温泉自体を目的とした旅の楽しみ方が分からないのです。(要旨)
なるほど、な~るほどね~。
日本人が好きな旅行のパターンは、基本、景色、食べ物、温泉の三位一体だよね。沼津に昭和中期まで利用されていた「沼津御用邸」なんてのがあるけど、ここも海沿いで、裏手に沼津アルプス。海鮮がおいしい沼津港が近く、付近に温泉が湧いていると、わかりやすいったらありゃしない。
写真:旧沼津御用邸
日本国民の象徴たる、天皇陛下がこの調子だから、日本人はみな基本、景色(山海川)、食べ物、温泉の三位一体を好むって言えるよね?
あまり証明になってない?じゃあ、観光不人気県に挙がりやすい茨城を考えてみようか?景色の面では、川はともかくだけど、海岸線が変化に乏しい。山は低い。食べ物は、どうしても納豆がイメージされてしまうし、有名温泉も少ない。日本三大名瀑があるんだけど、滝は意外にターゲット選ぶのよね~。
やっぱり、景色(山海川)、食べ物、温泉の三位一体が重要。東京にも温泉はたくさんあるけど、自然がなく、土地の食べ物もないから、そこまで人気にならない。
ということは、本題の「温泉自体を目的とした旅の楽しみ方」が、意外に少数派だと言えるんじゃないかな?
確かによく「今度、温泉でも行こっか?」となるけど、「じゃあ、行き先は僕に任せて!当日までお楽しみだよ」とか言って、東京人を東京の温泉に連れて行ったら、叱られるよね?明らかに、山か海と食べ物が込み込み。
じゃあ、なんで日本人はみな基本、景色(山海川)、食べ物、温泉の三位一体なのかって話だよね。外国では、恐らく温泉は必須要素に入らない。
出典:「錦絵にみる日本の温泉」
日本人の温泉好きは昔からで、江戸時代には、全国温泉ランキングである「諸国温泉功能鑑」なんてのが、作られてたんだよね。そこで殿堂入り扱いされているのが、熱海温泉(正確には審判役)。熱海温泉街そのものは、平安末期に成立したとされるんだから、たいした歴史だよね。で、熱海温泉の人気に大きく関わったのが徳川家康。以降徳川家は、江戸まで熱海の湯を運んでたんだよね。
徳川家康らは、なんで遠隔地を訪ねたり、人手をかけて運んでくるほど、温泉を好んだんだろう?医学が発達していない時代だよね?やはり、日本では、病気の治癒のイメージが、温泉に付随しているんじゃないかな。
温泉成分が科学的に顕著な効能を示すことはないけど、平安期から、温泉はずっと効能が高いと信じられ、頼りにされてきたことから、日本では温泉が特別の地位を築いたんじゃなかろうか?
「今度、温泉でも行こっか?」はたしかに、自然や食べ物が込みの話だけど、突き詰めれば、健康を求める深層心理があるのではないかと思うよ。
なぜ日本人は、温泉を主に近い目的に置くことがあるのか?その答えは、科学的な根拠ではなく、平安期から蓄積されてきた、治癒のイメージにあると言えるのではないかな。