インド式英語を知っていますか。
少し前の日本では、ネイティブと同じ英語教育を受ければ、ネイティブを同じレベルの英語力が身につくという考えに基づいて、ネイティブ志向の英語学習が流行し、ネイティブの教師に習う、ネイティブの会話を聞く、ネイティブの教材を使用するなど無数に英語教材が登場しました。
しかし、ネイティブ志向の英語学習は時間がかかる上に、思ったように英語力が伸びない人が多く、だんだん下火になっていきました。
一方で登場したのがインド式英語です。
この記事では、インド式英語の概要と特徴について紹介します。
インド式英語とは
インド式英語とは、世界各地で活躍しているインド出身のグローバルな人材が使用している、合理的かつシンプルな英語のことです。
日本のインド式英語は、実際にインドの教育現場で実践されている英語教育に、日本人が学習しやすいようにアレンジを加えています。
なぜ、日本でインド式英語が注目されるのか
主な理由は、2つです。
- 英語が母国語ではない国の英語学習法である
- 合理的かつシンプル
英語が母国子ではない国の英語学習法である
母国語とは、人が幼少時から自然に習得する言語のことです。
以前、日本では、英語が母国語の人と同じように、英語の会話を聞き、英語の単語を覚えていけば、母国語レベルの英語が修得できると考えられており、様々な英語学習法が流行しました。
しかし、こうした学習法で英語を習得するのはとても時間がかかりますし、母国語の人と同じレベルで英語を習得できた人はごくわずかです。
また、実際に英語を話す人と会話する時に、思うように話せないと感じる人も少なくありませんでした。
一方で、インド人は、日本と同じように英語が母国語ではないにも関わらず、多くの人が英語を駆使して世界中で活躍しています。
こうしたことから、英語が母国語の人の英語学習法ではなく、英語が母国語でないインドの英語学習法が注目されるようになってきたのです。
合理的かつシンプル
インド式英語の特徴は、合理的かつシンプルであることです。
新たに単語、構文、熟語などを延々と覚えたり、英語式に頭の中を切り替えたりする必要がなく、日本の義務教育で学習するレベルの英語を活用して英語力を上達させることができます。
このシンプルさが英語を手軽に学習したいと考える人の注目を集めているのです。
インド式英語の特徴
インド式英語の主な特徴は、次のとおりです。
- 英語はあくまで「手段」だと考える
- 発音を気にしない
- 必要な単語しか覚えない
- 前置詞で迷わない
英語はあくまでも「手段」だと考える
日本では、小学校から英語が必修科目に指定されていますが、英語を使うのは主にテスト(学校のテスト、TOEIC、TOEFL、英検など)場面で、学習の成果を試すという意味合いが強くなりがちです。
インド式英語では、英語はあくまでコミュニケーションの手段であることを強調しています。
つまり、インド式英語で重要なのは「英語を上手に話せること」ではなく、「英語を活用して必要なことを相手に伝えることができるか」です。
発音も単語も適切な方が伝わりやすいのは確かですが、そればかり気にして必要なことが伝わらないのでは意味がなく、あくまで英語をコミュニケーションの手段として割り切り、積極的に使っていくことを勧めています。
発音を気にしない
日本の英語教育では、LとRの発音の違いを何度も聞き分ける練習をしたり、正しいアクセントの位置を覚えたりというように、何かと発音を気にします。
そして、発音が正しくないと相手に伝わらないと思い込み、ネイティブと同じ発音を習得しようと努力しがちです。
しかし、実際は、ネイティブの人でも生まれ育った国や地域によって発音もアクセントもまちまちですし、そもそも、英語を話す人の大多数がネイティブではありません。
ネイティブと同じ発音を習得すれば、多少は英語が通じやすくなるかもしれませんが、費用対効果が良いとは言えません。
インド式英語では、「コミュニケーションの手段としての英語に、発音はさほど重要ではない」と考えているため、ネイティブと同じ発音にはこだわりません。
そのため、ネイティブの先生を求めたり、ネイティブが使用する教材にこだわったりすることもなく、現地の人が、現地の人向けに作成した教材で英語を教えています。
現地の人が教える方が、現地の人が英語を使う際に抱える課題を理解し、それを克服できるような教え方ができるとも考えられています。
必要な単語しか覚えない
インド式英語では、必要のない単語は極力覚えず、最低限、3つの単語を覚えるだけで相手とコミュニケーションできると教えています。
- Sound:聞こえる、~と思う(~と感じる)
- Find:見つける、~だと分かる
- Give:与える、~してあげる
もう少し正確に言うと、sound、find、giveを使用する文章の基本形を覚えることで会話が成立するということです。
- A sound B(AはBのようだ)
- 人+findAB(人は、AがBだと分かる)
- 誰/何+giveAB(誰/何は、AにBしてあげる、AにBをあげる)
この3つの文章の基本形を覚えておき、必要に応じてそれぞれの文章に対応する単語を覚えていけば、簡単に言いたいことが相手に伝わります。
日本では、SV、SVC、SVO、SVOOなど難しい文型を一つひとつ時間をかけて覚えますが、インド式では単語とセットで覚えるので、構文をいちいち思い浮かべなくても、相手に言いたいことが伝わります。
前置詞で迷わない
英語を学習する上で、多くの日本人が難しさを感じるのが前置詞の使い方です。
日本語なら一語で表現できることでも、英語ではいくつも前置詞が使い分ける必要があることも多く、混乱してしまいがちです。
インド式英語では、すべての前置詞やその活用例を繰り返し覚えることはせず、汎用性のある前置詞2つを積極的に活用します。
- at
- with
インド式英語でよく使う単語
インド式英語でよく使う単語について、文章の基本形ごとに紹介します。
A sound Bで使う単語
- be:AはBである
- appear:AはBに思える
- look:AはBに思える
- seem:AはBに思える
- smell:AはBの匂いがする
- taste:AはBの味がする
- feel:AはBと感じる
- remain:AはBの(状態の)ままである
- stay:
- become
人+findABで使う単語
- believe:AはBと信じる
- consider:AはBと考える
- feel:AはBと感じる
- set:AをBにする
- make:AをBにする
- turn:AをBに変える
- keep:AをBに保つ
- leave:AをBに放っておく
- call:AをBと呼ぶ
- name:AをBと名づける
- like:AがBを好む
誰/何+giveABで使う単語
- bring:AにBを持ってくる
- hand:AにBを手渡す
- lend:AにBをかす
- offer:AにBを申し出る
- pass:AにBを渡す
- pay:AにBを払う
- ask:AにBを尋ねる
- buy:AにBを買う
- write:AにBを書く
- tell:AにBを言う
まとめ
インド式英語について紹介しました。
インド式と言うと、「怪しい」、「うさんくさい」という声が少なくありません。
しかし、子供の英語教育に役立つ要素がたくさんあるので、子供に実践的な英語力を身につけてもらいたいと考えているパパママは一度チェックしてみても良いでしょう。
最近、インド式に注目しており、他にもいくつか記事を書いています。
興味のある方は見てみてください。
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