トランプ次期大統領が就任100日でやること
- 2016年11月9日
ドナルド・トランプ次期大統領は就任した後の100日間で、何をやると公約していただろうか。
米国史に例を見ない大統領候補のトランプ氏の様々な問題発言や、移民に関する激しい主張は、共和党内でも大勢に嫌われ、国民を分裂させた。
しかし、トランプ氏の「アメリカを第一に考える」という約束は、国の体制に見放されたと感じる多くの米国人の心に響いた。
では、トランプ氏の政権ではどんなことが起きるのだろうか。
トランプ氏が先月ペンシルベニア州ゲティスバーグで行った演説の中に、就任100日の約束のいくつかが含まれている。
演説をはじめ、トランプ氏がこれまでに言及した政策の優先課題からその答えを探ってみたい。
主な発言
トランプ氏は今年9月にこう述べた。「規制は、仕事を消滅させる巨大な産業になった。規制産業は私が就任してすぐ必ず終わらせるビジネスのひとつだ」。
ゲティスバーグでの演説ではこう語った。「米国民には、この国の破たんした政治が作りだす雑音や騒音から離れて、高みに立ち、米国の本質の中心にずっとあった偉大な信頼と楽観を、自分のものとして受け入れてもらいたい。大きな夢を持ってほしい」。
最初の100日間
・犯罪者で非合法の移民200万人以上の国外退去の手続き開始
・犯罪者の帰還を拒否する国に対しては、査証なし渡航を廃止
・オバマ大統領による大統領令をすべて撤廃
・連邦議会の議員任期を制限
・国連の気候変動に関する計画への資金拠出を停止
・浮いた資金で国内インフラの修理を賄う
・中国を為替操作国と認定
トランプ氏は米国の南側国境、つまりメキシコとの国境に壁を建設し、費用はメキシコに負担させると約束し、賛否両論が巻き起こった。選挙運動の終盤でも支持者らの前でこの公約を繰り返しているが、実際いつどのように実現するのかは明確ではない。
ゲティスバーグでの演説の中にはなかったが、もうひとつの優先課題は、カナダやメキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉するというものだ。
トランプ氏は、貿易協定が米国内の雇用が海外に流出する原因になっている、と主張している。
トランプ氏はまた、強い指導者だと賛辞を送ったロシアのウラジーミル・プーチン大統領と緊密な関係を築くと約束している。
さらには、イランとの核合意を破棄するとしている。ただし、12年の歳月をかけ、世界の主要国6カ国が関わってまとめられた合意を、どのくらい早期に破棄できるのかは明確でない。
成功の目算
トランプ次期大統領を迎える議会は、上下院とも共和党が多数派だ(オバマ大統領の任期中にこのぜいたくは2年しか続かなかった)。加えて、席となっている最高裁判事を指名できる。
オバマ氏の大統領令を破棄する権限は、大統領にある。
非合法移民500万人に対する国外退去処分から救済するオバマ氏の大統領令には、テキサスの裁判所が待ったをかけ、最高裁でも決着がついていない。オバマ氏の大統領令の中でも賛否両論が最も激しくものだけに、トランプ政権がこれを維持する可能性は低い。
同様に、銃の販売がオンライン上や展示販売会で規制されていない現状を変え、販売を全て免許制にし、購入者の身元確認をするというオバマ氏の政策も撤廃されそうだ。
しかし、多くの共和党員はトランプ氏への支持を拒否してきた。そのため共和党が過去10年で最も強力な立場にいるのにも関わらず、反乱状態にある党のリーダーにトランプ氏はなる。
加えて、民主党の抵抗にも直面する。
近年で最も人気の低い大統領としてホワイトハウスに入る。女性や中南米系(ヒスパニック)系などについて議論を呼ぶ発言をしたためだ。
合意できるところはある?
まれな合意点があるとすれば、インフラ整備だろう。
実際、クリントン、トランプ両氏がそろって、劣化が進む道路や橋、空港の整備に多額の資金を投じると約束していた。しかし、共和党は政府支出をカットして資金を捻出(ねんしゅつ)したい考えで、計画の規模に差が生じるかもしれない。
(英語記事 US election results: What will President Trump do first?)