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原発避難の生徒がいじめで不登校 「菌」「賠償金もらってるだろう」 横浜市
横浜市教育委員会は9日、東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した市立中1年の男子生徒が不登校になっており、いじめ防止対策推進法に基づく調査の結果、市教委の第三者委員会がいじめを認定していたことを明らかにした。報告書では、「積極的に教育的支援をしなかったのは、教育の放棄に等しい」などと学校や市教委の対応を厳しく批判している。
報告書によると、生徒は小学2年だった平成23年8月、横浜市立小学校に転校。直後から「菌」を名前につけられるなどのいじめを受けた。小5のときには、同級生に「(東電から原発事故の)賠償金をもらっているだろう」と言われ、遊ぶ金として5万~10万円を計10回ほど払わされたと証言したとしている。生徒はカウンセリングを受けているという。
第三者委は、学校の対応について、一昨年に生徒側から相談を受けていたにも関わらず、適切に対応しなかったことを「教育の放棄に等しい」と批判した。
市教委に対しても、重大事態と捉えず、調査の開始が遅れ、生徒側への適切な支援が遅れたとした。
生徒側が昨年12月、調査を求める申し入れ書を市に提出。推進法に基づき、市教委の諮問で第三者委が調査していた。
林文子横浜市長は同日の定例記者会見で、「非常に深く受け止める。申し訳ない」などと述べた。また、岡田優子横浜市教育長は「報告書で指摘されている学校、教育委員会の課題や再発防止策にしっかり対応したい」とした。