以下のブログ記事が話題です。
hodogayamockcenter.hatenablog.com
hodogayamockcenter.hatenablog.com
自分にとっての『予備知識』が、他者にとっても『予備知識』でない事例として、興味深く読ませていただきました。以下は、個人的に感じた点です。
『モックアップ』は一般的な用語なのか?
私は、携帯電話販売の仕事や、WEBデザインの仕事とも関わったことがありますので、『モックアップ』や『モック』という言葉は知っています。(どちらの業界も、いわゆる『見本』という意味で、馴染みのあるキーワードでしょうか。)
ただし、一般的な用語かと言われると、個人的には疑問です。
そして、『モック』という予備知識・概念がない人にとっては、家電量販店などに置いてある見本としての実寸大模型である『モック』を手に取ってみても、それが模型・ダミー・偽物であるという認識すら持っていないでしょう。(現に、私の母などは、「モック」という単語を知りませんし、店頭にある「実機」と「モック」の区別がついていません。全部、本物の携帯電話と認識。)
まぁ、記事中のAmazonの例は、気の毒に思います。Amazonでは、ミニチュアの家電を、本物の家電と思って買った人の星1つレビューを読んだ事もありますし…。
ヤフオク!に関して言えば、少し改善点があるかもしれません。以下は、適当にヤフオクで検索した結果なのですが、『モック』という予備知識・概念がないという想定で見てください。
赤線部分は、筆者側の強調です。
例のブログ記事より、いくつか文章を抜粋します。
まずそもそも申し上げたい事としては、当方が出品しているのはヤフーオークションのモックアップのコーナーなのだ、という点であります。
本物の携帯電話のコーナーと混ぜて販売しているなら間違われるのも理解できるのですが、なぜモックアップのコーナーでここまで注意喚起しても間違われるのか、という不満が、少なからずあります。
この辺りが、思考の罠でしょうかね…。
上記の画像を見ての通り、『モック』という前提知識を持っていない人間にとって、「家電、AV、カメラ」の「携帯電話・スマートフォン」カテゴリーに出品されているものは、すべて本物の携帯電話と思ってしまう確率は高くないでしょうか?
「モック?展示用?サンプル?ああ、店頭の展示品で中古みたいなものか!だから価格が安いのか!」と解釈してしまう方もいそうな気がしています。
同じようにモックが多い業界で、デジカメの場合のヤフオクを見てみましょう。
もちろん「デジタルカメラ」カテゴリー内での出品も多くありますが、個人的には「プラモデル」への出品がわかりやすいと思いました。
いきなり全部のモックアップの出品を、他のカテゴリーに変更を!…とまでは申しませんが、少しだけ出品カテゴリーを変えてみるなど、試してみる価値はあるかもしれません。
また、ブックマークコメントにも多くあるように、画像にも注意喚起の文言をいれると、なお効果的でしょう。(私としては、『模型』などの言葉の前に『本物そっくり!』などの、相手のイメージに訴求するキーワードを盛りますかね。)
『オモチャのケータイ』は『通信できない』免罪符になるのか?
実は、「オモチャのケータイ」というキーワードも危ない気がしています。
ミニチュア好きな方は、玩具メーカーの『メガハウス』を知っている方も多いでしょう。以下は、その玩具メーカーの『メガハウス』の商品。
オモチャと思って、あなどってはいけません。Android4.2搭載で、NTTドコモの3G網を利用して通信ができるスマートフォンなのですから。ちなみに、料金プランは以下の通り。
この「フェアリシア」という製品、もともとは、ジーニーモバイル(ジェネシスホールディングス)が製造している「geanee CP-D403」というSIMフリースマートフォンがベースです。
ちなみに、電話機能はありませんが、Bluetoothでペアリングして、本物のスマートフォンとLINEのやりとりが可能な玩具も、タカラトミーから販売されています。
そこで私は、その都度「オ・モ・チ・ャって書いてあるのが読めませんか?」と、塩対応的にお答えしているのですが、結構食い下がられます。どうにかして使えないか?とか、ドコモショップに持っていけばどうにかなるでしょ?とか、私に食い下がられてもどうにもなる筈がないのですけど、そういうやり取りを週に数回やっているのです。
おもちゃのケータイ(スマホ)でも、SIMが内蔵できて、通信もできる端末が存在していますので、「オモチャのケータイ = 通信できない」というのも思い込みの一種、思考の罠かな…と。
私は携帯電話が大好きで、日本の携帯電話をひとつの文化と考え、少しは文化の発展に貢献したいと考えてこの会社を運営しています。
通信可能な携帯電話の玩具も、文化の1つでしょうか。そう考えると「オモチャのケータイ」という文言で、「通信できないこと」への注意喚起できると思わない方がよいかもしれません。
例のブログ記事を読んで、最初に考えたのは、上記のようなことで以上です。
以下は蛇足。
ミニチュアの場合
ミニチュアブログなので、ミニチュアの話題もさせて頂きましょうか。普段から『偽物』を作っている身としては、『本物』との距離感が難しい問題でもあります。
なぜならば、『模型』や『ミニチュア』にとっては、「本物そっくり」というのが、1つの軸になる大切な基準です。『食品サンプル』を例にとっても、ただ単に、楕円のプラスチックに色を塗って「ハンバーグですよ~!」と言われても、あまり評価はされません。
携帯電話のモックアップの場合、発泡スチロールに、携帯本体の写真を貼りつけたようなチープな品質では、モックアップとして期待される成果が望めないでしょう。
私もヤフオクにミニチュアを出品していますが、以下のような画像は避けています。たとえば、ミニチュアの靴。
「見た瞬間に、偽物とわかるだろう!」という方も多いでしょうが、解像度の高くないディスプレイで見た上で、価格を見ると、『本物』の靴と間違う可能性も否定できません。(ミニチュアといえども、本物の靴が買えるような価格・もしくは本物の靴以上の価格になる場合もあるので…。)
ですから、必ず硬貨と一緒に撮影することを心掛け、『ミニチュア』であることを強調しています。
ちなみに、ミニチュアを、より小さく精巧に見せる方法として、大きめの硬貨と比較するという方法もあるのですが、500円玉は使いません。
「サイズ比較用で、画像の硬貨は付属しません」と注意書きしていても、読まない方もいらっしゃるので、「出品画像の500円玉が送られてこないぞ!」というクレームを避けるためです。(10円玉までが限界でしょうかね。50円以上だと、私の場合、精神的にも金銭的にもダメージが大きい…。)
携帯電話のモックアップも、安価な何かと比較して撮影したりすると、「これは模型なんだな。」と理解されやすいかもしれません。(その物が何かと言われると、わからないのですが、方法の1つとして…。)
ざっくりと言えば『偽物感の演出』が、足りていないのが現状かな…と思います。