原子力規制委 玄海原発3・4号機の審査書案まとめる
佐賀県にある玄海原子力発電所3号機と4号機について、原子力規制委員会は、再稼働の前提となる新しい規制基準の審査に事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめました。全国の原発で5か所目ですが、今後、検査や地元の同意などが必要で、九州電力の目指す再稼働は早くて来年の夏以降になると見られます。
9日の原子力規制委員会では、九州電力が玄海原発3号機と4号機で進めている安全対策が新しい規制基準に適合しているとして再稼働の前提となる審査に事実上合格したことを示す審査書の案が示されました。
この中では、想定される最大規模の地震の揺れを引き上げたことや、緊急時の対応拠点を耐震構造に変更することなど、審査をへて見直した重大事故の対策が妥当とされています。
また、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを混ぜたMOX燃料が一部使われる3号機を含め、重大事故が起きた場合でもメルトダウンや格納容器が壊れるのを防ぐ対策が有効だとしていて、審査書の案は全会一致で取りまとめられました。
審査書の案が取りまとめられたのは、去年再稼働した鹿児島県の川内原発などに続いて全国で5か所目で、規制委員会は、10日から30日間、一般からの意見募集を行ったうえで審査書を正式に決定します。
ただ、今後、詳しい設備の設計の認可や検査、それに地元の同意が必要なため、九州電力の目指す玄海原発の再稼働は早くて来年の夏以降になると見られます。
この中では、想定される最大規模の地震の揺れを引き上げたことや、緊急時の対応拠点を耐震構造に変更することなど、審査をへて見直した重大事故の対策が妥当とされています。
また、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを混ぜたMOX燃料が一部使われる3号機を含め、重大事故が起きた場合でもメルトダウンや格納容器が壊れるのを防ぐ対策が有効だとしていて、審査書の案は全会一致で取りまとめられました。
審査書の案が取りまとめられたのは、去年再稼働した鹿児島県の川内原発などに続いて全国で5か所目で、規制委員会は、10日から30日間、一般からの意見募集を行ったうえで審査書を正式に決定します。
ただ、今後、詳しい設備の設計の認可や検査、それに地元の同意が必要なため、九州電力の目指す玄海原発の再稼働は早くて来年の夏以降になると見られます。
再稼働の審査は地震や火山対策などが焦点
玄海原発3号機と4号機の再稼働の前提となる審査では、想定される最大規模の地震の大きさや火山対策、それに緊急時の対策拠点の建設方法などが焦点となりました。
【基準地震動】
玄海原発で想定される最大規模の地震の揺れについて、九州電力は当初、原発の南東側におよそ10キロから20キロ離れた2つの活断層を震源とする地震による540ガルを想定していました。しかし、審査で存在がわかっていない活断層による地震が起きた場合の揺れを検討するよう見直しを求められ、2004年の北海道留萌支庁南部地震の記録をもとに620ガルに引き上げ、了承されました。九州電力は、この想定の引き上げに伴う配管などの補強工事を年内に終えるとしています。
【基準津波】
想定される最大規模の津波の高さについては、原発の北西にある沖合の活断層が連動して動いた場合を想定し、当初の3メートルからおよそ4メートルに引き上げました。これに伴って、低い場所にある海水をくみ上げるポンプを守る防護壁を従来より1メートル高い海抜14メートルとする計画で、地震や竜巻に対する耐久性を高めたものを年内に新設するとしています。
【火山対策】
火山対策の審査で、九州電力は、周辺の5つの火山で原発の運用期間中に巨大噴火が起こる可能性があるか評価しました。
このうち、玄海原発に最も近い阿蘇カルデラについて、過去の巨大噴火が起きた最も短い間隔が2万年なのに対し、すでに最新の巨大噴火から9万年たっていることから、巨大噴火を起こす火山ではなくなっている可能性があることや、鉱物の評価などから地下の浅い部分に大規模なマグマがたまっていないと見られることを説明しました。
九州南部の姶良カルデラなどは、およそ9万年の間隔で巨大噴火を起こしていることから「周期性がある」としたうえで、最新の噴火から3万年ほどしか経過していないなどとして、これらの火山について「運用期間中の巨大噴火の可能性は十分に低いと考えられる」と説明し、規制委員会は妥当だとしています。
また、これらの火山について、すでに再稼働した鹿児島県にある川内原発と同様に巨大噴火の兆候がないか周辺の地殻変動のデータを分析するなどして監視するとしています。
【重大事故対策】
重大事故の対策をめぐっては、緊急時の対応拠点「緊急時対策所」について、免震構造から耐震構造への設計変更の妥当性が議論されました。
九州電力は当初、耐震構造に変更する理由を「免震構造より2年ほど早く完成できるため」などとしてきましたが、ことし9月の審査会合では、「玄海原発の耐震基準に合った免震装置を数年以内に設計できる見通しがないため」と説明を改めて陳謝し、最終的に設計方針の変更が認められました。
このほか、原発の新たな規制基準で義務づけられた重大事故の対策として、九州電力は、原子炉や格納容器を冷却するためのポンプや、福島第一原発で起きたような水素爆発を防ぐ装置を新たに設置するなど、強化しています。
【基準地震動】
玄海原発で想定される最大規模の地震の揺れについて、九州電力は当初、原発の南東側におよそ10キロから20キロ離れた2つの活断層を震源とする地震による540ガルを想定していました。しかし、審査で存在がわかっていない活断層による地震が起きた場合の揺れを検討するよう見直しを求められ、2004年の北海道留萌支庁南部地震の記録をもとに620ガルに引き上げ、了承されました。九州電力は、この想定の引き上げに伴う配管などの補強工事を年内に終えるとしています。
【基準津波】
想定される最大規模の津波の高さについては、原発の北西にある沖合の活断層が連動して動いた場合を想定し、当初の3メートルからおよそ4メートルに引き上げました。これに伴って、低い場所にある海水をくみ上げるポンプを守る防護壁を従来より1メートル高い海抜14メートルとする計画で、地震や竜巻に対する耐久性を高めたものを年内に新設するとしています。
【火山対策】
火山対策の審査で、九州電力は、周辺の5つの火山で原発の運用期間中に巨大噴火が起こる可能性があるか評価しました。
このうち、玄海原発に最も近い阿蘇カルデラについて、過去の巨大噴火が起きた最も短い間隔が2万年なのに対し、すでに最新の巨大噴火から9万年たっていることから、巨大噴火を起こす火山ではなくなっている可能性があることや、鉱物の評価などから地下の浅い部分に大規模なマグマがたまっていないと見られることを説明しました。
九州南部の姶良カルデラなどは、およそ9万年の間隔で巨大噴火を起こしていることから「周期性がある」としたうえで、最新の噴火から3万年ほどしか経過していないなどとして、これらの火山について「運用期間中の巨大噴火の可能性は十分に低いと考えられる」と説明し、規制委員会は妥当だとしています。
また、これらの火山について、すでに再稼働した鹿児島県にある川内原発と同様に巨大噴火の兆候がないか周辺の地殻変動のデータを分析するなどして監視するとしています。
【重大事故対策】
重大事故の対策をめぐっては、緊急時の対応拠点「緊急時対策所」について、免震構造から耐震構造への設計変更の妥当性が議論されました。
九州電力は当初、耐震構造に変更する理由を「免震構造より2年ほど早く完成できるため」などとしてきましたが、ことし9月の審査会合では、「玄海原発の耐震基準に合った免震装置を数年以内に設計できる見通しがないため」と説明を改めて陳謝し、最終的に設計方針の変更が認められました。
このほか、原発の新たな規制基準で義務づけられた重大事故の対策として、九州電力は、原子炉や格納容器を冷却するためのポンプや、福島第一原発で起きたような水素爆発を防ぐ装置を新たに設置するなど、強化しています。
全国の原発の状況
福島第一原発の事故を踏まえて作られた新しい規制基準の下では、これまでに鹿児島県にある川内原発など4原発8基が再稼働の前提となる審査に合格し、このうち川内原発2号機と愛媛県にある伊方原発3号機の2基が運転中です。
廃炉が決まった原発を除くと全国には16原発42基があり、建設中の青森県の大間原発を含め、これまでに26基で再稼働の前提となる審査が申請されました。
審査はPWR=加圧水型と呼ばれるタイプの原発が先行し、申請のあった8原発16基のうち、鹿児島県にある川内原発1号機と2号機、福井県にある高浜原発の1号機から4号機と美浜原発3号機、それに愛媛県にある伊方原発3号機の4原発8基が審査に合格しています。
9日、審査書の案が取りまとめられた玄海原発3号機と4号機は、10日から30日間、一般からの意見募集を行ったうえで正式に審査合格となる見通しです。
合格した4原発8基のうち、3原発5基がこれまでに再稼働し、現在運転しているのは川内原発2号機と伊方原発3号機の2基です。
新しい規制基準の下で初めて、去年、再稼働した川内原発1号機は、先月6日から定期検査に入っています。
高浜原発3号機と4号機は、ことし1月以降、順次、再稼働しましたが、4号機は再稼働の3日後にトラブルで原子炉が自動停止し、さらに大津地方裁判所の運転停止を命じる仮処分の決定を受け、3号機とともに、決定が覆らないかぎり運転できない状態です。
原則40年に制限された運転期間の延長を申請した高浜原発1号機と2号機と、美浜原発3号機も、すでに新基準の審査に合格していて、高浜原発の2基は運転延長の認可が得られているほか、美浜原発3号機も今月末までに認可が得られる見通しです。
ただ、実際の再稼働には安全対策の追加工事などを終える必要があり、関西電力は3年以上かかるとしています。
このほかのPWRでは、福井県にある大飯原発3号機と4号機と北海道にある泊原発3号機は、川内原発などと同じ3年前に審査の申請をしましたが、いずれも合格の具体的な時期は見通せない状況です。
福井県にある敦賀原発2号機は、焦点となっている真下を走る断層の活動性から議論を始めていて審査は序盤です。
一方、事故を起こした福島第一原発と同じBWR=沸騰水型と呼ばれるタイプの原発は8原発10基で審査が申請されています。
このうち、東京電力柏崎刈羽原発の審査が終盤に入り、このタイプの原発の中で最も進んでいますが、緊急時の対応拠点の設置場所の方針変更に伴い審査に遅れが出ていて、合格の時期は来年度以降になる見通しです。
廃炉が決まった原発を除くと全国には16原発42基があり、建設中の青森県の大間原発を含め、これまでに26基で再稼働の前提となる審査が申請されました。
審査はPWR=加圧水型と呼ばれるタイプの原発が先行し、申請のあった8原発16基のうち、鹿児島県にある川内原発1号機と2号機、福井県にある高浜原発の1号機から4号機と美浜原発3号機、それに愛媛県にある伊方原発3号機の4原発8基が審査に合格しています。
9日、審査書の案が取りまとめられた玄海原発3号機と4号機は、10日から30日間、一般からの意見募集を行ったうえで正式に審査合格となる見通しです。
合格した4原発8基のうち、3原発5基がこれまでに再稼働し、現在運転しているのは川内原発2号機と伊方原発3号機の2基です。
新しい規制基準の下で初めて、去年、再稼働した川内原発1号機は、先月6日から定期検査に入っています。
高浜原発3号機と4号機は、ことし1月以降、順次、再稼働しましたが、4号機は再稼働の3日後にトラブルで原子炉が自動停止し、さらに大津地方裁判所の運転停止を命じる仮処分の決定を受け、3号機とともに、決定が覆らないかぎり運転できない状態です。
原則40年に制限された運転期間の延長を申請した高浜原発1号機と2号機と、美浜原発3号機も、すでに新基準の審査に合格していて、高浜原発の2基は運転延長の認可が得られているほか、美浜原発3号機も今月末までに認可が得られる見通しです。
ただ、実際の再稼働には安全対策の追加工事などを終える必要があり、関西電力は3年以上かかるとしています。
このほかのPWRでは、福井県にある大飯原発3号機と4号機と北海道にある泊原発3号機は、川内原発などと同じ3年前に審査の申請をしましたが、いずれも合格の具体的な時期は見通せない状況です。
福井県にある敦賀原発2号機は、焦点となっている真下を走る断層の活動性から議論を始めていて審査は序盤です。
一方、事故を起こした福島第一原発と同じBWR=沸騰水型と呼ばれるタイプの原発は8原発10基で審査が申請されています。
このうち、東京電力柏崎刈羽原発の審査が終盤に入り、このタイプの原発の中で最も進んでいますが、緊急時の対応拠点の設置場所の方針変更に伴い審査に遅れが出ていて、合格の時期は来年度以降になる見通しです。