こんにちは、NAEです。
米Amazonがプライム特典にハウスクリーニングを追加するというウワサが立っています。
ニュース - Amazon.com、Primeの特典にハウスクリーニングサービスを追加か:ITpro
なぜAmazonはそんなにプライム特典を追加したがるのか?
日本では月額たった325円のサービスなのに、Amazonにメリットはあるんでしょうか?
今回はそんなお話。
- Amazonプライム会員は非会員の2倍Amazonで買っている
- アメリカではすでに半数の家庭がAmazonプライムに加入。飽和状態
- デジタルの巨人Amazonは「リアル」を感じたい
- Amazonは八百屋のおっちゃんになりたい
- まとめ:Amazonプライムはこれからも進化するよ
Amazonプライム会員は非会員の2倍Amazonで買っている
理由は、このグラフを見ればわかります。
2015年にグイッーーーーと上がっていますね。
これは、ぼくのAmazonでの買い物額の推移です。
2014年の後半にAmazonプライムに加入してから、Amazonで使う金額が大爆発しています。
詳しい状況はこちらをどうぞ・・・
さてこの現象、どうやらぼくだけではないようなのです。
冒頭で紹介した記事の引用元であるSeattle Timesにはこうあります。
Most important, it gains loyal shoppers. Members spend twice as much as nonmembers do ($1,200 annually on average, according to Consumer Intelligence Research Partners, a research firm.)
Amazon looks to clean house — literally | The Seattle Times
Amazonプライム会員のAmazon利用額は非会員の2倍、平均で年1,200ドル
アメリカでもプライム会員はAmazonでたくさん買うようです。
逆から見ると、Amazonにとってプライム会員はロイヤルカスタマーという名の金のなる木なんですよね。
同記事によるとプライム会員による売上はAmazonの事業の柱になっているそうです。
The success of the program has been such that it has become one of Amazon’s main “pillars,” multibillion-dollar revenue generators. Nearly half of U.S. households belong to the program, according to analysts.
したがって
プライム会員の数はAmazonの収益に直結する
と言えます。
アメリカではすでに半数の家庭がAmazonプライムに加入。飽和状態
一方アメリカの家庭の半数以上がAmazonプライムに加入しているという分析も。
Nearly half of U.S. households belong to Amazon Prime, report says | The Seattle Times
プライム会員数を増やしたいAmazonとしては、サービス特典をより魅力的にして集客を図るのはごく自然な行いです。
ハウスクリーニングサービスを追加してコストがペイすることも計算済でしょう。
しかし
ことハウスクリーニングとなると全く別の意図を感じざるをえません。
デジタルの巨人Amazonは「リアル」を感じたい
ヒントは、冒頭に紹介したニュースの一文に隠されています。
なおAmazon.comは2015年に「Amazon Home Services」を米国で開始した。これはハウスクリーニングや家の修繕・リフォーム、水道工事といったサービスを仲介するマーケットプレースで、実際にサービスを提供するのは外部の業者。今回のホームアシスタントはAmazon.comが直接雇用する人材であり、このマーケットプレース事業とは異なるようだと米メディアは伝えている
Amazonの従業員が家に来る
これ、「顧客のリアルな理解」のために超重要なポイントです。
小売の向こう側には、実にリアルな顧客の思いがある
Amazonのネットショッピングは言わばデジタル世界のでっかい小売店です。
デジタル世界の店(=Webサイト)ではお客さんの動きをつぶさに観察できます。
- どの商品ページを見たのか?
- どのボタンやリンクを押したか?
- 買い物カゴに入れる割合は?
- いくら買ったのか?
- 再訪までの期間は?
Amazonは当然、これらのデータに基づいてより使いやすく買いやすいようWebサイトを改善しています。
しかしデジタル世界の店でわかるのは、あくまでデジタル店舗内の動きだけ。
なぜ顧客がその商品を買ったのか?
どういう背景からそれを欲しいと感じたか?
そんな顧客のリアルな思いはAmazonにとって闇の中なのです。
買い物という体験における顧客の思いを理解したい
ならばリアルの世界に飛び出そう
その第一歩が、路面店だったんだと思います。
米アマゾン、実店舗に本格参入 ネット通販を補完 :日本経済新聞
Amazonはもともとはネット店舗。リアルに進出するには実店舗を出す。至って自然な発想ですよね。
実物の小売店でどのような顔をしながら商品を選び、見て、手に取り、カゴに入れ、買うのか。
データにならない顧客の思いを非言語的に観察・理解するにはリアルに触れあうのが一番です。
しかし店舗は店舗。買い物客の行動の裏にある生々しいストーリーまではわかりません。
顧客のストーリーを知るには店舗では力不足。生活をダイレクトに理解したい
そこで、Amazon直属のホームアシスタントによるハウスクリーニングサービスが登場します。
ハウスクリーニングは家のすみずみ、生活のさまざまな側面に触れるサービスです。
レビューには書かれない、実にリアルなストーリーを垣間見られるはず。
こんな生活、こういう事情、だからこのアイテムを買わないといけないし、これ以外にはありえない。
デジタル店舗と違ってデータの数は少ないですが、そのぶん実に深い顧客理解が得られるはずです。
つまり、ハウスクリーニングサービスはお得な特典であると同時に、Amazonが顧客を深く知るための施策なのではと思います。
Amazonは八百屋のおっちゃんになりたい
たぶん、Amazonは商売上手な八百屋のおっちゃんになりたいんだと思います。
常連さんとは顔見知り。世間話を通じて生活ぶりもわかってる。表情を見ればどんなこと悩んでるかもなんとなくわかる。
そこに旬のネタをマッチさせて上手に売る。なんならオススメの野菜も一緒に買ってもらってレシピの紹介もしちゃう。
常連さんもハッピー、おっちゃんもハッピー。
データに基づき顧客一人ひとりにカスタマイズされた適切なサービスを提供できる。これがデジタル技術の強みと言われています。
しかし、Webサイト上の動きをとらえたデータだけではできることに限りがある。
だからリアルを理解したいし、顧客のストーリーも知りたい。
ハウスクリーニングサービスを提供するだけなら業者と提携してアウトソースすればいい話です。
そっちの方がサービス品質はより高く、コストとリスクはより低くできるはず。
しかしそこにあえて、Amazonに務める人材を持ってくることで、「顧客理解」の一助とする。
そんな意図が透けて見える気がします。
まとめ:Amazonプライムはこれからも進化するよ
というわけで、Amazonプライムのハウスクリーニングサービス追加に見え隠れする意図の推察でした。
今のところアメリカのAmazonだけの話なので日本に来るかは不明です。もし来たとしても人によっては気持ち悪いと思うかもしれません。
もし来なかったとしても、Amazonプライム会員がAmazonの売上の柱という事実からすると、日本のAmazonプライムに対しても今後特典が追加されていくかもしれません。
Amazonプライムにどっぷり浸かったぼくとしては嬉しい動向です。
ニヤニヤしながら今後もAmazonの情報を追っかけていこうと思います。