【11月9日 AFP】フランス捜査当局は、昨年11月に首都パリ(Paris)、今年3月にベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)でそれぞれ発生した同時攻撃の中心的立案者の一人を、モロッコとベルギーの二重国籍を持つイスラム過激派、ウサマ・アタル(Oussama Atar)容疑者(32)と特定した。複数の情報筋が8日、AFPに認めた。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の構成員とみられている。

 今回の身元特定は、多国間で連携して行っている捜査で大きな進展が得られた形だ。アタル容疑者は今年3月22日に起きたブリュッセル同時攻撃の容疑者の一人とされていたが、昨年11月13日のパリ同時攻撃への関与も明らかになった。

 130人が犠牲になったパリ同時攻撃をめぐっては、警察は以前から、シリアから1人または複数の人物が調整に当たったと考えてきたが、その身元はこれまで判明していなかった。

 仏紙ルモンド(Le Monde)が最初に報じたこの情報について、情報筋の1人がAFPの取材に対し、アタル容疑者は「捜査を通じて、シリアからの調整役として身元が確認された唯一の人物だ」と認めた。

 アタル容疑者はブ・アフマド(Abou Ahmad)という偽名で通っていたとみられ、欧州の治安当局の間では10年以上前から警戒が必要な人物とされてきた。ブリュッセルで長年暴力犯罪に手を染め、後にISに忠誠を誓いブリュッセル同時攻撃で自爆したブラヒム・バクラウィ(Ibrahim El Bakraoui)容疑者とハリド・バクラウィ(Khalid El Bakraoui)容疑者兄弟のいとこに当たる。

 ベルギー警察筋は今年8月、アタル容疑者の母親と妹が警察に一時身柄を拘束された際、アタル容疑者は「ベルギーだけでなく欧州全体で見ても、最重要指名手配犯」の一人だとAFPに明かしていた。

 フランスは13日にパリ同時攻撃から1年を迎えるに当たり、記念式典の準備を進めている。標的になったコンサートホール「バタクラン(Bataclan)」も、12日に営業再開を予定している。(c)AFP/Pauline TALAGRAND