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  • 辺野古沿岸でジュゴンの食み跡が確認されていないことが分かった
  • 防衛局が調査。2014年4~7月は8~28カ所あったが、8~11月はゼロに
  • 自然保護団体は「ジュゴンはとても音に敏感。工事の影響は明らか」

 新基地建設に向けて名護市辺野古沿岸部にフロート(浮具)やブイの固定のため海底にアンカー(重り)が投下された2014年8月から、辺野古崎北側で国の天然記念物「ジュゴン」の新たな食み跡が確認されていないことが、沖縄防衛局が21日までに公開した調査報告書で分かった。報告書は同年11月までで、それ以降は公表されていない。自然保護団体は「建設工事や警戒船の影響ではないか」とし、環境保全措置の不備を指摘している。

ジュゴン

 報告書によると、防衛局は辺野古崎北側の埋め立て予定区域内で14年4月、ジュゴンの新たな食み跡を13カ所確認。同年5月、6月にもそれぞれ新たに28カ所あったが、フロート設置作業の始まった同年7月に8カ所に激減。同年8月~11月に調査を終えるまでは一カ所も確認されなかった。

 一方、14年に航空調査した20日間のうち14日にわたり古宇利島、嘉陽沖、大浦湾でジュゴンを16回(延べ20頭)見つけており、あらためてジュゴンの移動範囲が本島北部の広範囲にわたることも浮き彫りになった。ただ、フロートが設置された同年9月の追跡調査では嘉陽沖から大浦湾に差し掛かろうとし、引き返す移動経路も確認されている。

 辺野古﨑周辺は14年夏以降、立ち入りが禁止され自然保護団体も調査できない状態。日本自然保護協会の安部真理子主任は「防衛局は環境影響評価で将来的にジュゴンが辺野古地先をえさ場にする可能性は低いとしたが、工事着手前の14年には食み跡が桁違いに増えていた。ジュゴンは音にとても敏感だ。工事の影響で食み跡が減ったのは明らかで、環境監視等委員会で対応を検討すべき」とした。