11月08日 18時03分
東京大学合格を目指し、毎年、センター試験の模試を受けてきた人工知能の「東ロボくん」が、東大合格を諦め進路変更することを、開発チームの国立情報学研究所のグループが明らかにしました。
東大合格を目指す「東ロボくん」は、国立情報学研究所の新井紀子教授らを中心に大手の情報通信企業などが参加して開発してきた人工知能です。
ことし有名私立大学に合格し、2022年春までに東京大学に合格するのが目標で、去年のセンター試験の模試では、470余りの大学で「合格率80%以上」を示すA判定を獲得しました。
これまで順調に成績を伸ばしてきた東ロボくんですが、教科書などの情報と検索技術によって正解にたどりつく世界史などは得意な一方、文章の意味を理解して問題文を読み解く「読解力」がなかなか向上しませんでした。
このため国語や英語などの科目では今後の成績向上に限界があり、東大合格の水準にあたる偏差値70以上にまで成績を上げることは現在の技術では難しいと判断したということで、今年で東大合格は諦め、“進路変更”を決めました。
チームでは「東ロボくん」よりもセンター試験模試の偏差値が低い受験生がいる背景には、読解力の問題がある可能性があるとみていて今後は、東ロボくんの研究成果を中高生の「読解力」を養う教育分野の研究などに生かしていくとしています。
新井教授は「有名私立大学に合格できる自信は出来た。東ロボくんはこのあたりで“浪人”を終わりにして合格した大学に入学するのがよいのではないかと思う。今後、人工知能の社会への導入は必至で、人間が人工知能に勝るのは読解力だ。人工知能に負けない子どもたちを育てる教育を提案する研究に力を入れていきたい」と話していました。
新着ニュース