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作戦相談会議
最終発言2016/10/19 18:15:28 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/10/19 10:04:46
オープニング
「な、なんだこれは?!」
突然感じた違和感。それは全てのモノが小さく感じられる中二病的な感覚といえばよいのだろうか。
「これは……夢なのか?」
足元に広がるのは小さなミニチュア。
自分の両手を見ればそこにあるのは怪獣のような大きな手。
誰がどう見てもきぐるみにしか見えないそれは実際きぐるみそのもののはずだ。何故なら彼は直前までバイトでスーツアクターとして働いていたのだから。
「顔を隠して働きすぎたんだろうか……」
彼はヴィランだ。過去に銀行強盗を行い失敗した結果、仲間を置き去りにして逃げ出し、指名手配されている犯罪者である。
そんな彼にとってスーツアクターのバイトは顔を隠してお金を稼ぐことができる数少ない仕事であり、ヴィランであるためリンカー同様共鳴さえしていれば一般人からの攻撃は通じない。
都合のよい天職であったのだ。
「うわー、働きすぎたかなあ俺……」
そんな彼は巨大化した現実を夢だと思い込んでいた。
正体不明のドロップゾーンの調査。それはHOPEにやってきた依頼の一つだった。
「具体的なドロップゾーンの性質は不明ですが、内部で巨大な怪獣が確認されています。怪獣とドロップゾーンの関係の調査および可能であれば原因となっているであろう従魔か愚神の排除を行ってください」
巨大な怪獣は見た目はただのきぐるみだが、大きさはきぐるみ以外の可能性を主張している。その背中にはピカピカと光る石のようなものが取り付いており、その存在を主張していた。
解説
内部に転がっているピカピカ光る石を身につけていると巨大化するドロップゾーンの調査です。
きぐるみ怪獣はボイスチェンジャー機能つきで何か叫んでます。気にしたら負けです。
近くの会場で用いられていた怪獣のきぐるみとよく似てますが、当然サイズが違うので関係ないに違いない(断言
ちなみに近場で使われていたものは一人では脱ぐことができないタイプで背中のチャックがちょっと見えてるくらいにくたくた感が満載です。
ピカピカ光る石はドロップゾーン内部にいる二足歩行のトカゲが時折ぽとぽと落としているようです。
石は衝撃を受けると結構簡単に壊れます。
プレイング
リプレイ
●巨大化バトル
「怪獣出現!?」
怪獣出現の報を受けた布野 橘(aa0064)とその英雄アルテミス(aa0064hero002)の行動は迅速であった。
「市民に危害を加えさせるワケにはいかねぇ。出撃だ!!」
すなわち現場への急行である。
「デケェ。こんなヤツ、どうやって……」
橘は自身の十倍はあろうかという巨大な怪獣を見上げ呟く。周辺には避難勧告が出ているため、怪獣の近くには他に誰もいない。
橘の姿が怪獣に見つかるのにそれほど時間はかからなかった。目と目が合った瞬間、怪獣は橘から一歩間合いを取ると周囲の建物を崩して攻撃してきたのだ。
(なんでこんなところにあの時のリンカーがいるんだよ?!)
橘の姿に気付いた怪獣のスーツアクターのバイトをしていたヴィランは思わずよろけて傍にあった建物を崩してしまうほどに困惑していた。きぐるみに内蔵されたボイスチェンジャーから聞こえる声は威嚇しているようにしか聞こえなかったが。
『デュアッ!』
その無意識的な攻撃にいち早く気づいたアルテミスは橘に駆け寄る。落下する瓦礫を避けようとした橘が何かに躓いて転んだ時、その手にはピカピカと光る石が触れ、奇跡は起きた。
瓦礫に覆われそうになった二人は共鳴する。それはリンカーが一般的な物理法則によるダメージを負わないことからくる当然とも言える判断と行動であった。
共鳴を終えた時、周囲の建物が小さくなったように見え、怪獣が自分と同じサイズになっている。それは自身の大きさの変化からくるもの。胸元に手を当てればそれが自分の身体であることは間違いがない。
巨大化した自身に対する疑問、それは怪獣を前にしては些細なことである。
先ほどまで困惑していた様子の怪獣がやっと状況が呑み込めたかのように橘とアルテミスの共鳴した巨人に対し、明確に戦闘姿勢を取っていた。
「ヘァッ!」
月光の巨人と化した橘とアルテミスはまずは様子見と間合いの確認を兼ねて格闘攻撃を仕掛ける。街に被害を出すわけにはいかない。自分達は共鳴することで何とか一命を取り留めたが、一般人が巻き込まれればどうなるかは想像に難くない。
パンチやキックをまるで予め予定されていたかのように受け続けていた怪獣だが、すぐにその攻撃が通じることに驚いたのか困惑したように狼狽え始めた。
パンチやキックといった単調な攻撃は見切られ、やがてかわされ始めたが、相手の動きに慣れてきたのはアルテミス達とて同じこと。
「デュワッ!!」
格闘ではわずかに届かない距離を取る怪獣に対し、アルマスブレイドで斬り付ける。本気で焦ったように避け始める怪獣は斬られることを非常に恐れているようにも感じられた。逃げ惑う怪獣に対し、決め手となる攻撃を放つ機会はなかなか訪れない。
戦いはまだ始まったばかりである。
●見える物と見たくない者
「おぉ、シン・怪獣だわ」
「そんな事してる場合じゃないでしょ……」
スマホで動画を撮る藍那 明斗(aa4534)にクロセル(aa4534hero001)は溜息一つ。
「待つんだクロセ。これを動画サイトへアップすれば広告収入も」
「お仕事しようね? ミントくん」
「はい」
明斗はクロセルににこりと笑顔を返され、反射的にそう答えた。
「とはいえあのデカブツが暴れ出したらおい……たまんねェな」
携帯で先ほど取ったばかりの怪獣が右往左往している映像を確認する明斗の脳裏に広告収入の文字がちらつく。だが、一時停止してよく見ればその背中には本物の怪獣にはあってはならないものが見えた。
怪獣の背中にはファスナーが見え隠れしていた。どう考えても中の人が必要な着ぐるみでしかない。それをそうと思わない理由があるとすれば、単純にそのサイズが大きすぎることが原因だろう。
「大きな怪獣ね……私にはどうしようもできないわ」
「ならばヒーローたる私が行こう……って、共有するんだから体は貸してもらうぞ!」
怪獣を見上げ引き返そうとする町田紀子(aa4500)を町田紀子(aa4500hero001)は引き止める。
「いい? 結、大きいということはそれだけ撃たれ強いということよ。普通は油断しちゃだめね」
「でも、サラ、今回のはなんていうか……見た目がよれよれな気がするですけど」
忠言を口にするサラ・テュール(aa1461hero002)に想詞 結(aa1461)は素直に感じたままを答える。実際、サラもそれを感じているからこそ普通はと口に出てしまっていた。
「さて、これはどうしろと……」
「なんだか盛り上がってるけど、あれ、着ぐるみでしょ……?」
どうしたものかと思案するミク・ノイズ(aa0192)に万華鏡(aa0192hero002)は客観的に見て感じたことを素直に答える。
「クレ……ユリナ、今度は身体が大きくなるんだね~。ドロップゾーンってたまに楽しそうな効果もあるよね?」
「……リディス、後々とんでもない事態に発展することもあるのよ?」
「……もう、分かってるよ。楽しんで、愚神や従魔も倒しちゃおうね?」
気楽な様子のウィリディス(aa0873hero002)に月鏡 由利菜(aa0873)は釘を指す。
どうやらリンカー達の大半がその正体に気付いたようだ。
「見た目のせいか、サラが言うほど怖いものには見えない気がするです。私の危機感が足りないせいです? それとも、サラが大げさに言ってるです?」
結の疑問は他のリンカー達に状況を理解するきっかけを与える。冷静な視点で判断すれば、あれを即座にどうこうする必要はなさそうだ。
「……かなり使い込まれたものがベースのようですね……」
「本当に従魔や愚神は何でも取り憑くんだね……」
そう判断すれば由利菜に見えてくるのは使い込まれた着ぐるみに取り込まれた被害者の姿である。従魔や愚神の節操のなさにウィリディスは半分呆れていた。
「……あれ、人が入ってないかな」
「アクターとかいる訳ないだろ!」
クロセルの問いに明斗は明確に状況を理解していなければ出てこない単語で答えた。
「でもファス……」
「俺には何も見えねェ」
クロセルの意見を全力で否定しながら、明斗はアプリから画像の編集ソフトを探して必死に証拠を消そうと試みるが、一度気付いてしまえば後頭部から下半身まで伸びているその違和感の塊を完全に消すのは難しい。何より下手に大掛かりな編集などすれば、明らかに加工動画と言われて再生数が伸びなくなるのは目に見えている。
「野次馬さんには速やかに退避してもらうです」
そんな二人に結は声をかけた。大きくなる方法がわからない以上、安全圏に退避
「多少強引でも安全なところまで行ってもらうです。あれだけ大きければ離れていても写真くらい良いのが撮れるはずです」
「それは名案だねェ」
結の提案に明斗は怪獣から遠く離れた場所に素直に移動する。目的は単純明快で遠くから撮影すればあの明らかに違和感のあるファスナーが見えないだろうという打算であった。
●原因と本当の敵
「……しばらく見ない間に大きくなったわね、クロセちゃん」
明斗は眼鏡外して目を擦り、それでもなお変化のない大きくなったクロセルに真顔でそう告げた。
大きくなったクロセルの手に握られているのは先ほど拾ったピカピカと光る石。
「二次災害防止という事で見つけ次第砕いてしまうです」
結が躊躇なくその石を砕けば、大きくなったクロセルはそのまま元の大きさに戻っていく。
巨大化しているのは怪獣とアルテミスでそれぞれに背中と手首にピカピカと光る石が引っ付いていた。他に共通する外見からわかる違和感はない。先ほどの事象から見ても、それが巨大化の原因なのだろう。
「万華鏡の豆知識。バストのカップは、トップとアンダーの差で決まるのよね。つまり、大きくなればマスターも……ごめんなさい、無言で契約破棄しようとしないで」
原因に気付いたところで提示された万華鏡の案にノイズは無言で断りを入れる。その瞳は鬼軍曹。浮かぶ笑みは般若も逃げ出そうかという勢いだ。
とりあえずはドロップゾーンの範囲の確認を行い、その道中で見つけたピカピカと光る石を破壊して回る。普通に砕こうとしても砕けなかったが共鳴すればノイズの槍の一突きで簡単に壊れた。この石に従魔か愚神が関わっているのは間違いないだろう。
巨大化の原因が解ればリンカー達の行動は早い。即ち、それを利用しての怪獣の対応と原因の石の根絶である。
「……僕の事はお気になさらずー……あはは……」
スマホを片手に建物の屋上から撮影を続けていた明斗と怪獣の目が合った。戦いは怪獣が逃げ回ることでどんどん範囲を広げていた。
逃げ惑う怪獣をアルテミスが対処するのも限界が近い。
「あたし達も対抗しなくちゃね! それっ、ビッグの術!」
「あ、あまり気は乗りませんが……止むを得ませんね」
ノリノリのウィリディスに対し、由利菜は気乗りしない様子ながらも被害を抑えるために巨大化する。
「レナトゥス……!」
「私は大丈夫です。アイギスの盾もありますから」
ウィリディスに由利菜はそう答えると怪獣の手足を狙って攻撃を仕掛ける。あくまでも怪獣(の中の人)も被害者であるのであれば、大怪我をさせるわけにはいかない。
「おのれ、街を焼き尽くす悪の権化が!」
「ちょ、ちょっと、この人……かどうかわかんないけど、何か訴えてない!?」
石を利用して巨大化し、目の前の悪を倒すことのみに専念する町田に町田は客観的な視点から感じた違和感を口にする。
他に巨大化したどこからどう見ても普通の人と同じ姿の存在を前に、漸く怪獣の中の人も状況を把握し始めたらしい。
ボイスチェンジャー機能を解除できないせいでアンギャアンギャとしか聞こえなかったが、それが何かを訴えかけていることだけは客観的に冷静に見ることができれば理解はできる。まあ、元に戻さなければどうにもならないことは変わらないし、その原因の石は背中についている上に攻撃を避けようと逃げまくるせいで戦闘続行するしかないのが現実なわけだが。
「こいつが原因か? もしこれにも巨大化されたら超コワイ」
撮影した動画の確認をしていた明斗はその動画の中に明らかに妙な存在が映っていることに気付いた。それはピカピカ光る石をぽろぽろと落としながら建物の影に消えていった人間大のトカゲである。
「クロセ、これあそこのビルの上に置いといてくれ。あの怪獣が映るようになー」
「ミントくんったらまだ諦めてなかったの?」
明斗はスマホによる撮影は継続しつつ、原因の対処を行うため、他のリンカー達に連絡を取る。
「石をこぼしているトカゲさんは目立つと思うので、すぐに見つけられると思うです」
原因さえわかれば後は対処するだけ。結やノイズはその画像データを確認して、捜索を開始した。
「目標確認。現在追跡中だ」
まもなく目標のトカゲを発見したノイズはその行動を観察する。特に目立ったことはしていない。やっていることと言えばぽろぽろと光る石を落としながら歩き回っているだけだ。
しかし、その行動の意味をドロップゾーンの大きさを先に調べていたノイズは理解した。石をばらまいた分だけドロップゾーンの範囲が広がっていたからだ。
そうと判れば討伐しない理由はない。互いに連絡を取り合い、石の破壊とトカゲの討伐を最優先事項に指定する。
「せっかく大きいのですから有効活用するです」
「踏めなくても通行止め位できるでしょ? 私達を踏んだりはしないでよね」
結とサラのその提案に町田は早速行動に移る。近くにあった車などを移動させ、トカゲの移動可能な範囲を限定していく。
行動範囲を限定すれば後は追い込むだけだ。
「一発ヤるんで、エージェントの皆さんは避けちゃってくれよなァ?」
明斗はトカゲが逃げられないように路地全体を覆うようにウェポンズレインを放った。そして、トカゲは討伐されたがドロップゾーンはまだ消える気配を見せていない。
●石の潰える時
逃げ惑う怪獣に対してもリンカー達は同様の手段で追い込んでいた。
町田は二人の巨大化に対する意識の方向性の違いが枷となって、そのサイズはアルテミスや怪獣に及ばないが、むしろその大きさの違いが怪獣の死角から隙をつくのに適していたのだ。
『アンギャー!』
町田が建物の影に身を潜め、退路を塞げば回り込まれた怪獣からボイスチェンジャーを通したかのような驚愕の声が響く。明らかに狼狽え、状況把握が追い付いていない。
「ユリナ! お願い、あたしの力で必殺技を放って! まだあたし、ユリナに頼らないと辛いんだ……!」
「わ、分かったわ……! 魔法陣、照準セット!」
ウィリディスと由利菜は互いの役割を分担し、グングニルの穂先から青白い魔法陣が照射される。
その隙をアルテミスも逃すはずもない。手にした武器を持ち替え、それを胸部のプロテクターに装着する。獲物を持ち替えるその行動には十分に逃げる隙があったような気もするが、半ば反射的に怪獣は待っていた。バイトのし過ぎによる条件反射である。
「汝を貫くは真紅の槍! 穿て……ルベル・クリス!!」
「はあああぁぁぁぁっ!!」
魔法陣が赤く染まり、裂帛の気合と共に放たれた槍が怪獣を背後のビルに縫い付けた。
「ダァァーーーッ!!」
アルテミスは握った両の拳を胸の前でX字に組んで、直線的なビームを照射する。
光条が怪獣に突き刺さった後、さらにボロボロになった怪獣が未だそこに立っているように見えた。
「結果が同じなら、楽な方を選ぶ。それが私の主義でね」
ノイズはそう言いながら怪獣とアルテミスに向けてフリーガーファウストG3を構える。狙いは怪獣……ではなく、アルテミスの腕と怪獣の背中に張り付いているピカピカと光る石だ。
「……これ、味方も巻き込み……」
「かまわん。被害拡大要因だ」
共鳴状態で脳裏に響く万華鏡の心配する声にノイズはそう返す。直後、頭上に出現する無数のフリーガーファウストG3から放たれる膨大な量のロケット弾が周囲を爆発で包み込んだ。
●戦い終わって……
「橘。キミにはまだ、私の力が必要なのだろう。この、ルナセイバーたる、アルテミスが」
「……そうかもな。お前がいなかったら、死んでたかもしれない。感謝してるぜ」
爆発に巻き込まれたアルテミスは元のサイズに戻っていた。ちなみに由利菜や町田は原因を理解していたので自力で戻っている。それと同時にドロップゾーンは消滅を始めていた。
「だが、いずれは別れる日が来るだろう。その時はきっと」
「まださ」
「まだ……?」
「今考える必要はねーってこと」
「ならば約束しよう。私がキミの下を離れる時は、月の横を、ひとつの光が宇宙へ飛んでいく」
「それがお前、か」
その言葉に頷いた時、空から星が一つ流れ……落ちた。
「うう、死ぬかと思った」
元のサイズに戻ったヴィランである。
そして彼はまた逃亡生活を再開することになった。スーツアクターのバイト時に用いていた顔写真が原因で指名手配犯であることがばれたためである。
その後、誰がアップしたのかこの事件の動画が投稿され、ほんの少しの収入があったが、払拭しきれなかったきぐるみ疑惑からすぐに人々の記憶から忘れ去られてしまった。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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