1995年に廃止となった旧JR深名線・沼牛駅(北海道幌加内町)の木造駅舎の改修作業がこのほど完了した。鉄道ファンや地域住民でつくる実行委員会は改修費用の一部として、インターネットを通じた「クラウドファンディング」で支援者を募り、239万円を集めた。
駅舎は29年(昭和4年)の建設。雪の重みで傾いた土台を取り換え、外壁を塗装し、駅舎内には支援者の名前を記した木板が掲げられた。
今月6日の披露会には道外からのファンや地元住民が集まり、限定販売の駅弁を買ったり、運賃表を眺めたりして過ごした。改修を支援した千葉県柏市の会社員、嶋村智博さん(44)は「子供のころ、父と訪ねた思い出のある駅。手助けができてうれしい」と話した。
路線廃止後、雪下ろしや補修をして駅舎を守ってきた農業、坂本勝之さん(74)も「活気のあった昔のようにきれいになった。新たな交流の場にしたい」と笑顔だった。
改修には2006年に廃止された旧ふるさと銀河線・上利別駅(足寄町)の解体された木造駅舎の部材も一部使用した。委員会は「貴重な鉄道遺産を守っていきたい」とし、定期的に沼牛駅舎でイベントを開き、保存活動を続けるという。〔共同〕