どうも、ゴトーだ。
先程ゴールデングラブ賞に関する記事を投下したばかりだが、どうせならFAについても触れてしまおうということで今日2本目の野球記事になる。
UZRとゴールデングラブ賞の比較記事はそれなりに好評を頂いているので、興味ある方は読んで欲しい。
2016年のプロ野球ゴールデングラブ賞が決定！守備評価のUZRと比較したら驚きの結果に！ - ゴトーのブログ
今回説明するのは2016年のプロ野球FA市場についてだ。
FA権だのFA宣言だの、オフシーズンにあるとよく耳にする言葉だが、案外その仕組みについては知られていないと思うので、これを機に知ってもらえればと思って書いてみた。
プロ野球におけるFAとは
FAというのはフリーエージェントという言葉の頭文字を取ったもので、意味はそのまま「どことも契約できる」ということ。
プロ野球においてはFAというと、12球団どことも契約できる状態、もしくはその権利を持っているという意味になる。
プロ野球はサッカーなどのプロスポーツと比べると国内で完結している仕組みになっているので、選手の流動性が低く、選手が自発的に球団を選べるのは基本的にFA権を持った状態しかない。ちなみにサッカーの場合は契約延長するかどうかは自分で選択できて、延長せずに他チームからのオファーがあれば移籍できる。
ではFA権はいかにして得られるのかというと、以下の条件を満たせば良い。
- 国内FA
- ドラフトで入団した高校生選手…累計8年経過で取得
- ドラフトで入団した大学生・社会人選手…累計7年経過で取得
- 海外FA
- 全選手が9年経過で取得
国内FAと海外FAという二つのワードが出ているが、これは言葉のままで「国内の12球団どこにでも契約できる権利」と「メジャーリーグを含む海外の球団と契約できる権利」ということになる。ちなみに海外FAは小宮山悟などの例があるが、基本的にはFAを待たずして海外に移籍できて球団に譲渡金が入るポスティングシステムが主流だ。
2度目以降のFAは全選手4年在籍で取得できるようになる。これは国内、海外どちらも同じだ。
ちなみにFA移籍が成立したのは過去23年のうち実は76件しかなく、チームを代表するような有力選手が多い。
微妙な選手はFA権を持っても、FAを宣言しないことがほとんどで、そのために「FA＝大型補強」というイメージが強くなっている。
FAにおける補償とは
やきゅつくなどのゲームではFA自体はあるものの補償の部分は再現されていなかったので、案外知らない人もいるかもしれない。
FAで選手を獲得した球団は、もともと在籍していたチームに「金銭補償」と「人的補償」のどちらかまたは両方を行わないといけない。
ちなみにこれは国内のみで海外FAの場合は補償制度が未整備になっている。
そしてこの補償は選手のグレードによって異なるという、なかなか理解しづらいものになっている。
具体的には、選手がそのチーム内で何位の年俸をもらっているかによってランクA・ランクB・ランクCが付与され、それぞれのランクに応じて補償の内容が異なる。
- ランクA…年俸が3位以内の選手
- ランクB…年俸が4位~10位の選手
- ランクC…それ以下の選手
簡単に言うと、年俸が高いような優秀な選手を取ったらそれ相応の補償をしてくれよ、ということになる。
ちなみにランクCの選手の場合は補償は不要だ。
人的補償
人的補償とは、選手を放出することになった球団が、獲得した球団からプロテクト外の選手を一人獲得できる権利だ。
手放す代わりに誰か一人ちょうだいよ、というもので、ただし30人のプロテクト枠というのがあり、それによって有力な選手は取れないようになっている。
ちなみに人的補償はなしでいいや、ということもできて、そうすると下で説明している金銭補償がより高くなるので、別に無理して誰かを取る必要はない。
獲得される選手は「プロテクトされてないけどキラリと光る物がある選手」か「今は駄目だけど環境が変われば復活しそうな選手」か「昔凄い活躍していて、他の選手に経験を伝えることを期待されている選手」あたりが選ばれる傾向にある。
キラリと光る枠では、カープから巨人が大竹寛を獲得した時に、一岡竜司が人的補償としてカープに移籍している。
その後どうなったかというと、一岡は2014年に防御率0.58、今年も防御率1.82と大活躍していて、放出した大竹以上の貢献度となっている。
もっともこれは稀なケースだが。
他にも衰えた工藤公康や江藤智なども人的補償の対象となっていたりする。
金銭補償
金銭補償とは、選手を獲得した球団が、もともと所属していたチームに年俸の一定割合を支払うということだ。
人的補償がありの場合となしの場合でその割合が異なる。
- 人的補償あり
- ランクA…旧年俸の50%
- ランクB…旧年俸の40%
- 人的補償なし
- ランクA…旧年俸の80%
- ランクB…旧年俸の60%
獲得した球団は年俸の半額を契約金として払わなければならず、さらに金銭補償もあるのでかなりの出費になる。
ただでさえFAになると年俸が跳ね上がるので、これらを考えると巨人などの金満球団以外はなかなか手を出せないということがわかる。
過去のFA実績
金銭補償のところでも書いたようにFAはかなりのお金がかかるし、選手は脂に乗っていてこれから衰えてくる年代なのでコスパが悪い。
取らない球団はホントに取らないし、取る球団は実は凄く偏っている。
1993年から始まったFAは23年で76例あり、その統計データがこちらになっている。
特に親会社を持たない広島はFA獲得が一度もなく、その割に金本知憲や新井貴浩といった有力選手が流出している。
巨人は清原和博や、落合博満、杉内俊哉といった球界を代表する選手を次々と獲得して「金に物を言わせる球団」と言われても仕方のない実績となっている。
まあこのグラフを見ての通り、やっぱり金のある球団じゃないとなかなか手を出せないというのが分かると思う。
2016年の目玉選手
では今年どんな選手がFA市場で注目されているかを紹介していきたい。
糸井嘉男 / オリックス
糸井はもともとメジャー志向があってポスティング移籍を希望していたが、それを認めない球団と対立してオリックスにトレードしたという経緯がある。
そしてオリックスでも中心選手として活躍しており、今年は35歳にしてキャリア初の盗塁王となっている。
既にFA宣言済みで、古巣のオリックスを含め、阪神などが獲得に動いているという話がある。
オリックスは4年16億を基本軸としているようで、金銭的にも選手のグレード的にも最もホットな選手だろう。
陽岱鋼 / 日ハム
日ハムの中心選手として活躍していたが、11月7日にFA宣言をした。
台湾出身だが、日本の高校に野球留学をしていて、そのままドラフト1位入団したので外国人枠ではない。
まだ29歳で実力は十分だが、日ハムから構想外を突きつけられてしまったらしくFA宣言したとのこと。
糸井の件と言い、日ハムはかなり非情なイメージがある。
山口俊 / DeNA
父親が元幕内力士なので「どすこい」と呼ばれている。
速球が武器で、完投できるスタミナがあり使い勝手の良い先発投手だが、異常にメンタルが弱い。
今年は11勝をあげてDeNAをクライマックスシリーズに導いたが、FA宣言をしてしまった。
岸孝之 / 西武
西武のエースでストレートとカーブが売りの先発投手。
7シーズンで二桁勝利を達成していて、おそらくどの球団も先発の柱としてほしいはず。
今の所、楽天が強くアプローチしているらしい。
森福允彦 / ソフトバンク
実績十分の中継ぎ投手だが、ワンポイントでの起用に不満で、より良い起用方針を求めてFA宣言した。
金銭補償が不要なランクCの選手なので(ソフトバンクの他の選手が年俸高すぎる！)、欲しい球団は多いはず。
巨人や阪神、中日などが名乗りを上げているらしいが、流動的すぎてよく分からない。
FAしそうでしなかった人
大島洋平 / 中日
これまで中日の辛い年俸査定に不満を公言していたので、FA宣言濃厚と思われていたが、早い段階で残留を宣言した。
地味な選手だけど自分の中で株が上がった。
平田良介 / 中日
今年はファンのヤジにブチ切れたことが最も話題になった。
平田も大島と同じく年俸に不満を唱えてきたので宣言濃厚と言われていたが、こちらも残留した。
体系的に打撃しかできない印象があるが、意外と足も早くて守備もそこそこ良い。
まとめ
去年は目玉の松田がメジャーに行かずに残留したので、地味なFA市場となったが、今年は中心選手が次々とFA宣言しているのでオフシーズンになっても話題に事欠かなそう。
もうすぐ侍ジャパンの強化試合もあるし、来年にはWBCも控えているので野球ネタがたくさん書けてブロガーとしては嬉しい限りだ。