東海 NEWS WEB

ニュース詳細
電通 中部支社でも捜索

11月07日 19時22分

電通 中部支社でも捜索

3004149491_20161108100359.mp4

新入社員だった女性が過労のため自殺した大手広告会社の電通が、複数の社員に対して違法な長時間労働をさせていた疑いが強まったとして、厚生労働省は、7日、労働基準法違反の疑いで電通を捜索し、強制捜査に乗り出しました。
捜索は名古屋市にある電通の中部支社でも行われました。
東京・港区にある電通の本社には、7日午前9時20分すぎ東京労働局の過重労働撲滅特別対策班などの労働基準監督官約30人が捜索に入りました。
また、名古屋市中区の中部支社や大阪の関西支社それに京都支社の3つの支社にも捜索が入りました。
厚生労働省によりますと、電通は、本社や3つの支社の複数の社員に対し、労働組合と取り決めた協定の上限を超えた違法な長時間の残業をさせていたとして労働基準法違反の疑いが持たれています。
厚生労働省は電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が去年12月、過労のため自殺し、労災が認められたことを受けて10月から電通を調査してきました。
この調査で本社ビルのゲートを通る際などに記録される出退勤の時間をもとに勤務の実態を調べたところ、複数の社員の残業時間が労働組合との協定の上限を大きく上回っていた疑いが強まったということです。
このため厚生労働省は、強制捜査に乗り出したもので勤務記録などの資料を押収して労務管理の実態を詳しく調べることにしています。
今後の捜査では、違法な長時間労働が組織全体で広く行われていなかったかどうかが焦点となり、違反があれば刑事事件として書類送検する方針です。
電通は「捜索が入ったことは事実です。調査には全面的に協力してまいります」とコメントしています。
過労死や過重労働など愛知県内の労働を巡る相談や裁判を数多く担当している名古屋市の岩井羊一弁護士は「製造業が盛んな愛知県では業務の効率化を求める企業が多いが、社員の性格や適性を踏まえず、これを一律に強く求めていくと人によってはパワーハラスメントやストレスと感じる場合がある」と指摘しています。
さらに、「経営側は、長時間残業や休日出勤をいとわず、無理をしてでも働こうとするかつては美徳された気構えに甘えている部分がある。しかし、これは過労死にもつながる働き方であって、大変危険な状態で改めるべきだ」と注意を呼びかけています。
そのうえで、「労働組合と経営側の間で時間外や休日の勤務に関わる協定を結んでいても労働者は弱い立場なので実態は違うところが多い」として、「長時間労働を規制する強制力を持った法律の整備も必要ではないか。経営側には規制の範囲内でしか従業員を働かせられないという意識を根付かせるようにすべきだ」と提言しています。

東海のニュース

新着ニュース

このページの先頭へ