こんにちは、NAEです。
新入社員や若手コンサルの書いてくる資料をレビューしていると
「書きっぷりが変。これどういう意味?」
というフィードバックすることが非常に多いんですよね。
あいまいな表現、解釈が異なりうる言葉、間違った言い回し・・・
あまり本質とは関係ない部分での直しが頻発すると効率も悪いですよね。
とはいえぼくも若手時代はそうだった。しょうがないか、なんて思いながら日本語の書き方を指導しています。
コンサル業界で働いて10年弱。仕事おいて人にモノを伝え、諭し、動かすことを生業としてきました。
必要な「日本語の書きっぷりの基礎」は独学、ないしは指導を通じ身につけてきたつもりで、自信もあります。
しかし・・・書きっぷりの基礎が全部書いてある本に出会ってしまいました。全部というか、それ以上のことが網羅されています。
なんということだ!これを読んでもらえばいいじゃないか!
今回はそんなお話。
- 新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
- 1章:書く前に準備する
- 2〜4章:完読される日本語の書きっぷりの指針
- 5章:より実践的な読んでもらうテクニック
- まとめ:日本語で文を書く人全員に読んでほしい良書
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
それがこちら、「新しい文章力の教室」です。
「書けないカギは書く前にあり」。
毎月3,000本以上の記事を配信し続けるカルチャーニュースサイト「ナタリー」で実践されている文章の書き方を、一般向けに解説する初めての書籍です。
通称「唐木ゼミ」と呼ばれる社内勉強会で新人育成を担当する著者が、
- 「悩まず書くためにプラモデルを準備する」
- 「事実・ロジック・言葉づかいの順に積み上げる」
など独特の概念を通じて、文章を構造的に書くための方法をわかりやすく教えます。
文章の具体的な改善ポイントも解説。企画書、報告書、レポート、ブログ、SNSなどあらゆる文章に有効です。
この本は完読される文章を書くことを目的とし、
- 文章の構成方法
- 日本語の使い方
- ブラッシュアップ方法
を解説する、初心者ライター向けの本です。
だと言って侮るなかれ。冒頭に紹介した例のように日本語や文章が上手でない人は非常に多いです。(ぼくもその一人)
ドラクエにたとえると
- 文章を書いたことがない人:スライムレベル
- 初心者ライター:さまようよろいレベル
- 熟練記者:ゴーレムレベル
くらいの差はあるんじゃないかな。
この本は、スライムがさまようよろいにレベルアップするための方法が書いてあります。
コンサルがOJTで学び教えられるポイントもかなーり含まれています。
1章:書く前に準備する
曰く、文章はプラモデルであると。
完成図があり、パーツがあり、取り扱い説明書がある。
- 完成図:伝えたいこと(主眼)
- パーツ:使える材料、要素
- 取説:順番や重みづけ
これ実は、コンサルが資料を作るときの考え方と同じなんです。
- 目的:結論、メッセージ
- 骨子:ストーリー展開
- 中身:肉づけ、裏づけ
2番目と3番目は逆ですが、要は言いたいことを裏づけつきで伝えるために必要な要素はすべて同じなんですよね。
また「書く前に準備する」という考え方も、コンサルの資料作成と全く同じ。
いきなりパワポを開いてもいい資料は出てきません。目的や骨子、中身など、細かくイメージしてから書かないと途中でブレて手戻りますし、品質も安定しません。(成果物イメージと呼びます)
参考記事:「よしなに」の意味と「よしなに頼む」を仕事で使うべきではない理由 - NaeNote
そのため、若手の子たちには、「まず手書きか箇条書きでまとめて。その時点でレビューするから」と言っています。
ナタリーでも「構造シート」を使って同じことをしているようです。
でも、ぼくが注目したいのは次のセクションです。
2〜4章:完読される日本語の書きっぷりの指針
曰く、読みやすい日本語にはルールがあると。
いわゆる「書きっぷり」です。
たとえばこんな文章、見かけたことありませんか?
- 同じ語尾が連続してて頭悪そう
- 漢字だらけで息がつまる
- 長すぎて係り受けがわからない名詞
- 「で」で無駄に長くつながった文
- 「ということ」が多くて自信なさげな文
- 点と線をあらわす言葉の混在
このような灰汁が文に混ざっていると読者は読みづらさを感じます。
せっかく良い具材で上手に煮た鍋なのに、灰汁だらけだと完食したくないですよね。
灰汁を取り除く方法を「新しい文章力の教室」は教えてくれるんです。
ちなみに上記のような必読Tipsが48個紹介されていますよ。
2〜4章だけでも非常に多くを学べます。新入社員や若手社員にはぜひ読んでもらいたい。
自腹で買って彼らに渡し、自己レビューのチェックリストとして使ってもらいたいくらいに思っています。
そうすれば日本語の書きっぷり直し系のレビュー&フィードバックの往復が圧倒的に減るはず。
5章:より実践的な読んでもらうテクニック
5章はよりコミュニケーションや認知に寄ったテクニックの話をしています。
- 具体的なエピソードは覚えられやすい
- 人物名で始めると目を引く
- 主眼の切り出しはタイトルから始まる
- 数字を入れるとグッと説得力が増す
コンサルの資料作成でも応用編と位置づけられるテクニックが多く網羅されています。
ただテクニックは基礎があってこそという点を忘れてはいけません。
初心者はテクニックに飛びつきがちですが、中身(1〜4章)がスカスカだといくら小手先でコネコネしても読者は白けます。砂上の楼閣、意味がありません。
そのため、とっつきやすさに惹かれて5章を実践するより、まず1〜4章で基礎をガッツリと学び、実践し、身につけることをオススメしたい。
まとめ:日本語で文を書く人全員に読んでほしい良書
以上、「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング」のレビューでした。
コンサル仕事で学んだ資料作成の考え方もさながら、「読みきりたい日本語」を書くために身につけたい要素がググッと詰まっています。
見開き1ページで1つのTipsが端的に書かれているので、忘れたときの辞書的に使うにもおすすめの一冊です。
ぜひ机の脇にひとつ置いてみてはいかがでしょうか。