「大人が入るくらいの大きさの、ごみ箱…ですか?」
ええ… 急なお話でゴメンなさい。どうしてもハロウィンの夜までに欲しいのよ。
「と、言うことは明日の夜までですね?
分かりました。直ぐにかかります…
ただ出来るだけお客様のイメージに即した物を作りたいので…」
ええ、もちろん…! 多分そうおっしゃると思って、知り合いの設計士さんに「図面」を書いてもらってあるんです。
これでよろしいのかしら?
「なるほど…充分です…。」
良かった…! 実はこの「大きなごみ箱」が3つも必要なの!
明日の夜までだけど 出来るかしら?
「なんとかしましょう。ご予算はどのくらいでお考えですか?」
出来るだけ安くお願いします…。見た目はそこそこでいいんです。ただ、底に「キャスター」を付けて下さい。
100キロ位乗せても、私達「姉妹」の力で動かせるようにして欲しいんです。
あっ…、底はスノコにして下さい…
底に「液体」なんかが溜まったらイヤですから…
「底にキャスターを付けて 自由に移動出来るようにってか…」
この【図面】を見ると 40ミリ角のタル木(角材)で骨組みを作って
「ベニヤで周りを囲う」造りになってるけど…
どう考えても美しくないなぁ…。そんな素人さんが作るような物は、私は作りたく無い。
たとえ「ごみ箱」であっても、私は「私の美学」を通したい…
まして「タル木で組んだだけの箱」に、
底をスノコにしちゃえってか…?
そんなスノコの底に「キャスター」付けたって…
とても100キロの荷重になんかに耐えられ無いじゃないか…!
(図面を少々変更しなくちゃいけないみたいだね…)
「ねぇ… 例の物は大丈夫なの?」
「はい、お姉さま。 あの大工さんなら明日の夜までに作ってくれると思います。」
「そう…。 それにしても幅が120センチで奥行き70センチ。 高さも80センチもあれば大きさは充分だけど…
箱だけでも重くなりそうよね?」
そうね… タル木で組んでベニヤで周りを囲うんだから、それなりに重いわよね…
あの大工さん、何か考えてくれるかしら?
どうかしらね…
どうにもならないかもね…
さ~て…
先ずは「役者」を集めないとな…。
キャスターを受ける材料は、「タル木」っていうのをやめて120ミリメートル幅、厚み30ミリメートルの「板材」に変更!
トリマーで、その材料の角に「丸面」を付けて
濃い色のペンキを塗って…乾いたら
ウレタンの半ツヤクリアー塗布して「色留め」して…
溝切りって機械で「溝」を突いたら
「スライド丸ノコ」で留めにカット~!
ビスケットジョインターの20番を2個、一つの角に贅沢に使って
木工用ボンドをたっぷり塗って…
くっ付けちゃったら… フフッ! 油絵を飾る「額縁」みたいになっちゃったよ~!
とりあえず、底は完成だっ!
次はタル木に、機械でまた「溝」を突いて
それを四隅の柱にして、ビスで底からもみ付けて~
柱と底の「溝」に、ベニヤを落とし込んだら
上からも「溝」を突いたタル木をドッキング~ッ!もちろんビスで固定~!
よしっ、良い感じだ…。
底の強度はこれで充分だし、タル木の使用量は最低限。
ベニヤは「溝」の中に入っているから、歪む事もない!
見た目もシンプルで、柔らかなベニヤの木肌色に タル木に塗った濃い目のペンキが良いアクセントになってる…
もちろん、部品点数が少ないから軽量に仕上げられたし!
後は底をスノコにして、キャスター付ければ完成だな…。
ステンレスのビスで…
箱の底にスノコをしっかり固定!
そしてひっくり返して~
あんよ(キャスター)を付けてぇ~ ん…?
あれっ、何だよこれ…
キャスター取り付けの、「ビス穴」がこんなにでっかいよ~! これってボルトビスなん?普通のビスじゃ固定出来ないよぉ~!そんなの聞いてないよお~っ!!
どうすんだよ~っ!
そろそろパーティードレスを着る時間ね…
「あんた相変わらずガリガリねぇ~」
「しょうがないじゃん!太られないもん!」
「あんた、それってまだ子供なのよ~!」
「ねぇ…いよいよ今晩よ。みんな、心の準備は出来てる?」
「ええ…お姉さま。“心の準備”も“闘いの準備”も出来てるわ。」
(ずっとこの日のために「剣術の練習」頑張ってきたんだもんね…)
あ~らチェルシーお久し振り!元気だった?
ああっ、おば様~❤ 元気よ! おば様も、とっても元気そうね!
「さあ~、お集まりの皆様! ハッピーハロウィーン! 今晩は私の「呪いの屋敷」にようこそ…ハハハ
全く洒落になりませんが…
たった今、パーティーの準備をしていた執事が死んでしまいました。
すでに、もうここに「悪魔」が遊びにきている様子ですね…
私達は今夜…
自らに「悪魔」をとりつかせて、悪魔と人類の対話をするのでありま~す!
狂った人間の犯す罪は「悪魔のイタズラ」なのか?
それとも、それこそが「人間の本性」なのか!?
さぁて… 「悪魔」と対話をしょうではないか!
さぁ!「悪魔」よ!
我々にとりつきたまえ~っ!!
そして神よ…
人間の罪と闘わんとする我々に、どうぞ
ご加護を~っ!!
「クククッ…!それじゃ早速始めちゃう?」
おいおい…物騒なもん持ってるじゃないかぁ
いけないなぁ~女の子がそんなもん…
うるっせ~よ、じじい!! それじゃこれでぶん殴っちゃうかぁ~!?
「みんな、気を付けて! もう、やつらは何人にも とりついてるわ! 対話する気は無いみたい!」
「多分…ここにいる全員殺すつもりよ!」
「ええ!」「はいっ!」
どうしたの…?チェルシー?大きな声出して…
おっ、 おば様…
ひひひ~っ! 大きな声出す時は「大きな口」を開けなくちゃね~っ!
ヒュン! ドサッ……
「ゴメンなさい おば様…」
「何…? あんたら私らとやり合おうっての?人間ごときが?はぁ~ 笑わせるわねぇ…」
笑わせるわねえ~~っ!!
はぁ~っ… やっと出来たよ~!遅くなっちゃった!
ハロウィンパーティー始まってるよなぁ~!
だけど、いくらなんでもこんなにデカイ「ごみ箱」ってパーティーにいるものなのかしら…?
どんな凄いパーティーなんだろ?
まぁ、持って行けば分かる話だけどね
そんじゃ、出発~!!ブルルル~ン!
「すみませ~ん、遅くなりました~!
ご注文頂いた「ごみ箱」をお持ちしました~!」
「すみませ~ん! えっと…どこに置いていけば宜しいでしょうか… ?」
カチャッ…
「ああ、この部屋でしたか!すみません、遅くなりましたが…… ?
あら…大工さん?
「えっと… ごみ箱を… と、届けに…」
な…?
す、凄いですね…
ご、ごみ箱は、 みっ…3つで足りますか…?
「大工さん…そうねぇ
10個ほど追加注文してもいいかしら…?」
は、はい…
ハロウィンのパーティーに…
「大きなごみ箱」を注文されたなら
少し気をつけた方が良いらしい…
※使用画像について
映画「高慢と偏見とゾンビ」よりお借り致しました~m(__)m❤
【 追伸】
キャスターの固定は、ナットとワッシャーをかませてステンレスビスで取り付けました(´Д`)!
(ステンレス用のドリルで穴を開けようとしたのですが…無理だったのです(´д`|||)。)
まぁ、短いコーチボルトで固定すれば最高なのですけどね…
それと当たり前ですけど、私が「大きなごみ箱」を納入したのは、「普通の工場」でした~(´Д`)❤
お~しまい❤
(ねぇ…面白かった?)
(アハハハ!全然~!)