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 中国・上海の中心部に位置する水産市場が10月いっぱいで閉鎖され、撤去作業が進んでいる。取扱量が増えるにつれ交通渋滞や環境問題が深刻化し、惜しまれる中での「退場」となった。跡地は緑化され、地下鉄が通る予定だ。

 閉鎖されたのは「銅川路水産市場」。1996年に開業、利便性が良いこともあり、上海庶民の胃袋を満たす市場として好評だった。国内外の水産物のほか、乾物や調味料なども扱う市場として市民生活を支えてきた。一方で、周辺住民から騒音や汚水が指摘されるようになり、ここ10年は移転のうわさが絶えなかったという。最後は地下鉄計画が引き金になった。

 10月末までに全店舗が郊外の市場に移転。7日に市場を訪ねると取り壊しが始まっていた。作業を見守っていた保安員は「近所で育った私にとっては思い出が詰まった場所」と寂しげだった。(上海=冨名腰隆)