陥没現場、岩盤上に地下水多く 福岡市長「復旧に全力」 [福岡県]
福岡市交通局によると、現場は地下25メートル付近でトンネルの掘削作業中だった。トンネルは硬い岩盤内で掘り進むが、岩盤の上にある約16メートルの砂の層には、地下水が多く含まれている。岩盤部分と砂の層が何らかの理由でつながり、砂の層から大量の土砂がトンネル内に流れ込み、道路が陥没したとみている。
過去にも陥没事故
九州大の安福規之教授(地盤工学)によると、一般的には、地下水を遮断する層の強度を調べ、弱い部分を改良するなどして岩盤にトンネルを掘削する。「詳細な調査をしても弱い部分に気付かないケースもあり、弱い部分から流れ込んだ可能性も考えられる」と指摘した。
地下鉄建設工事現場の周辺道路では、過去にも陥没事故が頻発。七隈線延伸工事を巡っては2014年10月、今回の事故現場から約350メートル離れた博多区祇園町の市道で発生。車道が長さ約5メートル、幅約4メートル、深さ約4メートルにわたって陥没した。延伸工事に伴う雨水管の移設作業中、作業員が坑内に土砂が流入していることに気付いた。道路地下に空洞が発生したことが原因で、けが人はなかった。
現在運行中の七隈線の建設工事でも2000年6月、現場付近の中央区薬院3丁目の市道が長さ約10メートル、幅約5メートル、深さ約8メートルにわたって陥没した。土砂流入を防ぐ防壁に穴が開いたことが原因で土砂が流入したとみられる。市交通局は、防壁の鋼材が設計よりも傾斜して埋め込まれる施工不良などの影響で穴が開いたと結論づけた。
市は事故防止検討委員会をつくり再発防止に努めてきたが、結果的に前回よりも大規模な事故が発生。8日午前、記者会見した高島宗一郎市長は「多大なご迷惑をかけ、申し訳ない」と謝罪。二次被害防止とライフラインの復旧、原因究明に全力を挙げると強調した。
=2016/11/08付 西日本新聞夕刊=